
映画『日々是好日』、どんな日も良い日という考え方
映画『日々是好日』を見ました。
2018年公開の作品です。
主演の1人、樹木希林さんは、この年に75歳で亡くなっているので、ほぼ遺作と言ってもいいんじゃないか。
(※この作品が「遺作」と書かれることもあるけど、実際にはこの後2本の映画が公開されているようです)
「日日是好日」とは、「どんな日も良い日」のような意味。
毎日は同じような繰り返しでも、同じ日は二度と来ない。
何もない日でも、落ち込んだ日でも、それはそれで毎日が意味のある1日。
テーマとしては、先日投稿した『パーフェクトデイズ』に通じるものがあるように思いました。
映画『日日是好日』あらすじ
20歳の大学生、典子(黒木華)は、母のすすめでいとこの美智子(多部未華子)と共に茶道教室に通い始める。
そこでは、厳しくも温かい師匠・武田先生(樹木希林)が茶道の奥深さを教えていた。
最初は作法や型ばかりに気を取られる典子だったが、長年の稽古を通じて、茶道が人生の流れや季節の変化を感じる手段であることに気づいていく。
人生の節目ごとに訪れる変化の中で、彼女は「日日是好日」という言葉の意味を深く理解していく。
女性が茶道教室に20年以上通い続けるだけの映画。
そう言ってしまえばそれまでですが、典子の感情の動きや成長だったり、お茶の先生の「味」が素晴らしく描かれていて、なんかずっと見てしまう映画でした。
大爆発も大事件も起こらない、淡々とした感じで流れていく映画なんですけどね。
元々は、アクション、サスペンス、SFなどの映画が好きでしたが、たまにはこのような映画も見られるようになりました。
樹木希林演じるお茶の先生は、凜としてて厳しい面もありますが、生徒から作法について質問されても、
「そんなこと私に聞かれても困っちゃうんだけど」
「お茶って、そういうものなのよ」
などと、変に知ったかぶりをせず、等身大で答える姿が好感を持たれる要因なのかな、と思ったり。
さすがの存在感でした。
毎日が、代わり映えしないようで、実は1日1日が素晴らしい、意味のある日なのだ、というようなメッセージは表現されていると思うのだけど、『パーフェクトデイズ』との違いは、『日日是好日』は映画の中で20年以上の歳月が流れている点。
もっと長いスパンで見て、毎日が意味があったのだな、と気付くような。
主人公の典子は、最初は女子大生。
やりたいこともなく、就職せずにバイトの身となり、周囲と比べての焦り、挫折、失恋、大事な人との別れなど、実はいろいろあって、成長していくというような。
ゆっくりした時間の流れの中、合間合間で自然の四季の移ろいのシーンが映し出され、「これも人生か」としみじみ思えるような作品になっていると思いました。
いい映画を見たな、というのが鑑賞後の印象です。