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レントゲンを撮影することで、診断クオリティが下がっている?(1)

さて、前回のケーススタディの続きを見てみましょう。

医師「レントゲンは問題ないですね」
あなた「そうですか…」
医師「ひとまず痛み止めと湿布を出しておきます。痛かったら、また来て下さい」
あなた「あの、何が原因なんでしょうか?」
医師「(パソコンの場面を見ながら)それは詳しい検査をしないと分かりませんが、ぎっくり腰でしょう。ひとまず痛み止めを飲んでみてはどうですか?」
あなた「分かりました…」

診察はあっという間に終わりました。
担当医は結局、あなたの身体に触ることなく、診断を下したようです。病名は「ぎっくり腰」。
ここにも、いくつかの問題点があります。

①触診が行われていない

レントゲンに問題がないということは、更に詳しい検査が必要。その発想は間違いとは言えません。しかし、次のステップに移る前に重要な検査が抜けています。それが、触診です。
例えば腰に関して言えば、痛む場所に応じて、おおよその疾患の予測がつきます。時には「触って痛い場所がない」ことが、診断の重要な手掛かりになります。つまり、他のあらゆる検査と同じように重要な検査の一つが触診なのです。

②正確な原因を追求せずに処方している

担当医はあなたの病名を「ぎっくり腰」としましたが、これは正確な病名ではありません。恐らく、カルテには「急性腰痛症」という言葉を使っているのでしょうが、これも何らかの原因で起きる急激な腰の痛みを総称する言葉ですので、明確な原因追及には至っていません。
そして、そんな「よく分からない状態」で、一先ずの鎮痛剤処方がなされています。
言うまでもなく、投薬内容は疼痛の原因によって分かれます。詳細は別の回に譲りますが、原因の見極めがない処方は、十分な効果が得られない場合もあります。
また、あなた自身がなぜその薬を内服するか、理解していないという問題があります。果たしてこれはどんな薬なのか、根本治療なのか対症療法なのか、毎日飲み続けるのか痛い時だけでいいのか、飲んだらすぐ効果が出るのか、あるいは数日かかるのか…質問は数多くあるはず。
こうした説明なしに処方された薬は、仮に効果があっても適切な服薬が行われず、途中で患者さんが自己中断してしまうケースも多々あります。

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