南雲吉祥

東京都港区白金台で、整形外科クリニックを開業しています。 完全予約制、英語対応、土曜日も終日診療しています。

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最近の記事

腰痛でも運動しましょう!

冬も深まり、徐々に気温の低下が目立ち始めました。 秋から冬にかけて、顕著に増え始めるのが腰痛症。 当院でも、この時期に外来を受診する方の半数近くが腰痛症で占められています。 寒くなり体幹部の筋肉が硬直し、柔軟性が失われている際に中腰姿勢で作業を続けたり、長時間の移動をしたり、何か重いものを持ち上げたり…こうした動作によって、急激な腰の痛みが発生するようです。 ギックリ腰(急性腰痛症;急激な腰痛)と言ってもその原因は様々なで、症状の出方や期間、付随症状に内容は多岐に渡ります。し

    • 「肉離れは安静が鉄則」の誤り⑶

      肉離れと診断を受けると、多くの場合「安静にして下さい」と言われます。患者さんも『痛めたからには動かさない方がいい』と考えているので、基本的にここで会話は終わります。時々「運動はやめた方がいいですか」と質問される方もいますが、医師から「そうですね」と言われたら、それ以上食い下がるケースは稀です。 しかし、運動を禁止する必要はありません。怪我した部位を酷使しなければ、何をやっても構わないのです。 例えば、ふくらはぎの肉離れ。この場合、怪我した箇所さえ動かさなければ、何をやっても構

      • 「肉離れは安静が鉄則」の誤り⑵

        さて、大切なのは初期治療です。 肉離れは受傷時の痛み・衝撃が凄まじいので、皆さんかなり心配されて受診されますが、幸い、筋肉に限局した損傷ですので、適切な初期治療を行えば2週間程で日常生活による痛みは消失し、3週間程でスポーツ復帰が可能となります(長いと感じるかも知れませんが、足関節捻挫の場合は4週間、骨折の場合は軽度のものでも最短で5-6週間でのスポーツ復帰ですので、比較的短いと言えます)。 この初期治療の大原則となるのが以下の3つです。 ①アイシング ②圧迫 ③安静 アイシ

        • 「肉離れは安静が鉄則」の誤り⑴

          筋挫傷、通称「肉離れ」は筋肉の損傷・断裂によって生じる病態です。「筋肉が断裂しています」というと驚かれますが、臨床的には損傷と断裂は同義で使います。例えば、捻挫における靭帯の「損傷」も、程度の差はあれ「断裂」を意味します。 肉離れは筋肉がある部位なら全身どこでも起こり得ます。例えば、頻度が高いのがふくらはぎ。運動中や階段昇降中の着地動作の際に受傷されるケースが多く、皆さん「バチンという衝撃があった」「誰かに蹴られたのかと思った」と表現されます。その後、少し遅れて激痛が走り、立

          Smartphone zombies would kill us.

          Texting and walking has already became a norm of our society. Hawaii officially banned it in 2017 and some countries have even introduced e-lane. Since our view is obviously narrowed down, texting and walking might cause several accidents,

          Smartphone zombies would kill us.

          歩きスマホで骨が折れる?

          携帯電話の通信料改定が行われてから久しく、今では屋外で動画配信サービスを楽しむ人の姿も珍しくなくなりました。それに伴い、スマホに目を落としながら歩く方の姿も増えた印象を受けます。 NAG整形外科の最寄駅である南北線白金台駅でも、エスカレーター横の目立つ位置に、歩きスマホ防止を啓発するポスターが常時掲載されています。 歩きスマホの弊害は言うまでもなく、注意散漫による種々の事故リスクです。他の歩行者との衝突も、その一つと言えます。 誰かと肩がぶつかるのは不快でしょうが、実はそれ

          歩きスマホで骨が折れる?

          Does an X-Ray deteriorate medical quality? (Pt.2)

          3. No further explanation about an X-ray result The doctor didn’t mention the detail of your X-ray and you couldn’t get the information below; ・Why you needed an X-ray? [Purpose] ・How the doctor concluded that your X-ray was normal? [Eviden

          Does an X-Ray deteriorate medical quality? (Pt.2)

          レントゲンを撮影することで、診断クオリティが下がっている?(2)

          前回の続き ロールプレイにおける問題点 ③レントゲンの結果が説明されていない 最も重要なポイントです。 経験豊かな担当医は「問題ない」の一言で済ませてしまいました。 確かに、結果は異常なかったのでしょう。しかし、あなたは ・なぜレントゲンを撮影したか(目的) ・どういった所見を元に異常なしと判断したか(根拠) ・どんな所見があると異常なのか(判断) といった情報が何も得られていません。 ほんの少量とは言え放射線被曝を起こし、お金を払って受けた検査です。なんの説明もないとい

          レントゲンを撮影することで、診断クオリティが下がっている?(2)

          Does an X-Ray deteriorate medical quality? (Pt.1)

          Let’s keep watching where we left last time. Doctor “Well, your X-ray was totally fine.” You “Oh, I see.” Doctor “Im going to prescribe the painkiller and the pap. Please feel free to contact us if you have any concerns.” You “Doctor, what

          Does an X-Ray deteriorate medical quality? (Pt.1)

          レントゲンを撮影することで、診断クオリティが下がっている?(1)

          さて、前回のケーススタディの続きを見てみましょう。 医師「レントゲンは問題ないですね」 あなた「そうですか…」 医師「ひとまず痛み止めと湿布を出しておきます。痛かったら、また来て下さい」 あなた「あの、何が原因なんでしょうか?」 医師「(パソコンの場面を見ながら)それは詳しい検査をしないと分かりませんが、ぎっくり腰でしょう。ひとまず痛み止めを飲んでみてはどうですか?」 あなた「分かりました…」 診察はあっという間に終わりました。 担当医は結局、あなたの身体に触ることなく、

          レントゲンを撮影することで、診断クオリティが下がっている?(1)

          We really need an X-ray? Pt. 1

          An X-ray is one of the most common examinations in orthopedics. It’s so useful to see joint alignment and bone deformities quickly. However, at least in Japan, a lot of orthopedists take it without deep thought in some situations in which a

          We really need an X-ray? Pt. 1

          そのレントゲン検査、本当に必要?①

          整形外科を受診すると、高確率で受けるレントゲン検査。少量の被爆リスクはあるものの、短時間で骨の全体像を観察でき、骨や関節が原因で起きる痛みの診断には、使い勝手の良い検査です。 一方で、本来必要性の乏しい症例でも、思考停止にレントゲン検査を連発しているケースを多く認めます。 果たして、整形外科診療にレントゲンは必要なのでしょうか? レントゲンは必要…でも 結論から言うと、「必要」です。ただ、「どんな状況でも最優先に行うべき検査ではない」ということが出来ます。 ◽️レントゲ

          そのレントゲン検査、本当に必要?①