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そのレントゲン検査、本当に必要?①

整形外科を受診すると、高確率で受けるレントゲン検査。少量の被爆リスクはあるものの、短時間で骨の全体像を観察でき、骨や関節が原因で起きる痛みの診断には、使い勝手の良い検査です。
一方で、本来必要性の乏しい症例でも、思考停止にレントゲン検査を連発しているケースを多く認めます。
果たして、整形外科診療にレントゲンは必要なのでしょうか?

レントゲンは必要…でも

結論から言うと、「必要」です。ただ、「どんな状況でも最優先に行うべき検査ではない」ということが出来ます。

◽️レントゲンの前に重要なことがある
皆さんが整形外科を受診した際、医師とこんなやり取りをした経験がありませんか?

医師「今日はどうしましたか?」
あなた「腰が痛いんです」
医師「いつから痛みますか?」
あなた「3日前、重い荷物を持ち上げた後から痛み出しました」
医師「そうですか、じゃあレントゲンを撮りましょう」

これは、一般的な整形外科の診察室でよく目にする光景です。
しかし、ここには大きな問題点が二つあります。皆さん、お気付きでしょうか。

①問診が十分に行われていない
整形外科であっても、詳細な問診を行うことで大幅な疾患の絞り込みが可能です。数値に明確な根拠はありませんが、問診を通して、おおよそ半数近い疾患の予測が可能と考えています。
他にも、その方のスポーツ歴や普段の姿勢、毎日の歩行距離などは、運動器疾患を扱う私たち整形外科医には非常に貴重な情報です。
また、問診は情報収集以外に、コミュニケーションの場としても重要な役割を持ちます。初めて受診する医療機関・診療科の場合、患者さんは一般に強い緊張状態で診察室に入って来ます。ここで行う数分間の問診はアイスブレイクの作用があり、患者の緊張を緩め、その後の信頼関係構築の手助けとなります。

②レントゲン検査の前の触診が行われていない
言うまでもなく、触診は非常に重要です。
患者さんが指し示す痛みの位置は必ずしも正確ではなく、入念な触診により痛みの位置と性状を知ることは基本中の基本です。また、疾患によっては特定の姿勢をとることで初めて症状が誘発されることも多いため、尚のこと触診は重要となりはます。

続く

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