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地方の新卒採用・就活で起きていること

はじめに

地方でキャリア支援に携わっていると、都市圏に住んでいたときには見えなかった実態が見えることがあります。もちろん共通している部分はありますが、都市圏と地方では、採用・就活を取り巻く環境が異なることを体感しているので、一度整理してみようと思った次第です。
(地域差だけの問題ではなく、東京から地方へ移住してから、約3年が経過したので、時代の変化もあります)

1.新卒人材の価値が高まってきている


まず、少子高齢化の影響で、労働人口が減ってきています。その傾向は、都市圏よりも地方の方がより顕著になります。そして、市場価値は需要と供給のバランスによって変動するところがありますが、純粋に新卒で地方に就職する人数が減ってきているので、希少価値が高まってきています。そのため、学生にとってはチャンスが増えてきており、企業からすると厳しさが増しているという状況です。

2.地方の大手企業も危機感を抱いてきている


新卒の学生の場合、ブランド力や知名度の高い大手企業の方が人気が高く、採用倍率は上がる傾向にあります。今までは、地方の大手企業は、そこまで苦労しなくても人が集まってきていましたが、学生の減少に加え、首都圏の大手企業との人材獲得競争もあり、採用において安泰ではなくなってきています。そのため、危機感をもって、採用にかなり力を入れる地方の大手企業も増えてきており、採用できるうちにたくさん採用しておこうという風潮も見られます。それに伴い、学生人気の高い大手に人材が流れがちなので、地方の中小企業にとってはさらに苦しい試合展開になってきています。地方の大手企業については、今までよりも採用大学の幅が広がってきている印象があるので、学生からするとアタックチャンス(古い…?w)です。

3.文理不問で募集している求人が増えてきている


全体として新卒人材の需要は高まっていますが、その中でもさらに理系人材の需要は高まっており、獲得競争が激しいため、理系だけではなく、文理不問で募集をしている企業も増えてきています。IT系やメーカーなどのエンジニアの求人で、文系学生を対象としてアプローチしてきている企業も徐々に増加してきている印象です。

4.高卒向けの求人が大学にも来るようになってきている

18歳人口の減少に加え、進学率の上昇により、高卒で就職する人の割合も減っているため、以前は高卒を採用していたポジションの仕事も高卒だけでは充足できなくなってきています。そのため、仕事内容としては従来は高卒向けのものを大卒版(待遇を年齢に合わせて変更など)にして大学にアプローチをする企業も増えてきています。その中には、有名な大手企業からの求人もあるという状況です。

■高卒向けの求人数と求職者数
1992年3月卒 求人数167万3331人 求職者数は50万568人
2023年3月卒 求人数44万4187人 求職者数12万6069人

厚生労働省「職業安定業務統計」調べ

■18歳人口
1992年 約205万人
2023年 約112万人

文部科学省「大学入学者選抜関係資料」18歳人口及び高等教育機関への入学者・進学率等の推移

感想

 以前から日本における人手不足は叫ばれてきましたが、より現実的な問題として顕在化してきていると感じます。世の中には必要な仕事ではあるけれど、新卒の学生にはあまり人気のない業界や仕事もあり、このままだといろんなことが成り立たなくなってしまうのでは…?という危機感を抱いています(特に解決策が浮かんでいるわけではないのですが)。また、資本主義社会の中では、弱肉強食で競争に勝ち抜いていかないといけない側面はあるものの、新卒採用の現場においては、ゼロサムゲームになってしまっているところもあり、何かうまいこと全体最適化できないのかな~とぼんやり考えています。
 特にまとまりのない文章になりましたが、地方でキャリア支援に携わるものとして、何かしら有益な情報を発信していけるように、日々解像度を高めていきたいと思います!

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