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商談化率を大幅改善!マーケで取り組んだ展示会Ops改革の7つの取り組み

みなさん、こんにちは。
予実管理SaaSを提供するDIGGLE株式会社の瀬川(@motoy0shi)です。

弊社マーケティングチームでは、日々さまざまな施策を通して、見込み顧客の獲得を行なっています。その中でも注力しているチャネルが「展示会」です。

B2Bマーケティングをやっている方ならご存知かと思いますが、B2Bマーケティングの現場はまだまだ地上戦です。特に展示会は、コストや準備の手間はかかるものの、数日という短い期間で、大量の見込み顧客と接点を持てるため、非常に有力な施策です。

一方で、かつての弊社の中ではこんな意見もありました。「展示会って、たくさんリード取れるけど、検討度合いが薄いよね…。」実際に、データを見ても、リードこそ取れるものの、商談化率はそこまで高くなかったのです。

しかし、今年1年マーケティングチームを中心に、展示会オペレーションを少しずつ改善していった結果、商談化率は大幅に改善。さらには、展示会経由での商談の受注もかなり増加しています。

そこで、今回の記事では、私たちマーケティングチームで取り組んだ展示会Opsの取り組みについて紹介していきます。B2Bマーケティングに関わる方は、ぜひお読みください。

商談化率が低迷していた原因

そもそもなぜ展示会からの商談化率が低迷していたのでしょうか。

細かく見ていけば、さまざま要因はあったかと思いますが、その根本には「誰が、どのくらいの課題感を持っているか曖昧で、優先順位が付けづらかった」ことがありました。

それゆえ獲得したリードに対して、上から順番に連絡をしていき、接続できても課題感が少ない人が多いと、「やっぱり展示会は、温度感が低い人が多いよね」と深く追わなくなってしまう状態だったのです。

だからこそ、いかにオペレーションを洗練させながら、見込み顧客が持つ課題感を適切にラベリングして、優先順位をつけてフォローできる仕組みが作れるかが重要だと考えました。

展示会Opsで取り組んだ7つの改革

ここからは実際に商談化率の改善のために取り組んだことをそれぞれ紹介していきます。

分業体制の構築

取り組み1つ目は、分業体制の構築です。

これまで展示会に参加しているスタッフは、全員が同じように声をかけ、興味を持ってくださった方には、その人が説明やデモまでを担当していました。

比較的空いているアイドルタイムは問題ないのですが、お昼前後のピークタイムになると、動線がぶつかってしまったり、声がけするスタッフがいなくなったりしてしまうなどの問題が起きるようになってきました。

そこで、現在ではスタッフを大きく3つの役割に分けて、分業して業務を行うスタイルに変更しています。

現在のオペレーションのイメージ

【フロント】
フロントと呼ばれるポジションは、お客様に声をかける担当です。声掛けをして、立ち止まってくれたお客様に対して、短くサービス説明をして、課題感をヒアリングします。より詳しい説明を希望される方には、後述のフロアマネージャーにトスアップをします。トスアップ後は、また声掛けに戻ります。

【フロアマネージャー】
フロアマネージャーは、フロントからトスアップされたお客様を、どの展示台(エリア)で、どのスタッフが説明するかをアサインする担当です。特に、ピークの時間は展示台が埋まってしまうことがよくあります。常に展示台スペースの空き状態やお客様の動きなどを見て、できるだけお待たせすることないようにハンドリングを行なっています。

【デモ担当】
デモ担当は、フロントから引き継いだお客様に対して、詳しいサービス説明やサービスのデモを行う担当です。私たちの場合、商談に慣れているフィールドセールスやインサインドセールスがこのポジションを担うことで、短い時間で興味を持ってもらえるようにしています。

このように分業体制を敷くことで、「ちょっとだけ話を聞きたい」「資料だけ欲しい」といったニーズであればフロントが担当し、しっかりとお話を聞きたい方はデモ担当が接客でき、全体の業務効率を上げられるようにしています。

第一声の掛け声を統一

2つ目の取り組みは、第一声の掛け声を統一しました

これまでは、各自が好きなセリフで呼び込みをしていました。例えばですが、「予実管理のDIGGLEです」とかですね。もちろん間違いではないのですが、正直なところ、足を止めていただきづらい感覚がありました。

そこで、マーケティングチームで相談して、ひとことで自社の強みがわかり、キャッチなーフレーズを検討しました。そこで、決まったのが以下のフレーズです。

現在の声掛けフレーズ

特に「脱エクセル予実管理」は、自社のサービスの大きな特徴でもあり、かつ興味をもっていただけることが多く、実際にここ数回展示会で使っていると、「え、どういうこと?」と話しかけてくださることが増えました。

ちなみに展示会はこういったフレーズを検証する場としても最適です。ぜひいくつかアイデアを持ち込んで、実際にどれが反応が優れているかを試してみると、より良いのではないかと思っています。

需要予測に基づくシフト編成

3つ目の取り組みは、需要予測に基づくシフト編成です。

これまでは展示会に参加する人数は、正直なところ、感覚的に決めていたところがありました。それゆえ、日によっては過剰であったり、日によっては不足して、チャンスロスをしていることもあったように思います。

実際に運用しているシフト表。30分×2回で休憩を出している

そこで現在では、簡易的な需要予測モデルをつくり、会期の日にちごとにどの程度のスタッフが必要かを割り出して、適正な人員を配置するようにしています。

また1日の中でも、ピークとアイドルの時間を考慮して、休憩時間を設定しておくことで、接客できるスタッフが足りなくならないように工夫しています。

また休憩に関しては、シフトコントローラーという役割の人を配置し、現地で混み具合に合わせて、時間をズラしたり、順番を入れ替えたりする運用を行っています。

見込み確度の定義を統一

4つ目の取り組みは、見込み確度の定義の統一です。

これまでは接客したお客様の温度感を測る統一した指標がありませんでした。それゆえ、人ごとに「この人はアツい」という尺度にばらつきが生じてしまったり、そもそも温度感をコメントで書いたりしていて、書いた本人しかよく分からないという状態でした。

そこで現在では、セールス側と協議して、見込み確度の定義を決め、全員がこの定義に基づいて判定するようにしました。

DIGGLEで運用している確度

見込み確度は、全部で6種類があり、その場でどの確度なのかを判定しています。

なおそれぞれの定義は一見曖昧なように見えると思いますが、数をこなしていうと精度が少しずつ上がってきており、それぞれの確度ごとに商談化率とかも見てきています。現在は、フォローアップの優先度を付ける際にかなり活用しています。

見込み確度ごとのフォローを整理

5つ目に取り組んだことは、見込み確度ごとのフォローを整理したことでした。

DIGGLEで運用している見込み確度(再掲)

現在は、上記の図のように、確度ごとに、その後に誰がどのようにフォローするのかも決まっています。

例えば、Sランク(今すぐ顧客)の場合、フィールドセールスがデモ担当だった場合は、自分の顧客としてフォローするか、インサイドセールスにパスして追ってもらうかを決められます。

MA(HubSpot)での分岐処理

また展示会に参加された方に対しては、マーケティングチームからステップメールを送っているのですが、見込み確度に合わせてメール送付の有無を場合分けしており、興味度合いに合わせてできるだけ適切なコミュニケーションが取れるようにしています。

顧客とのやりとりを瞬時にCRMに同期する仕組みづくり

6つ目の取り組みは、顧客とのやりとりを瞬時にCRMに同期する仕組みづくりです。

これまでは、展示台でお客様とお話しした内容は、名刺管理アプリを使って、タグとメモを記入するような運用でした。しかし、そのUIのゆえに、入力漏れが多発したり、CRMへの同期に時間がかかったりして、スピーディーにフォローアップすることができない問題がありました。

そこで導入したのが、名刺情報と会話した内容を入力するアンケートツールです。当初は市販のサービスを検討していましたが、費用対効果の面で断念し、最終的には自社アプリを(マーケチームで)開発しました

実際に使っているアプリ。毎回少しずつアップデートしている

こちらのアプリでは、名刺をスマートフォンのカメラで読み込むと、OCRを行い、会社名や名前、メールアドレス、電話番号が自動で抽出されます。

またその下には、見込み確度や導入目的などのヒアリング項目が並んでおり、順番に入力していけば、同じフォーマットでヒアリング内容を収集することができます。

HubSpotを経由して自動で通知される

さらには、回答データが送信されると、リアルタイムにCRM(弊社だと、HubSpot)にリード情報が同期され、企業規模などの付随情報が自動的に付加されます。ちなみに見込み確度が高い場合は、Slackにも通知が来ます。

▼データのクレンジングおよび企業情報の付与はこちらで紹介しています

この仕組みを導入してから、フォローアップ開始までの時間が、1日近くかかっていたのが、最短2-3分ほどに縮まり、お客様の検討の熱が下がらないうちにフォローできるようになってきています。

【補足】こちらのアプリですが、どういう仕組みになっているか気になる方も多いと思うので、使っている技術や全体の処理フローも参考までに書いておきます。

できるだけシンプルな構成にしている

フロントエンド:Vue.js
ホスティング:Firebase Hosting
データベース:Firebase Firestore Database
データ処理:Google Cloud Functions

名刺の獲得状況をリアルタイムに可視化

7つ目の取り組みは、名刺の獲得状況をリアルタイムに可視化することです。

先述のように、アプリを使って名刺情報をリアルタイムにサーバーに同期できるようになったことで、そのデータをBIツールを使って可視化できるようにもなりました。

ダッシュボードのイメージ

このダッシュボードにより、会期における名刺獲得数や確度ごとの件数、1時間ごとの獲得数などをリアルタイムに把握し、目標に対するギャップを把握することで、現場での動きを変えるようにしています。

【補足】最近では、開催社が用意するQRコードシステムでの獲得も増えていることから、上記の数字はあくまで参考として見ています

おわりに

この記事では、商談化率を改善するために、私たちが取り組んだ展示会オペレーションの改革について紹介しました。

正直なところ、当たり前のことしかしていないのですが、オペレーションは現場できちんと運用されてはじめて、成果を生み出していきます。

私たちもまだまだ試行錯誤している段階ですが、今後もより良いオペレーションを目指して、改善を積み重ねていきたいと思っています。


最後にお知らせです。

私たちDIGGLEのマーケティングチームでは、マーケティングを一緒に担ってくれる方を大・大・大募集しています。1mmでも興味を持っていただければ、ぜひカジュアルにお話しさせていただきたいです!

私のX(@motoyoshi)にDMをいただくか、YOUTRUSTの募集にて連絡いただけると嬉しいです!

【おまけ】
僕が展示会について勉強した書籍も載せておきます。より深く学びたい方は、ぜひお読みください!


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