『雷雷雷』が性癖に突き刺さった。
4月24日、僕は大学の帰りに多摩センターの本屋に寄った。漫画コーナーで良さげな作品を探していると、ある表紙が目に入った。
青一色の背景に、武器を持った人がいる……?
その時点で、かなり良い予感がした。近づいて両手に取ると、脳天を雷で打たれたような衝撃を受けた。
キリっとした目に、長っがいポニーテールの女性が日本刀風の武器を逆手に持っている。それだけでも十分好みに合うのだが、真に凄まじい点はその衣装にあった。
なんなんだこの叡智な戦闘スーツはッ!!
というわけで、表示の女性がこんなにも素晴らしいコンバットスーツを着込んでいた。僕は完全にノックアウトされてしまった。
昔、コンビニに置いてあったエヴァンゲリオンのキャラクター達のプラグスーツに目が釘付けになった経験がある。多分『破』が公開された頃で、3~4歳程度だった。相当小さい頃から、それ系統のものには惹かれていた。未来的な格好良さや強さを持ちつつも、浮き出るボディラインに目を奪われてしまう。男性性と女性性が見事に両立している存在に対して、尋常ではないほど好感を抱く。僕がTSFに惹かれるのもそのせいか。
作中では『コンバットスーツ』と明言されている衣装だが、僕的に素晴らしいと思うのは、ただ黒一色の薄いスーツではなく、急所……肩や膝、胸部(そこまで胸囲が大きくないのも非常に素晴らしい!)に防具が装備されている点だ。おかげで戦闘用だと強調され、さらにカッコよく、ゴツくなっている。
加えて、なんと上記の2巻の表紙には特殊加工がなされいる。防具部分がテカテカ光り、ツルツルしている。そ本当にスーツを触っているような質感が楽しめてしまう。タイトルの文字にも同じ加工が……と、作者様の『拘り』を存分に感じられ、癖も満たされる親切設計だ。
いわゆるぴっちりスーツ(この名称自体はあまり好みではないが)とされる服装が好みな皆さんは、雷雷雷をぜひ読んで欲しい。濃厚なスーツ描写に酔いしれるだろう。
性癖語りは一旦横に置いておいて、表紙に撃沈された僕はすぐに1巻を探した。しかし、引っ越し直後、そもそも漫画をあまり読んでいなかった僕は、コーナーの配置が分からない。小学館と言われても場所が分からないので仕方なく店員に聞き、1巻を入手。前々から気になっていた『ルリドラゴン』(こちらも最高だった!)も購入した。
家に帰り、前情報なしに読む。
なるほど、人類が宇宙から飛来したエイリアンに勝利してから50年後の世界、高校に通わず、親が残した借金返済のために宇宙害虫(エイリアンが残した植物やら虫)駆除業者で働く主人公『市ヶ谷スミレ(18歳、1巻表紙の子)』が、エイリアンに身体を改造されてしまい、そのせいで軍事企業から狙われる……これが話の大筋らしい。
2巻の表紙の女性は『ハヅキ』といい、主人公を保護した民間軍事企業のエリート社(戦闘)員で、あのコンバットスーツは彼女用に調整された特製品らしい。彼女はスミレの相棒というか、監視役だ。リヴァイ兵長のようなキリっとした目つきをした女性で、レザージャケットや大型バイクを所有している。なので総じてカッコいいが、どこか抜けているような印象を受ける。
人間としてのメインキャラはこの2人。ある日突然強大な力を手にした主人公を、様々な組織が配下に置こうと活動する……物語が始まったばかりなのもあり、しばらくは主人公争奪戦が繰り広げられるのだろう。一介の市民でしかなかった女性が、そちら側の世界のルールに振り回される。よくあるストーリーだけど、僕は好きな展開だ。『雷雷雷』は他の作品から影響を受けていると思われる場面がかなりある。それで良くないと言う人も散見されるが、自分としては、影響を受けながらも、一定の要素を繋ぎ合わせて上手いこと話しにしていると読めたのでかなり印象が良い。
刀、コンバットスーツ、軍事企業、争奪戦……それだけ見れば硬派な漫画かな?と思われるのも当然だとは思うが、雷雷雷はかなりコメディ寄りの作品だ。詳しくはネタバレになるので言えないが……先ほど『強大な力』と書いたが、それは特殊能力を用いたり、フィジカルモンスターになったりするのではなく、主人公はある存在に『変身』して戦うハメになる。その外見といい展開といい、硬派なバトルアクションからはかなり遠いコミカルな戦闘が繰り広げられる(初見時は予想を裏切られた笑いが出たほど)。一方の『ハヅキ』が所属する民間軍事企業の側はゴリゴリに近未来的な軍隊戦闘を行う。その差が両方を際立たせているのも面白い点だろう。
もう一つ、戦闘面で癖が刺激される大きな要素を付け加えると、雷雷雷にはリョナシーンがある。1巻ではまぁ普通かなというシーンが、2巻では相当攻めたなぁと感じるシーンがある。もちろん被害者は両2名なわけだが、双方がどのような目に遭うかは、ぜひ読んで確かめてほしい。
雷雷雷、僕の好みに合う素晴らしい漫画だった。数年後、願えばアニメ化して欲しいと願いつつ、今後も追い続けたいと思う。以上。