見出し画像

2024年10月雇用統計 市場予想の失業率4.1%は低過ぎる!?

2024年10月雇用統計の市場予想は4.1%だそうだ。私の予想は4.3%である
4.1%という数字は低過ぎるように思う。また市場予想には矛盾がある。

2024年9月の失業率は、2014年10月の市場予想4.1%と同じであるため、9月と10月のデータを比較し、市場予測4.1%の妥当性を探る。

*以下は2つの式を念頭に読んでください。
1. 失業率失業者数÷労働力人口
2. 労働力人口=雇用者数失業者数
※1の失業率は、分子の失業者数と分母の労働力人口(=雇用者数失業者数)が同率の割合で増減すれば一定になります。雇用者数と失業者数の増減率が一定であれば失業率は変わらないとも言えます。

まずは失業者数から。

現時点では新規失業保険申請件数失業保険継続受給件数が分かっている。

失業者数とこれら件数は一定の連動性がある。

新規失業保険申請件数・失業保険継続受給件数ともに増えているため、この2つからは2024年10月の失業者数が減少することはあまり考えにくい。

また、前回も記載をしたが、原則失業保険の受給対象“外”の27週以上にわたる長期失業者も増加傾向にあるため、この数字が減ることによる失業者数減も考えづらい。
(当然、失業者のなかには、失業保険受給者のほかに、様々な理由で失業保険を受給できない失業者もいる。27週以上にわたる長期失業者もその一つだ。)

上記のことから、失業者数は普通に考えれば増えるはずだ。(今回と同等条件で過去のデータをつぶさに見ても失業者数が増える確率はやはり高い。)

ピンポイントでの予測は極めて困難なため、上下に10万人単位のずれは普通にあり得ると思うが、失業者数はおそらく720-730万人前後ではないだろうか。

そして、分母である労働力人口の伸びは近年一定である。よって、労働力人口もある程度予測可能で、分子の失業者数の増加率ほど伸びることはなく、直近の傾向と同様、前月比0.x%の伸びを示し、おそらく1億6,900万人前後になるだろう。

よって、これらから失業率は4.3%になると予想する。

もちろん、考えればキリがないが、色々なシナリオが想定される。
例えば、失業者は増える一方、雇用者が想定以上に増加する場合である。

大統領選挙が佳境を迎え、2024年9月に続き、選挙スタッフなどと思われる雇用を急増させている可能性はもちろん否定できない。
※2024年9月の失業率の低下は、家計調査における政府部門(季節調整有)で、前月比78.5万人増と1948年以降で単月の増加幅として歴代2位(コロナ禍の2020年6月を除くと事実上1位)の記録を付けた影響が極めて大きいと感じている。失業率の低下要因をあまり理解せず、マーケットは喜び過ぎではないだろうか。

米国労働統計局 Webサイトより抜粋

しかし、このシナリオが起きるには、2024年10月の非農業部門雇用者数前月比10数万人程度の増加という最近ではかなり低い市場予測値では、失業率4.1%にとどめておくには少な過ぎるのである。

(個人的にはもっと増えると思うが)仮に2024年9月の失業者が前月比2%増えた場合、雇用者も2%増えてはじめて、失業率は一定になる。過去に失業者が前月比2%以上増えると同時に雇用者も2%以上増えた事例は、事業所調査・家計調査の双方において、1948年以降のデータでただの一度もない

市場予想及び推測できることをまとめると、以下となる。
・分子の失業者数は上昇
・分母を構成する大きな要素の雇用者数は微増
・結果の失業率は横ばい

単純に算数として成立せず、整合性が取れない。

失業率4.1%、非農業部門雇用者数前月比10数万人程度の増加、という市場予想は両立し得ない。少なくともどちらかが間違っている。

私は失業者が増え、10月29日発表のJOLTS求人件数もさえなかったことからも雇用の伸びは決して大きくはならない、と予想する以上、失業率は上昇すると読む。

そして、仮に失業率の上昇が当たった場合、ハリケーンの影響を受けた一時的なものであるとする解釈が広まるのかもしれない。確かに今回の悪化要因としてハリケーンの影響は大きい。

しかし、だからと言って、私は11月以降の雇用統計が再び改善方向に向かうとは決してみていない。少なくとも今後数カ月以内に失業率は4.5%を付ける月が出てくると考えている。そのあたりはまた後日。

いいなと思ったら応援しよう!