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米国商業用不動産が市場に与える影響を考察する ~Part6~
Part5からの続きである。
次は、商業用不動産の価格下落の影響度を確認したい。まず、商業用不動産の融資比率を資産規模別にみていこう。
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上記「資産に占めるCREの割合」「資産に占めるCRE(オフィス)の割合」という列を見ると、商業用不動産に対する融資比率はオフィス向けを含めて大手銀行が低く、中小銀行が高い。これはリーマン・ショック以降、特に大手銀行に対しては規制が進み、融資に保守的になっている銀行が多いからだ。よって、FRBのストレステスト(2024)(P19)からも、過酷なシナリオが到来した場合でも、大手銀行を巻き込んだ大規模な金融システムリスクに陥る可能性は低く、経営に大きな影響が及ぶのは中小銀行に限定されるだろう。
但し、大手銀行が無傷かというとそうではない。なぜならば、大手銀行は資産の絶対額が大きいため、資産に対する融資比率が低くても、自ずと融資の絶対額は大きくなるからだ。それは以下表からも分かる。商業用不動産への融資額はやはり大手銀行が多い。商業用不動産への融資額TOP3は、米国銀行総資産額上位3行だ。
第2四半期にCRE融資額が最も多かった米国の銀行20行
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また、米国内の空室率が地域によって差があるように、また同じ資産規模の銀行によっても商業用不動産への融資比率が異なることから、個別行の事情により危機の度合いは異なる。
資産に対する商業用不動産ローンの貸出比率が50%を超えているReginal Bank(地方銀行)やCommunity Bank(信用金庫や信用組合相当)もあることが分かる。(上記表内Bank OZKもその一例だ。)
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この点は、リーマン・ショック時に米国全土で住宅物件が差し押さえの対象となったのとは異なる。イメージでいうと、サブプライムローンという爆弾が暴発し、全米に拡散したのがリーマン・ショック、大中小の地雷が各地域に除去困難な形で埋め込まれているのが今回の商業用不動産問題だ。
(続く)