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natsuhino
米国商業用不動産が市場に与える影響を考察する ~Part5~
Part4からの続きである。
さて、米国に話を戻し、現在の銀行における商業用不動産ローン延滞率をみていこう。
FREDのデータによると、2024Q2現在で1.42%と目を見張るような高さではないが、2022年Q3の0.63%を底に7四半期連続上昇中で、注意が必要だろう。参考までに、リーマン・ショック時は2006Q2の1.02%を底に、2010Q2の8.76%まで16四半期連続上昇した。不動産市場は失業率同様、一度トレンドが形成されると反転させるのは難しいように映る。
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過去は景気後退前に延滞率が上昇しているのも気になる点だ。これも景気後退を示唆する一つのデータなのかもしれない。
一方で、NBER(全米経済研究所)ワーキングペーパー(P34)を確認すると、カテゴリ別の延滞率推移が掲載されている。
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上記資料を見ると、セクターによりばらつきがあるものの、趨勢的に延滞率は上昇傾向にあり、中でもやはりオフィス向け市場の上昇率が目立つ。そして直近ではさらに高く推移している。今後、更なる損失が表面化していくことは確実で、市場全体への影響は徐々に膨らんでいく。
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(続く)