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『オスとは何で、メスとは何か?』

私たちは生き物のオスとメスは全く違うものだという考えにすっかり慣らされてきました。

しかし、諸橋憲一郎先生の『オスとは何で、メスとは何か?』(NHK出版新書)という本は、オスとメスはスペクトラムを成すものであるということをさまざまな生き物を例にあげて解説しています。

性的マイノリティに関連のある「性自認」と「性的指向」についてはまだまだわからないことが多いとしながらも、遺伝的に男性(XY染色体を持つ)とされていても、性自認が女性の例(性分化疾患)を挙げて「ヒトの場合は、男性ホルモンが脳を男性化すると考えられている」と指摘しています。(170ページ)

私たち人間の性のあり方、その多様性を目の当たりにして、これまでのように男女を二分法的にはっきりと分けることはできないというのが、最新の科学の知見であるということがこの本から学ことができます。

性は2つの対立する極として捉えるべきではなく、オスからメスへと連続する表現型として捉えるべきであるという考え方は、従来の性の捉え方に変革を迫るものでした。わたくしたちはこの「性スペクトラム」という新たな性の捉え方が、性本来の姿を捉えていると考えています。

『オスとは何で、メスとは何か?』184ページ

LGBTは「自然の摂理に反する」、「不自然だ」という方には、ぜひ一度読んでみていただきたい本です。

画像:UnsplashRaül Santínが撮影した写真