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434. X(旧ツイッター)にLGBT活動への反対意見がありました。性的マイノリティの人たちは、本当は「LGBT理解増進法」なんて望んでないんじゃないですか?
はい、そのような意見が当事者側にあることは知っています。 X(旧ツイッター)には次のような意見が見られます: あらためて確認をしておきますが、性的マイノリティの人たちは全員が同じ考え方をしているわけではありません。 100人のレズビアンがいれば100通りの意見があり、100人のゲイがいれば100通りの意見があり・・・という具合です。 この意見ではLGBTQ+活動家や運動に対する批判的な視点を表しているようです。 すべての同性愛者やLGBTQ+当事者が一様に同じ考えや
433. 性的マイノリティの中には「LGBTを政治やビジネスに利用しないで!」という声があるようです。これはどういうことですか?
これまで私は何度も記事の中で性的マイノリティの中にはいろんな意見の人たちがいることをお話ししてきました。 性的マイノリティ全体を、ここでは一旦「コミュニティ」としましょう。この「コミュニティ」については428の記事で触れました。 この大きな括りのコミュニティの中で、「LGBTを政治やビジネスに利用しないで」という声があるというのは、LGBTの問題やアイデンティティが政治的な意図や商業的な目的で利用されることに対する懸念を表していると考えられます。 実際にどのようなことが
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432. 人はどうやって自分が「女性」だとか「男性」だとわかるんですか?一般的には女性器や男性器の有無で判断すると思いますが、トランスジェンダーの人、とくにトランス女性は生まれてから一度も女性器を持ったこともないし、生理や生理痛も経験していないし、「女性であったこと」がないにもかかわらず、「自分は女性だ」と認識しているんですよね?なぜそんなことが可能なのでしょうか?
【note】今回の質問と似たような疑問がX(旧ツイッター)でポストされていて私も目にする機会があったので取り上げてみました。 難しい質問ですね。このテーマで論文が一本書けそうです。 私自身はトランスジェンダーではないので私個人の経験を語ることはできませんが、私なりに考えました。 この方の疑問の出発点は以下の点にあります: みなさんはこの考え方に何の疑問の余地もないように思われるでしょうか。では次の点はどうでしょう? 女性のみなさん、いかがでしょうか。2については「そ
431. 生まれた時に男性とされ、戸籍上も「男性」となっている人が、女性を自認しているとします。そのトランス女性は性別適合手術を受けていません。男性器を持ったまま「自分は女性だ」というのは無理がありませんか?それを認めなければ差別になるんですか?
とても難しい問題だと思います。 これまでも同様の問題に答えてきました: さて、以前の記事も踏まえて改めて考えましょう。 まず言えることは、トランスジェンダーの人々のアイデンティティについては、多くの誤解が存在するということです。 ジェンダーアイデンティティ(性自認)と生物学的性別は異なる概念です。 また、トランスジェンダーの人が性別適合手術を受けるかどうかは、その人の個人的な選択です。 手術を受けていないからといって、その人のジェンダーアイデンティティを第三者が無
430. 差別や偏見は人類史上ずっとあったものですし、これからもなくならないと思います。「LGBTに対する差別や偏見を無くそう」といっても、ただのスローガンに終わるだけじゃありませんか?そんなに人はすぐには変われませんよ。
こんなお話はどうでしょうか。 この例え話の中の「岩」は、歴史を通じて存在してきた偏見や差別を象徴しています。 私たちはこの偏見や差別という岩を「動かせないもの」として受け入れてしまっていないでしょうか。 古くからいる村人のように「動かすだって?それは無理だ!」と思い込んでいないでしょうか。 もちろん、この物語のように、スムーズにことが運ぶとは私も考えていません。 しかし、わたしたちは「伝える・学ぶ」(教育)というレバーを持っていますし、「共感・寛容」という支点も持っ
429. 「LGBTに理解を!」というけれど、それって周りに配慮を求めているんですよね?こういう態度は押し付けがましいと思うんですけど・・・。
なるほど、押し付けがましいですか。 そのように考える方もいらっしゃると思います。またそれとは別に「特に押し付けがましいとは思わない」という方もいらっしゃるでしょう。 人の考え方はそれぞれ違います。 その色々な意見や考え方を超えて、あえて「LGBTに理解を」とか「LGBT理解増進」と言われるのはなぜなのか、そこを考えてみましょう。 まず言えることは、「LGBTに理解を」というメッセージは、LGBTやLGBTQ+に代表される性的マイノリティの人々が社会全体で平等かつ公平に
428. LGBTQ+のコミュニティって何ですか?街みたいなものがあるんですか?性的マイノリティが多く集まる地域を指しているんですか?日本では新宿2丁目のバーが多く集まるところがありますが、そういう場所を指しているんですか?
今回は実際にSNSでどのようにこの言葉が用いられているのかを見ることから始めましょう。以下はX(旧ツイッター)から拾ってきた投稿文です: こういった「LGBTコミュニティ」や「LGBTQ+のコミュニティ」という言葉の使い方を見ると、「特定の地域の人々」を指しているようには見えません。 実際、「LGBTQ+のコミュニティ」という言葉は、文字通りの(物理的な)「地域や場所」を指すものではなく、LGBTQ+(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、クィア、その他の
427. ジェンダーノンコンフォーミング (gender non-conforming)って何ですか?ノンバイナリーのことですか?だとしたら、なぜノンバイナリーと言わずに「ジェンダーノンコンフォーミング」と言うんですか?
「ジェンダーノンコンフォーミング」と「ノンバイナリー」は関連していますが、違う概念です。以下、まとめてみます。 ジェンダーノンコンフォーミング (Gender Non-Conforming: GNC) ジェンダーノンコンフォーミングは、伝統的な男性や女性のジェンダーロールや表現に合致しない、または社会的・文化的に女性なら女性、男性なら男性は「こうあるべき」という期待を超えたり交差したりする人々を指します。 GNCは性的自認やジェンダーアイデンティティには必ずしも言及して
426. カミングアウトする側には色々事情があるでしょうが、カミングアウトされる側は迷惑です。おまけに、他の人にそのことを話してはいけない(=アウティング禁止)ということまで言われるなんて、本当に迷惑でしかありません。それについて当事者はどう考えているんでしょうか?
本日、10月11日は「カミングアウトデー」です。過去の記事でも何度かカミングアウトについて触れてきました。 カミングアウトは、LGBTQ+の当事者にとって非常に個人的で感情的なプロセスです。また、カミングアウトを受ける側も様々な感情や反応を持つことは十分理解できます。 ここでカミングアウトに関する一般的な考え方や背景をまとめておきましょう。 カミングアウトの意義:多くのLGBTQ+の人々は、自分らしい人生を送るため、また親しい人々との関係において誠実でありたいという願い
425. 異性愛者の中には、「同性愛に特に悪い感情はないけれど、近づきたくないし、できれば関係を持ちたくない」という人もいます。これは同性愛嫌悪になりますか?
「同性愛に特に悪い感情はないけれど、近づきたくないし、できれば関係を持ちたくない」というのは、前の記事で見た「同性愛嫌悪」(ホモフォビア)とは異なるかもしれません。 ここで1つ考えなければならないのは、LGBTQ+コミュニティの人たちみんなが、(私が示した「同性愛嫌悪とはこういうものである」と説明したことと)同じ基準で同性愛嫌悪のありかたをとらえていない可能性があることです。 これは別の言葉、例えば「愛」を考えるとわかりやすいかもしれません。 「これが私が考える愛です」