404. 【性的マイノリティの家族】正直、子供は不幸だと思う。父母が揃ってそれぞれの役割を果たす健全な家庭で育つのと、歪な家庭ではストレスの度合いが違うのでは?親になるなら自分の主義主張より、子供の生育を一番に考えなければならないと思う。
今回の疑問・主張は次の愛知県の施策にたいする報道を受けてのものです。(SNS上から)
記事は次のように報じています:
性的マイノリティの「家族」で育つ子どもは「不幸」なのでしょうか?
この方は、「父母が揃ってそれぞれの役割を果たす健全な家庭で育つのと、歪な家庭ではストレスの度合いが違う」とおっしゃっていますが、果たしてそれは本当なのでしょうか?(「歪な」という言葉を使っている時点ですでに偏った見方のように思われますが)
性的マイノリティの親に育てられた子どもが(一般的な)父母の親に育てられた子どもと違いがあるかについては、様々な研究がなされています。
「転帰」というのはoutcomeの訳語です。ここでは文脈から「子どもがどのように成長したか」と考えることができます。つまり、親がレズビアンカップルであったり、ゲイカップルであったとしても、それは子どもの発達や(社会)適応に支障があるわけではなく、家族関係の質が大きくかかわっているということです。親が愛情を注いで育てれば、子どもに問題が生じることはありません。
質問にあるような「ストレス」を子どもが抱えるのだとすれば、それは親(ゲイやレズビアンの親)に問題があるのではなく、社会の無理解が偏見となってその子どもに矢のように突き刺さるのだと考えます。
アメリカで同性カップルが全米で養子をむかえることができるようになったのは2016年です。
上記ハフポストの記事では、同性カップルが養子縁組することを禁じる法律を制定した当時のミシシッピ州知事は、のちに次のように述べているとのことです:
ミシシッピ州はアメリカ南部に位置する州で、いわゆる「バイブルベルト」(キリスト教保守派層が多い地域)にあたります。そこでも、養子縁組をすることが子どものためになる、子どもが「幸せで健全な家庭で育つ」ことが可能であるとされているのです。
「親が性的マイノリティのカップルだったら子どもがかわいそうだ」という方は、すでに性的マイノリティに偏見をもっていらっしゃるように私には思えます。
男女の両親がいても、愛情も注がれない、虐待を受ける子どもがおおくいます。「令和4年版 犯罪白書 第7編/第3章/第3節/3」から図を引用します:
みなさんはこの図をみてどう思われますか?こんなに多くの日本の子どもたちが児童虐待にあっているのです。相談されないケースもあると考えれば、これよりも実数は多くなるでしょう。父母がそろっていても、なお日本ではこのように「ストレス」を抱える子どもがたくさんいるのです。
父親と母親がそろっていれば「健全な家族/家庭」なのでしょうか?「しつけ」と称して子どもを虐待する親は「親としての役割を果たしている」のでしょうか?
みなさんはどうお考えになりますか?
参考資料
法務省 「令和4年版 犯罪白書」
Patterson, C. J. (2006). Children of lesbian and gay parents. Current Directions in Psychological Science, 15(5), 241-244.