よし先生の元気が出る原則教育論 No.5
こんにちは。よし先生です。(^o^)丿
とある地域の,公立小学校の教員をしています。
教師として,今よりもっと充実した日々を送りたいと思っているあなたに,「よし先生の元気が出る原則教育論」を届けています。
今回は,「教員が,子ども達を誉めるための価値規準や価値基準を持っている」とはどういうことか,についてお話したいと思います。
原則その9「上手に誉めるためには,子ども達を誉めるための価値規準や価値基準を持とう。」→あなたは,子ども達を育てるための「ものさし」をたくさん持っていますか?
あなたは,教師として,毎日の学校での勉強の中で子ども達を育てているわけですが,では,子ども達の「なに」を育てようとしていますか?
この,「なに」に当たるところが,子ども達を誉める時の価値規準になります。
ここで,「基礎学力です」とか,「豊かな心です」とかしか答えられないようだと,あなたの持つ価値規準は,きわめて曖昧な「ものさし」です。
いいかげんなものさしでは,きちんとものの長さを測れませんね。子ども達の成長を測る「ものさし」があいまいだと,きちんと子ども達の育ちを測れません。
子ども達の成長を測るものさしは,もっと具体的でなくてはなりません。言い換えると,その目盛りは
「基礎学力」であれば,「領域・教科は何か」「単元は何か」「学習の,どんな場面でどのような子どもの行動や成果がみられた時,子どもが育ったといえるのか?」
「豊かな心」とは,「どんな場面で」「どんな行動や発言が見られた時に,子どもが育ったといえるのか?」
要するに,子ども達の育ちについて,具体的な場面を想定して,イメージできる事が必要です。
いわゆる行動目標ですね。評価規準が,それにあたります。
さて,繰り返しますが,子ども達の成長を測るものさしは,より具体的でなくてはなりません。
なぜならば,私達のサービスの対象である子ども達は,抽象的なものや言葉について理解する力がまだ未熟だからです。
相手に理解できない言葉をいくらかけても,理解してくれないのは当たり前の事です。
ところで,ものさしが具体的であればあるほど,場面毎に違うものさしが必要になります。ですから,ものさしの数は,多いほどよいと言うことになります。
「学力です」とか,「豊かな心です」とかいう価値規準の概念が必要ないといっているのではありません。このような上位概念でくくられる,具体的なレベルの基準をたくさん持つべきだといっているのです。イメージでいうと,「基礎学力」という入れ物の中に,「1年の算数の足し算の学習では,繰り上がりの素過程36題を暗記している」「国語の漢字の学習では,とめ,おれ,はらい,まがりを意識して書ける」「・・・・」等々のものさしが入っていて,教師は必要な場面でそれらを取り出して,子ども達の成長を測って,誉める事を主にして成長の程度を知らせてあげる,というイメージです。
具体的なものさしをどうやって手に入れるかについては,教育書を読む,身近な教師に教えてもらう,インターネットで調べる,サークルに参加する,等々,あなた自身の努力が必要となります。これが面倒くさいなら,教員は続けていけません。大変ですが,がんばってください。
しかし,中には,具体的なイメージを持ちながら,誉めることを主にできないと悩んでいる教師もいると思います。
「誉めたいけど,誉められるレベルまでとても達していない。」「誉めたいけど,誉めるところが見つからない。」
「励ましているつもりなのだが,子ども達は教員に怒られているようにしか感じてくれない。」
この場合,価値規準そのものには問題ないのですが,より低い基準からより高い基準に至る,規準達成までの具体的なイメージを教師が持っていないことが問題です。
言い換えると,「ものさしの目盛りが少ないので,子ども達のわずかな成長を見逃してしまっている」と言う状態です。
たとえば,「水泳のクロールの学習で,息継ぎをして25メートル泳げるようになる」というものさしを持っている場合,わずかな成長も見逃さないようにするためには,「25メートルまでを5段階のレベルに分け,5メートルごとに息継ぎをして泳げたらその段階のレベルで合格とする」「息継ぎなしで泳ぐ場合も,5メートルごとに合格レベルを分ける」など,ここまでできたら誉めるという段階の数をたくさん増やすことです。言い換えると,ものさしの目盛り(基準)を増やすということです。そして,レベル(基準)ごとに誉めた上で,次のレベルへ挑戦するように励ますことが大切です。それぞれの段階での小さな進歩,「スモールステップ」を大切にしましょう。
原則その10「子ども達の成長は,少しずつである。目盛りの細かいものさしをたくさん持って,こまめに誉めることを主にして,子ども達の成長を長い目で見守ろう。」
学級担任として,子どもたちと過ごす1年間は,短いと感じている教師は多いと思います。さまざまな行事の忙しさの中で,1年間があっという間に過ぎていきます。しかし,その感覚から来る焦りから,「怒ってばかり」で,「誉めてくれない」教師となって,かえって子ども達の成長を阻害している事があると自覚しましょう。深呼吸をして,子ども達の成長を長い目で見守ろうと何回でも決心し直してみましょう。
「こまめに具体的にタイミングよく誉める。」
まどろっこしいようですが,子ども達の成長を促すには,これが最も近道なのです。
次回からは,児童理解についてお話したいと思います。