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【運動療法×機能解剖】股関節可動域と身体機能の深い関係:変形性股関節症患者100名から見えた筋力と痛みの影響

関節の機能障害に対する理学療法において、可動域制限への介入は基本的なアプローチの一つですよね。

ご存知の方もいると思いますが、可動域制限が身体機能に与える影響について、そのメカニズムを詳細に検討した研究がありましたので共有したいと思います。

今回は、変形性股関節症患者100名を対象とした研究から、股関節屈曲ROMと身体機能の関係性について、特に股関節伸展筋力と疼痛の媒介効果に注目したものです。

タイトルは
“Hip flexion range of motion and physical function in hip osteoarthritis: mediating effects of hip extensor strength and pain.“

訳すと
「股関節屈曲可動域と身体機能の関係:変形性股関節症の視点から」

となります。


1. 研究の概要

変形性股関節症(OA)では、股関節屈曲可動域(ROM)が低下し、日常動作が制限される。しかし、ROMの低下がどのように身体機能に影響を与えるのかは明確ではない。

この研究では、股関節伸展筋力(大殿筋・ハムストリングスの筋力)と股関節痛が、この関係を媒介しているかを検討した。

2. 研究方法と結果

対象は変形性股関節症患者100名(平均62歳)
股関節屈曲ROM→ デジタル計測
股関節伸展筋力→ 力変換器で測定
身体機能評価→ 歩行速度、ステップテスト、階段昇降テスト

結果として、股関節屈曲ROMが広いほど、身体機能が高かった
股関節伸展筋力が、歩行速度やステップテスト成績に影響
痛みが、階段昇降能力に影響

つまり、股関節屈曲ROMの低下が、筋力低下や痛みを介して身体機能低下につながると考えられる。

3.臨床的意義

この研究は、股関節の可動域を維持・向上させることが、身体機能の維持に重要であることを示している。

臨床では、
可動域改善→ 関節モビライゼーション・ストレッチ
股関節伸展筋強化→ スクワット・ブリッジ運動
痛みの管理→ 徒手療法・運動療法

を組み合わせることで、股関節機能を総合的に改善できる可能性がある。

4.まとめ

股関節の伸展筋力を鍛えることで、股関節屈曲ROMの影響を最大化できる点は興味深いです。

当たり前のようにも感じますが、歩行や階段昇降に課題がある患者には、可動域だけでなく筋力強化にも十分に時間をかけるべきですね。

股関節可動域の低下が機能障害を引き起こすメカニズムを理解し、適切な介入を行うことを改めて感じました。

参考はこちら
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19405017/


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PT yoshi
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