給料明細(控除欄)の読み方メモ
給料明細、皆さんしっかり見ておりますでしょうか?私は恥ずかしながらあまりしっかり見ることがなく、久々に見てみると、項目の内訳や計算方法などがピンとこない項目がありました。
そこで、今回は備忘録を兼ねて、主に控除欄に記載のある内容を整理したのでメモとして残しておきたいと思います。
控除欄とは
給料明細の控除欄には給料明細の控除欄には、給与から差し引かれる金額や項目が記載されています。
主に以下のような内容が含まれることが一般的です:
1. 社会保険料
2. 税金
3. その他の控除
4. 福利厚生関連
ここでは、私の給料明細を参考に、主要な項目の中身と計算方法の概要を記載します。
健康保険料
健康保険料の目的
社会保険の一種。病気やケガ、出産、死亡などで予想外の出費が発生した際に、医療費の一部負担軽減や、傷病手当金・出産育児一時金などの給付を受けることで生活の安定を図ること。健康保険は、被保険者と事業主が負担し合う保険料を財源とする、公的医療保険制度の一つである。
健康保険料の計算
健康保険料は、被保険者の標準報酬月額に保険料率を乗じて計算される。保険料率は都道府県単位で異なるが、おおむね10%前後で、被保険者と事業主が折半して負担する(それぞれ約5%ずつ)。
メモ:保険者とは
医療保険制度の保険者は、保険料の徴収や保険給付を行う医療保険事業の運営機関で、以下の種類などがある。
健康保険組合: 主に従業員700名以上の企業やグループ企業が独自に設立できる。政府管掌保険の業務を代行し、独自の保険料率や給付内容を設定できる場合もある(例: 関東ITソフトウェア健康保険組合など)。
全国健康保険協会(協会けんぽ): 中小企業の被保険者が主に加入する公法人。平成20年10月に設立され、以前は「政府管掌健康保険」と呼ばれていた。
介護保険料
介護保険料の目的
社会保険の一種。介護保険制度は、高齢者や要介護者の介護を社会全体で支える仕組みで、介護保険料と公費(税金)を財源としています。要介護者に対する訪問介護やデイサービス、特別養護老人ホームの利用など、介護サービスを受ける際の費用を軽減することを目的としています。
介護保険料の計算
介護保険料は、40歳以上の人が納める必要があります。以下の2つの区分があります:
第1号被保険者(65歳以上):
市区町村が保険料を決定し、年金から天引きされることが一般的です。保険料は地域ごとに異なり、3年ごとに見直されます。第2号被保険者(40歳から64歳):
医療保険に加入している人が対象で、健康保険料と合わせて給与から天引きされます。介護保険料率は、全国の65歳以上の第1号被保険者と40歳から64歳までの第2号被保険者の人口割合に基づいて決定され、3年ごとに見直されます。
厚生年金保険料
厚生年金保険料の目的
社会保険の一種。厚生年金保険料は、被保険者とその遺族の生活を救済することを目的として、厚生年金保険の給付に必要な費用を賄うものです。
具体的には:
被保険者が高齢になったとき: 老齢厚生年金として定期的に支給されます。
被保険者が障害の状態になったとき: 障害厚生年金として定期的に支給されます。
被保険者が亡くなったとき: 遺族厚生年金として遺族に定期的に支給されます。
厚生年金保険料の計算
厚生年金保険料は、会社員や公務員が加入する厚生年金に支払う保険料で、保険料率は2020年9月以降一律の18.3%です。厚生年金保険料は、加入者と会社が折半で負担します。
※厚生年金の保険料には上限があり、月収は63万5000円、賞与は150万円を超えると保険料は増えません。
確定拠出年金
確定拠出年金は、加入者や事業主が拠出した掛金を運用し、その運用結果に応じて給付額が決定される年金制度です。掛金は法令で定められた拠出限度額の範囲内で設定され、以下の2種類に分類されます:
企業型確定拠出年金(企業型DC):
主に事業主が掛金を拠出し、従業員が選択した運用商品で資産を運用します。従業員が追加で掛金を拠出できる「マッチング拠出」の仕組みも利用可能です。個人型確定拠出年金(iDeCo):
加入者が拠出する掛金をもとに運用を行う制度で、自営業者や企業年金のない会社員、公務員などが対象です。
メモ:マッチング拠出年金
マッチング拠出年金は、企業型確定拠出年金(企業型DC)において、事業主掛金に加えて従業員が一定の範囲内で掛金を拠出できる仕組みです。掛金の合計は法令で定められた上限額を超えない範囲で設定されます。
上限額の例(厚生年金加入者の場合):
事業主掛金と従業員掛金の合計が55,000円まで。
雇用保険料
雇用保険料の目的
雇用保険料は、労働者が以下のような場合に生活を支援するための給付に充てられます:
失業時の給付(基本手当など)
育児休業給付や介護休業給付
職業訓練や教育訓練給付
これにより、労働者が安定して生活しながら再就職やスキルアップを目指すことが可能となります。
雇用保険料の計算
雇用保険料は、従業員と事業主がそれぞれ負担します。従業員の給与や賞与に基づき、以下の計算式で求められます:
計算方法(一般事業の場合):
従業員負担分: 支給額 × 雇用保険料率(例:0.6%)
※雇用保険料率は事業の種類により異なる
所得税
所得税の目的
所得税は、国の財源として重要な役割を果たしており、以下の目的を持つ税金です:
公平性の確保: 収入に応じて税負担を求めることで、所得再分配を図ります。
財政の安定化: 公共サービスや社会インフラの維持・運営に必要な財源を確保します。
所得税の計算
所得税は、個人が得た所得(給与、事業所得、利子、配当など)に課される税金で、累進課税方式を採用しています。計算の基本的な流れは以下の通りです:
・所得税の金額=課税所得金額×税率-控除額
※税率と控除額は下の表参照
・復興特別所得税の金額=所得税の金額×2.1%
住民税
住民税の目的
住民税は、地方公共団体が提供する行政サービス(例えば、ごみ処理、道路整備、学校教育、防災活動など)の財源を確保するための地方税です。地域住民が地域社会の一員として、その維持と発展に貢献する目的で課されています。
住民税の計算
住民税は前年の1月1日から12月31日までの所得(収入から必要経費や控除を差し引いた額)を基準に計算されます。具体的には、前年の所得に基づいて住民税が計算され、翌年の6月から翌々年の5月までの期間に納付する形になります。
所得金額の算出:
収入金額(給与など)から「給与所得控除」を差し引いて計算します。
所得金額 = 収入金額 - 給与所得控除
課税所得金額の算出:
所得金額から、各種所得控除(基礎控除、扶養控除、社会保険料控除、医療費控除など)を差し引きます。
課税所得金額 = 所得金額 - 所得控除額
所得割の計算:
課税所得金額に税率を適用し、さらに税額控除を差し引いて計算します。
所得割 = 課税所得金額 × 税率(10%) - 税額控除額
税率内訳:
道府県民税または都民税:4%
市町村民税または区民税:6%
均等割の計算:
所得金額や控除にかかわらず、定額で課される税額です(例えば、年間5,000円程度:道府県民税1,500円、市町村民税3,500円)。災害復興などの理由で、臨時的に引き上げられることもあります。
住民税の合計:
所得割+均等割を合計した金額が住民税となります。
最後に
給料明細の控除欄に記載される主な項目についてまとめました。人によっては、これ以外の項目が含まれる場合もありますが、基本的な内容は以上になります。内容を忘れてしまったときなどに、参考にしていただければ幸いです。
では
Yoshi