ラブロック氏、かっては「人為的地球温暖化論者」だった!
7月末、英国の環境科学者で、地球を1つの生命体とみなす「ガイア理論」を提唱したジェームズ・ラブロック氏が亡くなった(103歳)。
CNNは、次のように報じた。『ラブロック氏は科学界に多大な功績を残した。中でも地球を1つのモデルとみなし、生物と非生物が互いに作用し合って1つの生命体として欠かせない複合的な仕組みを形成していると説いた「ガイア理論」は大きな影響を与えた。
早くから環境行動を提唱し、同氏が打ち出した理論は世界の生態系に関する現代の気候科学者や生物学者の考え方の礎となった』と。
2006年当時、ラブロック博士は熱心な「人為的地球温暖化論者」であり、恐ろしい気候シナリオを推進していた。地球が病的な熱病にかかり、60億人が滅亡するとも予測していた。生き残るわずかな繁殖ペアは、気候が耐性を保っている北極にいるだろうとも。
2010年以降、博士は立場を逆転させた。「私は気候変動について警戒論者であった。そして、現在(2012年)は、人為的な地球温暖化運動の声高な批判者としての役割を果たしている。問題は、気候がどうなっているのか、私たちが知らないということだ。20年前、私たちは傲慢にも分かっていたと思っていたのだ」。
NBCニュースに、その一端を知ることができる。
一部、 抜粋翻訳してみた。
『92歳のラブロックは、新しい本を執筆中であり、その中で、気候変動は起こっているが、かつて恐れていたほど速くはない、と述べる予定である。
彼は以前、気候変動の影響について最も悲惨なヴィジョンを描いていた。2006年、イギリスのインディペンデント紙に掲載された記事では、「今世紀が終わる前に、何十億もの人間が死に、生き残ったわずかな繁殖ペアは、気候が耐性を保っている北極圏にいるだろう」と書いていたのだ。
しかし、教授は、今は「外挿し過ぎた」と思っていると認めた。
来年出版予定の新刊は、これまでの著作「ガイアの復讐:なぜ地球は反撃するのか、そしていかにして我々はまだ人類を救うことができるか」、「ガイアの消滅:最後の警告」に続く3部作となる予定である。
新刊では、植物がCO2を吸収して酸素を作り出すのと同じような調和のとれた役割を果たし、地球の自然システムを調整するために、人類がどのように行動様式を変えることができるかを論じる予定だ。
また、「地球温暖化は予想通りには起きていない」という彼の新しい意見も反映されるだろう。
「ミレニアム以降、世界はあまり暖かくなっていない。12年というのは妥当な時間だ。CO2は上昇している、それは間違いない。気温は上昇しているはずなのに、ほぼ一定に留まっている」とも述べた。
ネイチャー誌は、「環境科学におけるラブロック氏のほとんど比類のない影響力は、代わりに物事を見る特定の方法に基づいている」と書いている。「謙虚で、頑固で、魅力的で、先見の明があり、誇り高く、寛大な彼のガイアに関する考えは、生物学の概念に変化をもたらし、DNAやタンパク質の構造、遺伝暗号をもたらした革命の重要な補完物として機能するかもしれない」と。