見出し画像

豪州:メタンガス削減に世界最大の野生の個体群が含まれていない

メタン規制の現状は

数年前から脱炭素運動で、CO2の他にメタンに対して注目が集まっています。温暖化係数がCO2の20数倍(GWP-100)あるいは、20年基準で80数倍だということもあり、緊急に対策を取るべしということで、ヨーロッパでは、メタン排出削減、窒素肥料削減などの規制を政府が導入しようとしています。これに対して、農業・牧畜業従事者の抗議デモが起きています。

この話は、オーストラリアでの話です。広大な国土に、2000万程度の人口の国、多くのそして珍しい野生動物が多い国としても知られています。

そういう野生動物が、メタン排出規制の対象になっていないと、議員さんが主張しているということです。

最後に、我が国にも該当する、エネルギー政策の在り方が書かれています。

2400万頭の野生の豚

 牛や豚などの家畜から排出されるメタンガスを削減しようとする動きが続いているが、「オーストラリアのような国に生息する大量の野生動物を考慮に入れていない」とある国会議員が指摘した。
 
国民党の議員が、「家畜の鼓腸や腹鳴を抑制するための現行の対策や提案は、科学を考慮する必要がある。オーストラリアには、家畜の10倍の野良豚がいる」と語った。
 
「これは、我々の資源部門と農業に対する裏の攻撃だ。科学についてなら、野生の動物の鼓腸も含まれるはずだが、そうなっていない」と語った。
 
オーストラリアには、大型の陸上捕食動物がいないこともあり、世界最大級の野性動物が生息しているが、政府のメタン排出抑制策の対象にはなっていない。
 
オーストラリアには、40万頭の野生の馬、500万頭のロバ、15万頭の水牛、100万頭のラクダ、そして2400万頭の野生の豚がいると推定されている(米国では、野生の豚はわずか600万頭)。
 

メタン排出削減の焦点は畜産業

科学者は、農業におけるメタン排出源の第1位は畜産業であるとしている。
 
カリフォルニア大学デービス校によると、メタンは世界の温室効果ガスの約14.5%を占め、牛1頭が1年間に排出するメタンの量は約220ポンドと推定されている。
 
メタンは二酸化炭素よりも環境に悪いとされている
 
そこでニュージーランド政府は、牛や羊などの家畜が排出するメタンガスの量に応じて、農家から税金を徴収することを検討しています。
 
この価格システムは、気候変動委員会という中央機関が設定することになっており、農家は年間15,000ドルから50,000ドル程度を支払わなければ、牛の数を減らされる危険性がある。
 
アーダーン首相は、「農業排出量に価格をつけ、削減するシステムを開発した国は世界にまだなく、我が国の農家が先陣を切って利益を得ることになる」と述べた。
 
この動きは、米国のバイデン政権が2021年11月に「グローバル・メタン・プレッジ」の一環としてメタン排出量を30%削減することを改めて約束したことを受けてのものです。
 
ホワイトハウスは、2022年9月29日の太平洋地域の首脳との会談後、「我々はすべての国に対し、2030年までに2020年比で少なくとも30%の集団的な人為的メタン排出を削減するよう促す」と述べている。
 
一方、オーストラリアの労働党政権は、ネット・ゼロを推進する一環としてこの提案を検討していると表明したが、まだ確固とした約束には至っていない。

ネット・ゼロへのさらなる警告

さらに議員は、オーストラリア政府がネット・ゼロを推進することは、同国の製造業を弱体化させると警鐘を鳴らした。
 
電力価格に莫大な影響を与え、電力価格をつり上げ、ネットワークの信頼性を低下させ、不安定にさせるだろう」と述べました。
 
また、2030年までに排出量を43%削減することが真剣に推進された場合、停電の現実的なリスクが存在すると述べました。
 
「今でも停電のリスクはあるが、特に、信頼性の高いベースロード発電所が早期に閉鎖されれば、さらに悪化すると思う。これはオーストラリアだけの問題ではない。今、世界中で起こっていることを考えると、オーストラリアは、そうしたリスクに耐えられるよう、できるだけ強くなければならない」と。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?