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CCS; 豪州ゴーゴンと苫小牧

近年、カーボンニュートラル社会実現に向けたCO2排出量削減手法の一つとして、CCS(CO2の捕獲・貯留)が注目されている。

CCSはCO2が大気中に放出される前に捕獲・回収し、地中や深海に安全に貯留する技術である。火力発電所や素材産業、石油精製産業などでは化石燃料に頼らざるを得なかったり、生産プロセスでは化学反応の結果としてCO2が発生したりするため、CCSは有効な脱炭素化オプションの一つと位置づけられている。

最近、豪州のゴーゴンにおけるCCSプロジェクトについての報告があった。このプロジェクトは2019年8月に運転を開始し、天然に存在するCO2を沖合のガス貯留層から採取し、地下2000mの巨大な砂岩層に注入する。このプロジェクトは、シェブロンがエクソンモービル、シェルと共同運営している。ゴーゴンCCSプロジェクトは、排出されるCO2の80%、つまり年間400万トンを回収すると期待されていた。

この報告書によると、2024年度の実績はわずか160万トンに過ぎず、2019年の開始以来最低の実績であったとのこと。

一方、日本政府は「2050年カーボンニュートラル」を目標に掲げ、2030年までにCCSの商業化を目指して技術開発やインフラ整備を進めていくとしている。グリーン成長戦略では、製鉄、セメント、化学産業といったCO2排出量が多い産業分野を対象として、CCSを積極的に活用する方針を示している。経済産業省が主導し、技術の確立や貯留地の調査を目的とした実証事業が行われ、民間企業や研究機関が協力してプロジェクトを推進している。

主要なプロジェクトとして、北海道苫小牧市で日本初の「大規模なCCS実証プロジェクト」が実施され、製油所や発電所から排出されるCO2を回収し、地下約3,000メートルの地層に貯留、2012年~2020年の実証期間中に合計約30万トンのCO2を貯留し、安全性の確認や技術的課題の評価が行われた。

CCSの課題としては、コストの高さ、貯留適地の限定性、社会的受容性、技術革新の必要性、法規制の整備などが指摘されている。

豪州のCCS事業から日本が学ぶべき教訓については、以下のurlから➡

豪州の象徴的ゴーゴンCCSの教訓と我が国CCSの未来 – Global Energy Policy Research | GEPR


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