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200921 思てたんとちゃうMINOH
シルバーウィーク、珍しく平日の休みが取れたので、こんな時節柄でないとまあまず旅先には選ばない北摂に行くことにした。
幼い頃サルに囲まれた記憶がある箕面の滝を見に行って、大阪きっての有名旅館、池田の不死王閣に泊まる一人旅。その初日の箕面が何もかも思てたんとちゃうかったという話。
ちなみに大阪以外ではご存じない方も多いかもしれないが、箕面は「みのう」じゃなくて「みのお」なのである。阪急電車の箕面線で行くのである。
朝9時、箕面駅出発
駅前には名物のもみじの天ぷらを売ってそうなお土産物屋さんが並ぶが、さすがにまだ開いていない。
実は私はこの時点ですでにいくつかのミスに気づいていた。まず、駅で地図が載ったパンフレットをもらうのを忘れた。滝まで勘で辿り着けるだろうか。そして、日焼け止めを持ってきていない。思ったより日差しが強く日焼けしてしまいそうだ。
さらに、私は滝までお散歩程度のイメージだったので街歩きそのままの恰好で来ていたのだが、周りの人たちを見るとがっちりハイカー的なお召し物でいらっしゃる。急に不安になってきた。
大勢の人たちについて歩いていくと、ベンチに足湯。至れり尽くせりじゃん。こういうスポットがちょくちょくあれば余裕かも。
いざ、箕面公園へ
箕面公園の入口、ちゃんと「箕面大滝はこちら」の看板が出ている。この調子なら勘に頼らずとも滝まで行けそうだ。
公園入り口にも「大阪コロナ追跡システム」のQRコードが掲示されていた。
サルに食べ物を与えることは条例違反だそう。
小川のせせらぎに沿って雰囲気のある古民家が建ち並ぶ。
この辺までは比較的心に余裕があったのだが……
だいぶ序盤、昆虫館に差し掛かったあたりで気が付いてしまった。
あれ、なんか妙じゃね?
ずっと上り坂じゃね? これキツくね??
土産物屋さんやお茶屋さんがあったのは最初だけ。ベンチも全然ないし、休憩しようと思ったら道端に座り込むことになってしまう。やばいやばいやばい。
もう日焼けとかどうでもいいけどとにかく汗だく。坂の傾斜は時折「うそでしょ?」と言うほどきつくなり、登山登山登山、はいもうこれ登山よ。
道の横には「土砂災害危険区域」の注意も。しんどい上に怖い!
ゼエゼエ言いながら、両手で空気を漕ぐみたいにして何とか前進を続け、たどりついた休憩所。呆然としながら水をごくごく飲む私の前を軽快に歩いていくご高齢ハイカーの皆さん、さらには好き好んでこの坂道を走るジョガーの方まで…… 宇宙の神秘を感じてしまう……
休憩を終えて、残りかすみたいな体力で歩いていると、建物がちらほら見えてきた。これは、滝が近いのでは!?
9時45分、箕面大滝到着
やったー! 到着しましたー!!
そらナイアガラほどではないけども十分に立派な滝。繊細で美しい。
滝の前のベンチに腰かけて、しばし滝をぼーっと見る。
本当に一人で来てよかった。デートか何かで来ようものなら、疲れた私が機嫌を損ねてけんかになる。それはもう確実にそう。絶対そう。
しかし、滝の周りには何もない。売店も閉まっているし、滝以外に見る物も特にない。マイナスイオンを浴びるだけ浴びたら、来た道を帰るのだ。
10時、滝から帰る
行きが上り坂だったので帰りは下り坂。いやー、下り坂はいい。坂は下りに限る。再び心に余裕が生まれ、渓谷の美しさに気づく。
昆虫館の横にはこんな碑があった。上り坂では気づかなかった。
もうずいぶん降りてきたころ、坂を上ってきた祖父・母・息子の三人連れの息子がぐずっていた。母親が「おじいちゃん、あとどれくらい?」と聞くと、唯一滝の経験者だという祖父が「もうちょっとや」と答える。(んなわけあるかい! こっから地獄やで!)と心の中でエールを送っておいた。
箕面名物「もみじの天ぷら」
公園の出口近く、「桃太郎」というお店に人だかりができていた。もみじの天ぷらに関しては、私自身若干懐疑的な立場であったものの、揚げたてが食べられるというので、一つ買って食べてみた。
もみじの天ぷら、こんなおいしいんかいな!
やさしい甘さで食感はカリカリ。揚げたての温かさでおいしさ倍増である。
もみじの葉っぱ自体の味は、と言われると特段しないんだけども、まあ、そういうものなんだな。
10時45分、おしゃれカフェへ
ちょっと早めにランチを食べてしまおうと事前にチェックしていたカフェ「KAJIKASOU」を訪問。
外観もおしゃれだが、店内もおしゃれ。
しかし、ランチがカレーかパスタくらいしかない。うーん、どっちも気分じゃないんだなー。あ、パンケーキかー。まあ、物足りなかったらどっかで別のもの食べるか。というわけであまり期待せず「ほうじ茶パンケーキ」を注文。
しばらく待っていると、背後からほうじ茶が近づいてくるのがわかる……
わー! すごい! ほうじ茶そのものの香り!
食べてみると、甘さ控えめのパンケーキの気泡という気泡に香りが充満していて噛むたびに鼻に抜ける。少しバターをつけると、あ、この組み合わせもおいしい! 食べ進めていくと、底にはシロップが溜まっていて適度な味変になった。結構ボリュームもあり結果的には大満足!
いろいろ思てたんとちゃうかった
散歩程度だと思ってた滝までの道はわりと登山だったし滝まで行っても特に何もなかったけど、滝に辿り着いた達成感はなかなかのものがあったしもみじの天ぷらは思ってたよりおいしかった。
そして何より、一匹もサルを見かけなかった。見かけたのは看板にいたこいつだけ。
何もかも思てたんとちゃう箕面でした。