#32 最後の難関
パスポートをコントロールしてほしい
私を乗せたルフトハンザ航空国内線はベルリン・テーゲル空港を出発し、ミュンヘン空港に到着。あとは関空行きの国際線に乗り換えて帰るだけ。しかし、この時点で私は大きな不安を抱えていた。
ベルリンで保安検査は受けたものの、出入国審査は受けていない。きっとここ、ミュンヘンで受けるのだが、飛行機がミュンヘン空港に着くと、私は国際線に乗り継がない多くの人たちとともに空港内に放たれてしまう。間違った方向に行ってしまったが最後、私は一生ミュンヘン空港に留まらないといけなくなるかもしれない。
不安すぎて降りるときにCAさんに聞いてみた。「かくかくしかじかで、どう行ったらいいかご存じですか?」「あなたの言う通り、パスポートコントロールは必要だけど、このまま歩いていけば書いてあるから」……本当に!?
ルフトハンザのアプリによると、次に乗る国際線の搭乗口はターミナル2にあるゲートHだ。とりあえず、そこを目指して歩いていく。
行先表示板に注意しながら進む。ターミナル2はこちら。ゲートHはこちら。おいおい、どんどん進むぞ。結構歩いた。このままだと、”素”のままゲートHに着いちゃうよ。
あ、ルフトハンザのインフォメーションカウンターがある。さすがフラッグシップキャリア。
「すみません。日本行きのルフトハンザに乗るんですけどまだパスポートコントロールを受けていなくて。どこで受けられますか?」「あー、大丈夫ですよ。ゲートHに行く手前にありますから」……本当に!?
……あったー! ありました! ご心配をおかけしました!(主に自分に)
短い列に並んで審査を受ける。ふと見ると、誰も並んでいない無人審査機みたいなのもある。もしかして日本のパスポートならそちらを通れたのかもしれない。
何はともあれ、無事「あとは乗るだけ」状態になった私。搭乗までまだまだ時間はある。しばし免税店が並ぶエリアでゆっくりしよう。
免税店エリアをうろうろ
ミュンヘン空港の免税店エリアは関空と同じか少し小さいくらいのボリューム。レストランやカフェもいくつかある。
ここで私には買いたいものがあった。
このとき私が穿いていたのは、日本を出るとき関空でこの状態になった裏ボア&防風ぬくぬくズボン。機内でリラックスする用のズボンをこれしか持ってきていなかったのだから仕方ない。
もし関空の免税店エリアみたいにユニクロ的な服屋さんがあればズボンを買いたいと思っていたのだ。
結果、なかった。端から端まで免税店を見て回った結果、さらに下半身がぽかぽかになり汗ばんで不快になっただけだった。まあ、仕方ない。ズボンを膝までまくり上げて凌ごう。
最後の”本場の味”
出発前にドイツ料理をもう一つくらい食べておきたい。
そう思った私が入ったのが、エリア内で一番ドイツっぽいお店「Airbräu Next to Heaven」(写真は公式)
中でも飛び切りおいしそうだったローストポーク「シュヴァイネブラーテン」を注文してみた。もちろんビールも。
おいしーい! 皮はカリカリ、お肉はしっとりでソースもコクがあって美味。付け合わせのクヌーデル(ジャガイモ団子)はモッチモチ。ビールとの相性は言わずもがな。最後の最後まで満足させてくれるなあ。
ユーロ使い切り大作戦
ベルリン・テーゲル空港で朝食を買った時点で私の所持金は15.93€。レストランの会計には足りなくてカードで支払ったので、飛行機に乗るまでにこれを使い切らなければいけない。
私はいつも帰りの空港で現金をすべて使い切って帰ることにしている。方法は、というと、免税店で手持ちの現金を超える買い物をして、足りない分をカードで支払うのだ。
できれば日本で買えないものがいいなーと免税店を見て回っていると、ピンクでかわいらしいBenefitというコスメブランドが目に付いた。ここでアイライナーとコンシーラを購入。持っていたユーロをすべて出し「残りはカードで払います」と言って使い切り成功! ユーロ終了!
さあさあ、そろそろ搭乗ゲートに向かおう。