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【ゲームプレイ感想】サクラノ刻 -櫻の森の下を歩む- 【R18】

※本記事にはネタバレを含みます。未プレイの方は閲覧にご注意ください。
また、本記事に記載する内容はあくまで個人の感想になります。

サクラノ詩を完走して、すぐにプレイを始めました。

実はこういう感想を書く際、プレイしながら書くのですが、今回だけは完走してから書いてます。煙のような言葉は吐けません。

本当に素晴らしい作品でした。
令和発売では現時点最高のノベルゲームではないでしょうか。

自分はこういうノベルゲームなど含めて、プレイ中に泣いてしまうことはほとんどないんですが、Ⅳ章の夏目圭とⅤ章の長山香奈だけは泣いちゃいました。
正直、Ⅴ章の展開を僕は否定的な目で見てました。ですが、VS長山香奈のシーンだけは良かった。

タイトル:サクラノ刻 -櫻の森の下を歩む-
ブランド:枕
公式サイト:
https://www.makura-soft.com/sakuranotoki/

  • シナリオ    ★★★★★ [5/5]

  • 絵       ★★★★★★ [EX!/5]

  • 音楽      ★★★★★★ [EX!/5]  

  • キャラクター  ★★★★★ [5/5]

  • お勧め度    ★★★★★ [5/5]

【シナリオ】

前作と同様な形式で、Ⅰ章~Ⅱ章、Ⅲ章で分岐、Ⅳ章~Ⅵ章を駆け抜けていくスタイルです。
前作と異なる点は、Ⅰ章から最高に面白いということです。
Ⅳ章の夏目圭の過去編は、本当に良かったですね。
Ⅴ章プレイ時、自分は「・・・w」みたいな感想になってました。それくらいあのライブペイントの展開+伯奇水での絵画には否定的でした。
そして、新生美術部や雫・稟・里奈の出番や見せ場がほとんどないのも悲しかったりします。
ただ、このゲームのメインは「草薙直哉」と「夏目圭」です。
サクラノシリーズをやってれば分かると思いますが、本当の1つの章でスポットがあたるキャラクターが明確な作品です。だからこそ、そのキャラクターを深く知れるし、この面白さなんですよね。
その事実を考えると、この扱いは仕方ないし、納得できます。
(エロゲーなのに男メインの作品なんですよね・・・)

【絵】

最&高。もうこれ以上ないです。僕はバイク2ケツしているシーン(直哉&美鈴、健一郎&圭、圭&美鈴)と、VS長山香奈の描いているシーンが大好きです。

【音楽】

OPもBGMも全て最高峰。グランドEDに櫻ノ詩がくるのも予想通りでしたが、直哉の絵画の開花シーンで流れるのは予想外でした。

【キャラクター】

このゲームプレイして、「草薙直哉」「夏目圭」「長山香奈」「草薙健一郎」
こいつら嫌いになる人間がいるのか?そう思わずにはいられない。
個人的には「本間美鈴」「片貝」の2名も大好きです。
片貝は絶対なんかあるよなぁと思いながら読んでましたが、最後に深堀りされてびっくりしました。
生涯忘れないレベルで、上記の存在は記憶に刻み込まれます。
欠点ではないですが、スポットが当たるキャラクターが明確なので、全く見せ場のないキャラクターも存在します。(例:新生美術部、夏目雫など)
ですが、これは仕方ないことだと思います。なんかファンディスクとかで補足されるのを待つしかできないと思ってます。

第 I 章:La gazza ladra <泥棒カササギ>

正直、また20~30時間退屈な感じの時間を過ごすと覚悟していました。
そんな思いは杞憂に終わりました。超面白かった。
ざっくり書くと、鳥谷静流と中村麗華の過去、そして静流が完成させた「雪景鵲図花瓶」がどういう経緯で作成され、作成されたことで2人の仲がどうこじれ、その作品に対しての意味を静流が見出すところまでを描いています。
サクラノ詩の真琴ルートでざっくり描かれていた箇所を、深堀りした形になってたと思います。
鳥谷静流が作成した「雪景鵲図花瓶」は、直哉が作成した「櫻七相図」と似たようなもので、贋作なんですが、真作でもあります。(作者や作成背景は偽っているんですが、贋作としては欠陥だらけという意味)
また、サクラノ詩では悪役だった中村麗華ですが、長山香奈同様「本物が分かる目」を持った凡人であり、だからこそ「雪景鵲図花瓶」にこだわっており、この作品が本物であると主張することで、静流を表舞台に引きずり出す踏み台になろうとしていました。この背景を知ったうえで、前作の真琴ルートのシーンを思い出すと、何とも言えない気持ちになりますね。(それ抜きにしても麗華の性格はひどいんですが)
正直、ずっと名前だけが出てた「静流」と「麗華」に関してはどこかで深堀りしてほしいなぁと思ってたので、いきなりきてびっくりしましたそれにしても面白すぎだろ。
そして、静流と健一郎の邂逅シーンも最高でしたね。健一郎ェ・・・。

第 II 章:Картинки с выставки <展覧会の絵>

弓張美術部が再興し、ムーア受賞作の展覧会を見に行くまでの話を描いています。なんか前作からのおさらいと言った感じのパートになってました。
「櫻達の色彩の足跡」を完成させたことで、教師としての道についても前を向いて歩んでいこう!みたいな流れになっていて、Ⅱ章の最後の方で、直哉が「教員としても歩んでも悪くないよな、圭」みたいなセリフを言うんですが、「絶対そうはならんだろうな」と読んでました笑
この状態の直哉を見て、圭は何を思うんだろう・・・って思ってました。
自分は直哉がこのまま教員の道を進んでいっても全然OK派です。ていうか、たぶんその方がエロゲーっぽいっす。

第 III-III 章:Night on Bald Mountain<禿山の一夜>

たぶんここからサクラノ刻という作品が始まります。
「本間美鈴」と「恩田寧」の対決を境に物語が分岐していきます。
なんかよく分からんBAD ENDになった時はびっくりしました。

恩田放哉視点で、「美の化物」の異常性をユーザ視点で明確にしていただけます。
そして、血筋と才能に恵まれていて、人よりは絵画の技術がある寧くんを「兄の後継」であり、美の化物である本間くんがボコボコにするのも、展開としてこれ以上なかったと思ってます。

飲み屋でノノ未くんが長山香奈の作品をべた褒めするのも良かった。別に芸術家や批評家から評価されるのが全てじゃないですからね。そのことを教えてくれます。でも、僕は上記が全てではないとはいえ、ノノ未くんのような一般人の心を掴むことも「才能」の1つだと思います。だからこそ、「長山香奈が凡人である」という主張には反対です。
長山香奈というキャラクターは、サクラノ詩からプレイし始めたときと今では、全く見方が違っていて、好きになってます。本当ノベルゲームってすごい。(そしてⅤ章で長山香奈に惚れることになります)

そして、ボコボコにされた寧くんを助けるかどうかで分岐します。
 助ける→教員√(本間くん、真琴ルートへ)
 助けない→芸術家√(TRUEまたは変なBADへ)

第 III-I 章:Der Dichter spricht

本間美鈴の個別ルートです。
キャラゲーでした。
「虚無から美を見出した」夏目圭の弟子に相応しいバックグラウンドをもつ、最高のキャラクターでした。
個人的なマイナス点としては、この章だったかは覚えてないんですが、アリア・ホー・インクの正体がすぐ分かっちゃったことくらいですね。直哉に対抗する芸術家が本間くん一人じゃ弱かったのかもしれないです。
本間心佐夫とゲーム作ることになるんですが、彼が作成した小説が直哉に刺さるという本来起こりえないことが起きたりしてます。
陳腐で幼稚なもので、技術なんて全然なくても、作品に魂がこもっていて、それがユーザの魂を揺さぶることができれば、それは立派な作品たりえるという感じの話を展開してます。すごく現代には刺さりそうですね。
このルートで間違いなく一番印象に残るのが、「草薙健一郎」と「本間礼次郎」の会話シーンです。決しておちんちん装着シーンではありません笑
礼次郎は六相図を見たときから、草薙健一郎が作者ではないことを分かっていて、でもその絵画が好きだったんだと思います。
この会話は、たぶんこの作品の根幹にあるものについて会話しているんですが、いかんせん解釈が難しいっすね・・・

第 III-II 章:kibou

何故か真琴のルートでしたね。てっきり寧ちゃんのルートかなぁとか考えてました。(※プレイ後にOP見返すとクレジットがちゃんと攻略ヒロインで並んでましたね。
調べてみると、前作のサクラノ詩は真琴ルートのライターさんが違うんですよね。だからこっちが「真」真琴ルートってことでいいのかなぁと思いながらプレイしてました。
なんかいきなりオナニー手伝ってくれる謎の女になってたのはあんまり気にしないようにしてました。
ざっくり書くと、真琴が弓張学園でやり残したことを直哉と一緒に解決していく話になっています。
このルートでのメインが「鳥谷真琴」「鳥谷紗希」「中村麗華」であったことから、天才の領域に達せなかったいわゆる「才人」や「凡人」たちの選択というのを強調して描いていたと思います(真琴は雑誌記者、紗希は教育者、麗華は批評家)。人よりはできるんだけど、突き詰めていけばいくほど絶望しか見えないんですよね。そういう人たちもいるんだということです。
自分は静流さんをあんな形で世に出すのはなんか違うなぁと思った派です。
あと、直哉くっそキザでしたね。あえて欠けた指輪渡すとか卑怯すぎる笑
そんなん惚れなおしてまうやろー!

第 IV 章:Mon panache!

僕はこのⅣ章がどの章よりも感動したし、面白かったと思っています。

過去編で、「夏目圭」という男の人生全てが描かれます。
 彼は何者で、どこからきて、どこへ行くのか
 虚無から美を見出した先に、何を見たのか
 2本の向日葵に込めた、作品の意味など
絵画以外のすべてを捨てて、草薙直哉を追いかけ続けた「幸福な人生」が描かれていました。感動しました。本当に良かった。
これ見た後に、サクラノ詩Ⅴ章の一部を見返したんですが、圭のセリフの意味が全然違ってきますね。

受け継がれていくバイクのシーンなんかもエモすぎるし、Mon Panache!から察してはいたんですが、素晴らしき日々でも見たようなセリフなどを聞くことができましたね。

美鈴をいじめてたやつらが無罪放免なのが一番許せねぇっすよ・・・

そして刻ト詩のFULLをここで聴けます。最高やぁ・・・
プレイ後に改めて歌詞を見ると
 見つめる 雨の空の底
 すべての想いを描け この身が燃えて絵画となる
 向日葵ノ詩 櫻ノ刻を奏でよ 交差する二つの目
 幸福の王子はツバメを待つ
すごいっすよね。上は歌詞の一部なんですけど、まんまですよね。
直哉から圭に捧げてる歌なんだなぁと改めて感じます。

第 V 章:D'où venons-nous ? Qui sommes-nous ? Où allons-nous ?

直哉が芸術家として奔ることとなり、登場人物みんなが直哉のためにと頑張ってたことが分かり、集合していく感じの流れになってます。
そして、まさかの直哉VS吹のあれが伏線のような形となり、ペイントバトルが開催されることになりました。

そして、直哉と藍がくっつきましたね。ここまで読んでても、直哉の嫁は藍以外ありえないと思うので、良かったと思ってみてました。

そして、ペイントバトルでVS本間美鈴、VS長山香奈を超えていく形になります。
VS長山香奈良かったすね。千年桜をあんな形で演出するとは思わず。(VS本間くんでなんもなかったので、VS稟で千年桜関連あるのかなと思ってたら・・・)
勝負後の病院での会話もGood。読んでる側もうっかり惚れちゃいそうだったので、勝負してた本人はなおさら惚れてまうやろ。

シナリオ部分の感想でも書いてるんですが、読んでるときはこのペイントバトルやら、稟が実は伯奇水で絵描いてましたとか、結構否定的な目で見てました。特に長山香奈VS氷川里奈なんて「?」って感じだったので。
でも「?」がなければVS長山香奈は生まれてないので・・・終わりよければすべてヨシ!!!

そしてVS稟。「あ、そこはペイントバトルじゃないんだ」となってました。「誰が稟と絵で競うかを決める大会だったっけ?」って振り返ってたんですが、読み返さないと真相が闇です笑。
伯奇水によって描かれた「向日葵」に始まり「向日葵」に終わる今までの軌跡を描いた作品を公開しました。すごかったですね。あそこで櫻ノ詩を流すかと。

Ⅵ章「櫻ノ詩ト刻」

坂本さんがあそこまで良いキャラになるとは思いませんでした。

坂本さんと稟が弓張の教員になってましたね。
さらに直哉と藍の子供である依瑠の登場でした。
(Kの次はLとくるか・・・ってなってました笑)
明るい子供でしたね。
そんな中で、最後はサクラノ詩同様のシーンで、物語を終えることになります。

終わりに

すごい面白かったです。令和最高傑作だと思います。本当にプレイしてよかった。
だからこそ、色々気になる点もあるんですよね。
特に稟と雫に対する深掘りが少なすぎたので、違和感を感じる人がいるのも仕方ないなと思います。
ただ、「草薙直哉」と「夏目圭」の物語としてみれば、これ以上ない出来なんですよね。
あと終わり方もめっちゃいいんですよね。なので全部ヨシ!
サクラノ響?が制作されるとの噂も聞いてます。何年後になるかわかりませんが・・・楽しみにしています!!!!

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