誰でもできるけど、誰でもはやらないこと

「自分は何もできない」と昔はよく嘆いていた。自分にしかできない何かを求めてさまよった。誰でもできることはしたくなかったし、それをしている人を見下した。才能がある人を羨んで、その度に自分の無力さに絶望した。今だってそういう瞬間がある。

でも、そもそも生まれつき特別な才能があることを期待するのが間違いなのだ。人によって得意、不得意はあっても、何の努力もせずに偉大な事を成し遂げられる人間なんていない。だからまずは、自分の無力さを受け入れよう。

自分はたった一人の特別な存在だと思っていれば、無能であることを受け入れるのは苦しい。でも、私達は所詮、宇宙の歴史のうちのほんの一瞬を生きるちっぽけな存在にすぎないのだと気づけば、自然と受け入れられる。

その上で、誰でもできるけど、誰でもはやらないことを積み重ねていくことが大切だと思う。自分だけの特別な才能を求めて、あれこれ手を出しても何も得られない。何も積み上がることなく、無駄に時間だけが過ぎ、より一層虚しくなるだけだ。

誰でもできるけど、誰でもはやらないことの積み重ねが自分だけの才能を作る。カフェでバイトをして稼ぐのは誰だってできる。でも、その仕事を通じて少しでも人を喜ばせようと試行錯誤する人はほとんどいない。

その試行錯誤はすごく地味で、すぐには報われないだろう。途中で諦めて、ラクをしたくなることもあるかもしれない。けれど、そのわずかな差が積み重なって大きな差になり、気がつくと自分にしかできない事が生まれているのだと思う。

だから、そんな日が来るまで、もうしばらくもがき続けよう。
私はここにいると叫び続けよう。

いいなと思ったら応援しよう!