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【散文詩】 美しいを信じてる



月に近づきすぎた少女は、今日も太陽に憧れている。いいかげん夜空を眺めるのにも飽きてきたし、別の場所を目指して歩きたかった。星は東に流れるばかりで、東から昇る太陽に混ざりあっていた。いくつになっても未来が見えないことに不安はないし、後悔もひとつもない。
いつか太陽に届きますようにと、少女は太陽が昇る時間に合わせて手紙を書いているけれど、余白がない。余白がないせいで、言葉が入りきらない。手元にあるのはまとまらない手紙ばかりで、伝えたいことはいつしかなくなった。
流れ星の成れの果て、少女はいつしか東の空に流れていき、地面の上の誰かに指をさされた気がした。記憶は生きるための燃料で、思い出は一瞬の爆発だ。ところで君は、私のことを、覚えていますか。



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きみのために風は吹いている そう思えるのはきみのかけがえのない生活が、日々が、 言葉となって浮かんでくるからだと思う きみが今生きていること、それを不器用でも表現していることが わたしの言葉になる 大丈夫、きみはきみのままで素敵だよ 読んでいただきありがとうございます。 夜野