一人暮ら詩
人は嘘をつく生き物だけれど、ぼくにはそれが許せない。ぼくの部屋にはぼくしかいなくて、ぼくがいないあのアパートの部屋は暗いままなのに、夜になると街は、ビルは、マンションや家は勝手に明るくなる。帰り道にすれ違う家である日、一筋の光が流れるのを見たとき、そうか、みんなの家には星が溢れてるんだと思ったし、星があるということは、月もあるということ。冬に燃える家を見て、ああ夏だなぁって思わないように、明るい窓を見て、家庭的で楽しそうで、こんな家と結婚したいなんて思わない。月の裏側みたいなぼくの生活に誰かの視線が到達するはずもなく、月と星をうらんでは、台所で少しずつ太陽を作り始めている。
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