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inagakijunya
妹は宇宙 【散文詩】
はじめまして、死ぬために生まれてきた死です。死の妹はとても可愛い宇宙だった。宇宙の綺麗な手から伸びる指先ではいつも雲がながれ、宇宙が歩けば生命の足音が聞こえてきた。死にとって、宇宙のすべてはわからないし、宇宙もまた、死のすべはわからない。それはまさに、朝が夜のことを知らないで、夜もまた朝のことを知らないようで、そのすべてを知らない真昼と同じようなことだった。死が知っていることといえば、赤色は夕日に変わるということ。宇宙が知っていることといえば、光は透明に変わるということだけ。言葉が欲しい、死は思う、宇宙はたくさんの言葉を知っているから、死はいつも宇宙のことが羨ましかった。宇宙も実は、死のことが羨ましかった。死は人間の形をしていたけれど、妹の宇宙は人間の形をしていないから手を繋いだことがない。手を繋いでみたかった宇宙は、どうすれば自分も人間の形になれるか死に尋ねると、死は答えた。
「不安定な気持ちばかりが安定して、はじめて宇宙は人間になるんだよ。」
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きみのために風は吹いている そう思えるのはきみのかけがえのない生活が、日々が、 言葉となって浮かんでくるからだと思う きみが今生きていること、それを不器用でも表現していることが わたしの言葉になる 大丈夫、きみはきみのままで素敵だよ 読んでいただきありがとうございます。 夜野