没後二百年、慕情、他 【詩作4編】
没後二百年
死にたい、
そうつぶやいたきみは、夜と同期する、
きみが眠っている間、深く深く眠っている間、
薬を飲んで眠る間、夢を見ている間、
きみは夜と同期するよ、
きみの情報は夜に流れて、
夜の静けさもきみに流れた、
きみは夜のことを知っていたし、
夜もまた、きみのことを知っていた。
人は死んだら夜と同化する、
だからきみが死にたいと思っても、
(思っていなくても)
きみはいずれ夜と同化して、
僅かな光の美しさを教えてくれる、
ぼくはその一瞬の光を、静かに待っている。
遊園地、
誰も乗っていないメリーゴーランドが
ぴかぴかした光と音楽を放ちながら回っている、
観覧車もジェットコースターも
やはり人は乗っていなくて自動で動き続けている、
遊園地は孤独を知らない、
だからいつも人を待って動き続けている、
誰かを待ち続けているわたしも、
遊園地そのものかもしれない、
声を出して歌を歌ったり、体を動かして踊ったり、
でもわたしは一体、
誰を待っているんだろう。
本当はわたし、
誰も待ってなんかいなくて、
本当はわたし、
孤独なんかじゃなかったのかもしれない。
ただ孤独のフリをして、誰かを道連れにして、
さみしいねって言って、
さみしいねって言い返されたかっただけだった。
海が流れる、川が流れる、雲が流れる、風が流れる、
そうやってわたしの孤独を、きみに流したかった。
カタバシス
いいなと思ったら応援しよう!
