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硝子の詩



月にふれてはじめて夜の冷たさに気がついた。星は回転することばかりを覚えて、光り続けることを忘れようとし、手のひらで浮かぶ船は海の夢を見る。思い出は懐かしさばかりを手に入れようとするから傲慢だ。
安心できるのは君の名前を呼ぶときだけで、君の名前を忘れてしまうことだけが不安だった。
人の人生は最初から終わりに向かって走り出しているのに、いまだに誰かが死ぬたびに当たり前だと思えない自分がいる。始まりに向かって走りだしたのは少女の声で、それはいつでも夜空と重なっていた。



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夜野なみだ
きみのために風は吹いている そう思えるのはきみのかけがえのない生活が、日々が、 言葉となって浮かんでくるからだと思う きみが今生きていること、それを不器用でも表現していることが わたしの言葉になる 大丈夫、きみはきみのままで素敵だよ 読んでいただきありがとうございます。 夜野