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花降ら詩



毎年わたしは四月になる度に花を降らせてはみたものの、立ち止まって花を見てくれる人は数人で、多くの人が急ぎ足で通り過ぎていく。季節は何月になっても訪れるはずのに、今が春なのか、夏なのか、秋なのか冬なのか、それともそれ以外の季節なのか、それはきみにもわからない。わたしたちの知っている春はきっと、迷子に違いなくて、空は雨を降らせて春を探し、風は花びらを降らせて春を探す。どうかこの季節が永遠であってほしいと願う頃、わたしの身体から最後の一枚の花びらが舞い、きみの眼下にゆれている。



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きみのために風は吹いている そう思えるのはきみのかけがえのない生活が、日々が、 言葉となって浮かんでくるからだと思う きみが今生きていること、それを不器用でも表現していることが わたしの言葉になる 大丈夫、きみはきみのままで素敵だよ 読んでいただきありがとうございます。 夜野