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色とりどりの気球を作っては空に飛ばす人が、みんなに虹を見せたがっている。夜道で見つけた花が美味しそうに咲いていたなんて言えないその人は、いつもの散歩道で、ほら、きれいでしょって、あの子の手を握りながら言いたかった。みんながみんな、誰かのためにと思って行動して、痛いくらいに悲しくなったら、木の葉の後ろに隠れて一人泣いている自分がいる。 めんどくさいって言われるんだろうな。お前なんか嫌いだと言われれば、そんなことはわかってるって言うくせに、お前のことが好きだと言われれば、本
人は嘘をつく生き物だけれど、ぼくにはそれが許せない。ぼくの部屋にはぼくしかいなくて、ぼくがいないあのアパートの部屋は暗いままなのに、夜になると街は、ビルは、マンションや家は勝手に明るくなる。帰り道にすれ違う家である日、一筋の光が流れるのを見たとき、そうか、みんなの家には星が溢れてるんだと思ったし、星があるということは、月もあるということ。冬に燃える家を見て、ああ夏だなぁって思わないように、明るい窓を見て、家庭的で楽しそうで、こんな家と結婚したいなんて思わない。月の裏側みたいな