そんなもん?
手を滑らせて落ちていくグラスを眺めながらも何も出来ないみたいに、摩耗した感情が解像度を下げていくのを見ていた。水面の揺らぎが消えたわけではないのだけれど、シャッタースピードの遅すぎるカメラのような思考では追いつくことが出来ない。感情にも思考にもどちらにもピントは合わず、ピンボケを味とも思えず、それでもシャッターを切り続けることをやめられない、壊れかけのカメラ。
なんてことを、気づけば幾月にいっぺんくらいしか思い出さなくなり、毎日そこそこ楽しく働き、ぼちぼち暮らしを保ち、なんだかんだ元気にやっている今日この頃。半身を置いて遠くへ来てしまったようだけど、半身がなくとも生きてはゆけるみたい。安堵と寂しさと、少しの焦燥感。
それもそろそろ終わり。もう遅いから寝なくちゃ。
それでいいの?
いいとか悪いとかじゃないんだよ。そういうものだから。
そうなの?
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