破門証明(12人目のAさん)
Aさんは64歳。
住所不定であちこち転々としていました。
肝臓がんで時々入院していたようです。
今までいくつかの病院に入院し、入院費は払ったり払わなかったりとのこと。
今回救急車で初めて当院に搬送され、保険がないということで連絡を受けました。
住所も不定で所持金もない、保険料も未払い。
状態はあまりよくありませんでした。
医療費について心配していたので、本人の希望もあり生活保護を申請することに。
生活保護の担当者に連絡すると、その人知ってるよ、という返事。
以前にも申請をしたことがあるらしいのです。
それならよかったと、本人の希望を伝え、病院に出張面接にきてもらうことになりました。
何枚もの書類の説明をしながら、申請書を書き終わった後で、最後に担当者のひとこと。
「ところでAさん、以前暴力団に入っていたけど、破門証明はもらってる?」
破門証明・・・?
どうやら仕事を辞めれば離職証明というものがあるように、暴力団を辞めれば破門証明というものがあるらしいです。
世の中にはいろんな証明があるものです。
しかし意外だったのは、Aさんが暴力団に入っていたということ。
どう見ても山下清風のすこしどもりがあり、のんびりしたおっちゃんでなかなか暴力団とは結びつきません。
面接が終わった後で、担当者にその辺聞いてみました。
すると、暴力団に入っていたのはいたのだけれど、あんな風なので電話番くらいしかさせてもらえなかったらしい。
その電話番もヘマばかりしていたので、結局クビになったとのことでした。
なるほどなるほど・・・。
こう言っては何ですが納得してしまいました。
人生いろいろですね。