【救助・YFD備忘録】カラビナへのトリプルアクセスは基本的に禁忌、なぜ「一か所吊り担架」ではOKか?
【救助】カラビナのトリプルアクセスは基本禁忌なぜ一か所吊り担架ではOKか?
こんにちは!
消防人・防災人に向けて情報発信を行うアカウントよろずFDを運営している管理者です。
今回は当アカウントのコミュニティYFD(現役消防士専用チャット)で話題になったトリプルアクセスについて備忘録を書いていきます。
□トリプルアクセスとは?
簡単に言うと上記の画像のような状態です。
カラビナの強度は本来鉛直方向(この写真なら水平方向)の強度が一番強いい強度になるように作成されています。
しかし、斜めに力が加わると別なベクトルが働きます。
これによりカラビナの本来の強度が保たれずに破損する恐れがあるのです。
(右へ8枚目の画像参照)
基本的にはトリプルアクセスは禁忌だと頭に入れておきましょう。
このような場合は下記のようなアンカープレートやデルタを利用します。
□絶対にダメなのか?
さて、基本的にトリプルアクセスはやってはいけません。
しかし、万が一資機材にアンカープレートが無い状態があるかもしれません。
この場合はどうするべきか??
参考になる動画がありますので紹介します。
検証結果は以下のようになります。
・カラビナは楕円型が良い
・楕円型が無ければ洋ナシ型で尚且つ逆さまにして利用
(細い方に2本スリングを掛ける)
・布などを掛けて破損した時の金属片の散らばりを防ぐ
・角度は45度以内で行う
だだし、この実験結果は亜鉛メッキのカラビナでありアルミの場合は多方向の負荷には強くないため破損する可能性が高いです。
知識の一つとして入れて頂けたらと思います。
□本題!!一か所吊り担架はなぜOK??
前置きが長くなりましたが本題です。
先の前提を踏まえると一か所吊り担架のカラビナはトリプルアクセルになります。
ではなぜロープレスキューで禁忌と言われているトリプルアクセルが救助操法ではOKなのか?
考えていきましょう(`・ω・´)b
>歴史の話
日本で全国的に救助技術が統一されたのは1980年の「消防救助操法の基準」が制定されたからです。
一か所吊り担架もこの時にやり方が確立されました。
当時の救助資機材は三つ打ちナイロンレンジャーロープ、カラビナ、滑車のみです。
この資機材で多種多様な救助現場に対応しなくてはいけません。
3枚のカラビナのみの場合、つけ忘れや強度不足により万が一の破損の可能性があります。
なので、3連カラビナを2重にすることでエラーの発生を抑えることでOKということになりました。
>強度的には?
消防隊が使うカラビナの強度は以下のようになります。
JIS規格130kgf以上
伊藤製作所の123カラビナ(KA102など)ステンレス215㎏以上
カラビナの安全率は12を採用しています。
2580kgfの破断荷重から12を除して215㎏
・尚且つ三つ打ちロープは衝撃吸収性が高いロープ
・ツインロープシステム(衝撃荷重がない確保システム)
そもそも破断自体のリスクが低い。
よって一か所吊り担架のトリプルアクセスは認められています。
(メーカーは推奨していません)
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