正氣歌 と 正氣歌

文天祥の「正氣歌せいきのうた」と
藤田東湖の「和文天祥正氣歌ぶんてんしょうのせいきのうたにわす
そして無意味に並べてみた


文天祥 正氣歌

01 天地有正氣  天地てんち正気せいきあり
02 雜然賦流形◎ 雑然ざつぜんとして流形りゅうけいさず
03 下則爲河嶽  くだればすなわ河岳かがく
04 上則爲日星◎ のぼればすなわ日星じっせい
05 於人曰浩然  ひといては浩然こうぜん
06 沛乎塞蒼冥◎ 沛乎はいことして蒼冥そうめい
07 皇路當淸夷  皇路こうろ 清夷せいいたり
08 含和吐明廷◎ ふくみて明廷めいてい
09 時窮節乃見  とき きゅうすれば せつ すなわあらわれ
10 一一垂丹靑◎ 一一いついつ 丹青たんせい
   (下平声九靑韻:形・星・冥・廷・靑)
 ※於——「于」に作る【宋詩選】
 ※見——「現」に作る【宋詩選】

11 在齊太史簡  せいりては太史たいしかん
12 在晉董孤筆◉ しんりては董孤とうこふで
13 在秦張良椎  しんりては張良ちょうりょうつい
14 在漢蘇武節◉ かんりては蘇武そぶせつ
15 爲嚴将軍頭  げん将軍しょうぐんかしら
16 爲嵆侍中血◉ けい侍中じちゅう
17 爲張睢陽齒  ちょう睢陽すいよう
18 爲顏常山舌◉ がん常山じょうざんした
19 或爲遼東帽  あるいは遼東りょうとうぼう
20 淸操厲冰雪◉ 清操せいそう 氷雪ひょうせつよりもはげ
21 或爲出師表  あるいは出師すいしひょう
22 鬼神泣壯烈◉ 鬼神きしん 壮烈そうれつ
23 或爲渡江楫  あるいは渡江とこうかじ
24 慷慨呑羌羯◉ 慷慨こうがい 羌羯きょうかつ
25 或爲撃賊笏  あるいは撃賊げきぞくしゃく
26 逆豎頭破裂◉ 逆豎げきじゅ かしら 破裂はれつ
   (通韻 入声四質韻:筆、
       入声九屑韻:節・血・舌・雪・烈・裂
       入声六月韻:羯)
 ※羌羯——「胡羯」に作る【宋詩選】

27 是氣所旁薄  旁薄ぼうはくするところ
28 凛烈萬古存◎ 凛烈りんれつとして万古ばんこそん
29 當其貫日月  日月じつげつつらぬくにたっては
30 生死安足論◎ 生死せいし いずくんぞろんずるにらん
31 地維賴以立  地維ちいよりって
32 天柱賴以尊◎ 天柱てんちゅうよりってたっと
33 三綱實係命  三綱さんこう じつめいかか
34 道義爲之根◎ 道義どうぎ これこん
   (上平声十三元韻:存・論・尊・根)

35 嗟予遘陽九  ああ  陽九ようきゅううも
36 隷也實不力◉ れいじつつとめず
37 楚囚纓其冠  楚囚そしゅう かんむりえい
38 傳車送窮北◉ 伝車でんしゃ 窮北きゅうほくおくらる
39 鼎鑊甘如飴  鼎鑊ていかく あまきことあめごときも
40 求之不可得◉ これもとむるもからず
41 陰房闃鬼火  陰房いんぼう 鬼火きかげきたり
42 春院閟天黑◉ 春院しゅんいん てんくろきにざす
43 牛驥同一皁  牛驥ぎゅうき 一皁いっそうおなじくし
44 雞棲鳳凰食◉ 鶏棲けいせい 鳳凰ほうおうしょく
45 一朝蒙霧露  一朝いっちょう 霧露むろこうむらば
46 分作溝中瘠◉ ぶんとして溝中こうちゅうせきらん
47 如此再寒暑  くのごとくしてふたた寒暑かんしょあり
48 百沴自辟易◉ 百沴ひゃくれい おのずか辟易へきえき
   (通韻 入声十三職韻:力・北・得・黒・食
       入声十一陌韻:瘠・易)
 ※予——「余」に作る【宋詩選】
 ※皁——「皂」に作る【宋詩選】

49 嗟哉沮洳場   沮洳しょじょ
50 爲我安樂國◉ 安楽国あんらくこく
51 豈有他繆巧  繆巧びゅうこうらんや
52 陰陽不能賊◉ 陰陽いんようそこなあたわず
53 顧此耿耿在  れをかえりみれば耿耿こうこうとして
54 仰視浮雲白◉ あおぎて浮雲ふうんしろきを
55 悠悠我心悲  悠悠ゆうゆうとしてこころかなしむ
56 蒼天曷有極◉ 蒼天そうてん いずくんぞきわまるらん
57 哲人日已遠  哲人てつじん もっとおきも
58 典刑在夙昔◉ 典刑てんけい夙昔しゅくせき
59 風簷展書讀  風簷ふうえんしょひろげてめば
60 古道照顏色◉ 古道こどう 顔色がんしょくらす
   (通韻 入声十三職韻:国・賊・極・色
       入声十一陌韻:白・昔)
 ※嗟哉——「哀哉」に作る【宋詩選】
 ※宋詩選では35~60を区切らずに載せている

岩波文庫「新編 中国名詩選【下】」川合康三:編訳
ちくま学芸文庫「宋詩選」小川環樹:編訳


藤田東湖 和文天祥正氣歌

01 天地正大氣  天地 正大の氣
02 粹然鍾神州◎ 粹然すいぜんとして神州にあつまる
03 秀爲不二嶽  秀でては不二ふじみねとなり
04 巍巍聳千秋◎ 巍巍《ぎぎ》として千秋にそび
05 注爲大瀛水  注ぎては大瀛だいえいの水となり
06 洋洋環八洲◎ 洋洋として八洲をめぐ
07 發爲萬朶櫻  発しては萬朶まんだの櫻となり
08 衆芳難與儔◎ 衆芳 ともたぐひし難し
09 凝爲百錬鐵  りては百錬の鐵となり
10 鋭利可割鍪◎ 利なることぼうを断つべし
11 藎臣皆熊羆  盡臣じんしん 皆熊羆ゆうひ
12 武夫盡好仇◎ 武夫 ことごと好仇こうきゅうなり
     下平声十一尤韻
13 神州孰君臨  神州 たれか君臨す
14 萬古仰天皇◎ 萬古 天皇を仰ぐ
15 皇風洽六合  皇風は六合りくごうあまね
16 明德侔大陽◎ 明徳は大陽にひと
17 不世無汚隆  世に汚隆おりゅう無くんばあらず
18 正氣時放光◎ 正氣 時に光を放つ
     下平声七陽韻
19 乃參大連議  すなは大連おおむらじの議に參し
20 侃侃排瞿曇◎ 侃侃かんかんとして瞿曇くどんを排す
21 乃助明主斷  乃ち明主の斷を助け
22 燄燄焚伽藍◎ 焔々えんえんとして伽藍を
     下平声十三覃韻
23 中郞嘗用之  中郎 かつて之を用う
24 宗社磐石安◎ 宗社そうしゃ 磐石ばんじゃく安し
25 淸丸嘗用之  淸丸 嘗て之を用い
26 妖僧肝膽寒◎ 妖僧 肝膽かんたん寒し
   上平声十四寒韻
27 忽揮龍口劍  たちまち龍口の劍をふる
28 虜使頭足分◎ 虜使りょし 頭足わかた
29 忽起西海颶  忽ち 西海のを起し
30 怒濤殱胡氛◎ 怒濤どとう 胡氛をころしつくす
     上平声十二文韻
31 志賀月明夜  志賀 月あきらかなる夜
32 陽爲鳳輦巡◎ いつわりて鳳輦ほうれんりて巡る
33 芳野戰酣日  芳野 たたかいたけなわなるの日
34 又代帝子屯◎ 又 帝子ていしに代りてたむろ
     上平声十一真韻
35 或投鎌倉窟  或いは鎌倉のくつに投ぜられ
36 憂憤正愪愪◎ 憂憤 正に愪愪うんうん
37 或伴櫻井驛  或いは櫻井のえきに伴い
38 遺訓何殷勤◎ 遺訓 何ぞ殷勤いんぎんなる
39 或守伏見城  或いは伏見の城を守り
40 一身當萬軍◎ 一身萬軍に當る
41 或殉天目山  或いは天目山にじゅん
42 幽囚不忘君◎ 幽囚 君を忘れず
    上平声十二文韻
43 承平二百歳  承平二百歳
44 斯氣常獲伸◎ の氣 常に伸ぶるを獲たり
45 然當其鬱屈  然れども 其の鬱屈するにあたりては
46 生四十七人◎ 四十七人を生ず
47 乃知人雖亡  すなわち知る人亡ぶといえど
48 英靈未嘗泯◎ 英靈 未だかつほろびず
49 ⾧在天地間  とこしえに天地の間に在り
50 凛然敍彜倫◎ 凛然りんぜんとして彜倫いりんじょ
51 孰能扶持之  たれく之を扶持するものぞ
52 卓立東海濱◎ 卓立する東海のひん
53 忠誠尊皇室  忠誠 皇室を尊び
54 孝敬事天神◎ 孝敬 天神につか
55 修文兼奮武  文を修むるは 武をふるうを兼ね
56 誓欲淸胡塵◎ 誓って胡塵こじんを淸めんと欲す
57 一朝天歩艱  一朝 天歩てんほなや
58 邦君身先淪◎ 邦君 身 りん
59 頑鈍不知機  頑鈍、機を知らず
60 罪戻及孤臣◎ 罪戻ざいれい 孤臣に及ぶ
61 孤臣困葛藟  孤臣 葛藟かつるいくるしむ
62 君冤向誰陳◎ 君冤くんえん誰に向かいてかべん
63 孤子遠墳墓  孤子こじ 墳墓にとおざかる
64 何以報先親◎ 何をもっ先親せんしんに報ぜん
     上平声十一真韻
65 荏苒二周星  荏苒じんぜんたり二周星
66 獨有斯氣隨◎ ひとの氣のしたがう有り
67 嗟予雖萬死  ああ われ萬死すといえど
68 豈忍與汝離◎ なんじと離るるに忍びんや
69 屈伸付天地  屈伸 天地に付す
70 生死又何疑◎ 生死 又た 何ぞ疑わん
71 生當雪君冤  生きてはまさ君冤くんえんすす
72 復見張四維◎ 綱維こういを張るを見るべし
73 死爲忠義⿁  死しては忠義の⿁となり
74 極天護皇基◎ 極天きょくてん 皇基こうきまもらん
   上平声四支韻

Webサイト「詩詞世界 碇豊長の詩詞」
https://www5a.biglobe.ne.jp/~shici/jpn15.htm
 Web上PDF  
  http://rockwave.my.coocan.jp/32monyumento/monyu_html/toko.pdf

正氣歌と正氣歌

無意味に並べてみました

文天祥「正氣歌」  | 藤田東湖「和文天祥正氣歌」
01 天地有正氣   | 天地正大氣  
02 雜然賦流形◎  | 粹然鍾神州◎ 
03 下則爲河嶽   | 秀爲不二嶽  
04 上則爲日星◎  | 巍巍聳千秋◎ 
05 於人曰浩然   | 注爲大瀛水  
06 沛乎塞蒼冥◎  | 洋洋環八洲◎ 
07 皇路當淸夷   | 發爲萬朶櫻  
08 含和吐明廷◎  | 衆芳難與儔◎ 
09 時窮節乃見   | 凝爲百錬鐵  
10 一一垂丹靑◎  | 鋭利可割鍪◎ 
11 在齊太史簡   | 藎臣皆熊羆  
12 在晉董孤筆◉  | 武夫盡好仇◎ 
13 在秦張良椎   | 神州孰君臨  
14 在漢蘇武節◉  | 萬古仰天皇◎ 
15 爲嚴将軍頭   | 皇風洽六合  
16 爲嵆侍中血◉  | 明德侔大陽◎ 
17 爲張睢陽齒   | 不世無汚隆  
18 爲顏常山舌◉  | 正氣時放光◎ 
19 或爲遼東帽   | 乃參大連議  
20 淸操厲冰雪◉  | 侃侃排瞿曇◎ 
21 或爲出師表   | 乃助明主斷  
22 鬼神泣壯烈◉  | 燄燄焚伽藍◎ 
23 或爲渡江楫   | 中郞嘗用之  
24 慷慨呑羌羯◉  | 宗社磐石安◎ 
25 或爲撃賊笏   | 淸丸嘗用之  
26 逆豎頭破裂◉  | 妖僧肝膽寒◎ 
27 是氣所旁薄   | 忽揮龍口劍  
28 凛烈萬古存◎  | 虜使頭足分◎ 
29 當其貫日月   | 忽起西海颶  
30 生死安足論◎  | 怒濤殱胡氛◎ 
31 地維賴以立   | 志賀月明夜  
32 天柱賴以尊◎  | 陽爲鳳輦巡◎ 
33 三綱實係命   | 芳野戰酣日  
34 道義爲之根◎  | 又代帝子屯◎ 
35 嗟予遘陽九   | 或投鎌倉窟  
36 隷也實不力◉  | 憂憤正愪愪◎ 
37 楚囚纓其冠   | 或伴櫻井驛  
38 傳車送窮北◉  | 遺訓何殷勤◎ 
39 鼎鑊甘如飴   | 或守伏見城  
40 求之不可得◉  | 一身當萬軍◎ 
41 陰房闃鬼火   | 或殉天目山  
42 春院閟天黑◉  | 幽囚不忘君◎ 
43 牛驥同一皁   | 承平二百歳  
44 雞棲鳳凰食◉  | 斯氣常獲伸◎ 
45 一朝蒙霧露   | 然當其鬱屈  
46 分作溝中瘠◉  | 生四十七人◎ 
47 如此再寒暑   | 乃知人雖亡  
48 百沴自辟易◉  | 英靈未嘗泯◎ 
49 嗟哉沮洳場   | ⾧在天地間  
50 爲我安樂國◉  | 凛然敍彜倫◎ 
51 豈有他繆巧   | 孰能扶持之  
52 陰陽不能賊◉  | 卓立東海濱◎ 
53 顧此耿耿在   | 忠誠尊皇室  
54 仰視浮雲白◉  | 孝敬事天神◎ 
55 悠悠我心悲   | 修文兼奮武  
56 蒼天曷有極◉  | 誓欲淸胡塵◎ 
57 哲人日已遠   | 一朝天歩艱  
58 典刑在夙昔◉  | 邦君身先淪◎ 
59 風簷展書讀   | 頑鈍不知機  
60 古道照顏色◉  | 罪戻及孤臣◎ 
61         | 孤臣困葛藟  
62         | 君冤向誰陳◎ 
63         | 孤子遠墳墓  
64         | 何以報先親◎ 
65         | 荏苒二周星  
66         | 獨有斯氣隨◎ 
67         | 嗟予雖萬死  
68         | 豈忍與汝離◎ 
69         | 屈伸付天地  
70         | 生死又何疑◎ 
71         | 生當雪君冤  
72         | 復見張四維◎ 
73         | 死爲忠義⿁  
74         | 極天護皇基◎


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