獄中写懐二首・其之二 佐久間象山
岩波文庫「江戸漢詩選・下」編訳:揖斐高 より
佐久間象山
獄中写懐二首 獄中、懐いを写す二首(その二)
不思城下作盟恥 城下に盟を作すの恥を思わず
却見忠貞抱忌疑 却って忠貞を見て忌疑を抱く
伯昳議疆長崎嶴 伯昳 疆を議す 長崎の嶴
聖東仮地下田湄 聖東 地を仮る 下田の湄
異時軽敵已非策 異時 敵を軽んずるは 已に策に非ず
今日伐謀知是誰 今日 謀を伐つは 知んぬ是れ誰ぞ
幽憤満胸無所泄 幽憤 胸に満ちて泄す所無し
獄中瀝血写玆詩 獄中 血を瀝らせて玆の詩を写す
七言律詩
上平声四支韻(韻字:疑・湄・誰・詩) 第一句踏み落とし