
ベロニカは死ぬことにした、パウロ・コエーリョ
若さと美しさ、たまに楽しいセックス、人間関係で問題が起きない目立たないが堅実な仕事。
ベロニカは、人生で経験できるものは全て経験し、少しづつおかしくなっていく世の中に、若さを失いながら下り坂の人生を歩むより、死を選んだ。
効果のある睡眠薬を十分に飲んだが、精神病院で目覚め、しかも5日から1週間の命だと宣告されてしまう。
生きるって何なんだろう?親の期待に答え、ピアニストを諦めた過去のあるベロニカに、精神病院の患者が尋ねる。
マスターベーションは足りてるの?
治療を抜け出し、多くの人とセックスしたが、セックスの後、会話することがないと分かりベロニカは別の世界に生き始める。
魅力的な青年が電気ショック療法で、記憶をなくすほどの苦しみを目の当たりにし、医者が治療に失敗して患者が死んでも自分に責任がないように気を付けている状況で、患者も医者も看護婦も、愛する家族さえ、それぞれ自分だけの世界に生きており、相手を理解しようともしてない現実に向き合う。
世間体を気にせず、自分の欲望に従って画家を目指し精神病院に入れられた青年を見て、ベロニカも奔放に生き始め、遂に病院を抜け出す。
前、この作家のアルケミストも読んだけど、これはそれ以上。
フレーズが突き刺さる。日本の若者が読んだら海外へ飛び出しそうな名作。