※企画書公開! 『スーパーエシカルマーケットのつくり方#2』~企画書につめこんだ、2つの狙いと1つの願い〜
「とにかく企画を出してみよう!」
『スーパーエシカルマーケット』の起ち上げで、最初のアクションがそれでした。
「スーパーエシカルマーケット」は2021年8月7日(土)8日(日)に軽井沢町の農産物直売所「発地市庭」で開催予定だった青空マーケットです。
コロナ禍の緊急事態宣言で延期(※)になったのですが、起ち上げにまつわるアレコレを順を追って残しておこうと思います。
最初は「どんな企画書を提案したか」について。というのも「なぜ一個人でしかないヤシマが、軽井沢町の施設と新しいマルシェを企画して、実行できたの?」とよく聞かれるからです。
けれど「とにかくやりたいことをまとめて、エイヤッと『発地市庭』にコンタクトしちゃったから」に尽きます。
「どんな企画書を?」
「なにかうまいプレゼをしたのでは?」
と問われれば、それほど奇をてらったものではありません。「え、これ?」と思われてしまうかもしれません。
ですがただ2つだけ、企画書づくりで強く意識したことがありました。
今回は企画書の構成とその意識したポイントとをご紹介します。
(※)次回の開催は、2021年10月30日(土)31日(日)に決まりました!
「スーパーエシカルマーケットって何?」「どんな経緯で着想したの?」と思われた方はぜひこちらを ↓↓↓
『スーパーエシカルマーケット』の企画書を公開
まずは企画書の全貌をご紹介します。
企画書には以下の項目を盛り込みました。
①背景
②目的
③計画内容
④実施内容の(マーケット)のイメージ
⑤実施のメリット
⑥今後の流れ
⑦ご相談事項
⑧署名
そして実際の企画書がこちら。
資料作成の参考になるように、各項目で意識したことも含めて説明をつけたものを公開します。
ご希望の方にはGoogleドキュメント仕様でそのまま引用&書き込みができるテンプレートを共有します ↓ ※「アクセス権リクエスト」をください
https://docs.google.com/document/d/1G3ilP9nfZXOv7QnsU6xp7UJIfb0p46PkjlBBle9daq0/edit
企画書作成の際に意識したポイントの1つめは「思い×当事者意識×実行力」を伝えることです。
ポイント1 「思い×当事者意識×実行力」の方程式
企画書の冒頭にある「背景」、ちょっと長いですよね。
思いが重い......(笑)。
いま見ると構成に反省点もありますが、企画書には自分のまっさらな気持ち、軽井沢でエシカルな商品を揃えたマーケットを開きたいという”思い”を素直に記しました。
あえて、です。
「環境や人に配慮した日用品がそろうマーケット(エシカルなマーケット)を軽井沢で実施したい」
「無理のないエシカル消費が行われていく社会を、軽井沢町から創りたい」
企画書にあるとおり、私にはライフワークとしてエシカルな社会を自分の足もとからひろげたい思いがありました。真正面からそれを記すことは誠実さにつながる。ストレートな動機は自分の意志に熱をもたせることができますし、人を動かす力にもなると考えたからです。
だからといって、「自分のしたいこと」だけを書いてはただの押しつけになる。「勝手に庭でやってください」と思われそうです。
なので当たり前ですが、私の“思い”とともにこのマーケットに参画する方々にはどんなメリットがあるかも、できるだけ簡潔に記しました。
でも、なんでヤシマがそんな軽井沢町や発地市庭の魅力アップまで口出しするの? といぶかしがられることも考えました。
思いに加えて“当事者意識”もしっかりお伝えしたのはそのためです。
企画書の冒頭で「自分も軽井沢町の住人であること」「『発地市庭』の利用者であること」を明言。企画書の最後には自宅の住所も記しました。
ときにはビジネスとして企画を持ち込むほうが良いケースももちろんありますが、今回は特定の企業のビジネス目的ではなく、他の地域から突発的に持ち込んだ企画でもありません。軽井沢町や発地市場の方々と同じ目線で、あくまで住民、町民としての立ち位置であることをお伝えしました。いわば「仲間になりたいです!」とラブコールを出したのです。
もっとも、“思い”と“当事者意識”があっても、企画を形にできる力量がなければ、絵に描いた餅でしかありません。なので”実行力”もあるのかも? と思っていただける要素になりそうなことは、コンタクトフォームに記しました。
たとえば、普段は「モノづくりをしている企業においてPR職をやっている」こと。一般社団法人エシカル協会の「エシカル・コンシェルジュ オンライン講座修了資格を取得している」こと。エシカルなプロダクトをつくっている企業や団体へのつながりから、「出展企業や商品を集められそうなこと」などです。
実際、あとで『発地市庭』の施設長に「なぜこの企画に目を通して、会ってみようと思っていただけたか」を問うと、こう返されました。
「企業人としての経験やネットワークに期待したんですよね。何事もやらない前からリスクばかり気にしてははじまらないので、協働を選択しました」(発地市庭 施設長)
「思い×当事者意識×実行力」の方程式――。
このバランスを意識して企画書を構成したことが、『スーパーエシカルマーケット』の実現を後押ししてくれたように思います。
ポイント2 どんなマーケットなのか「見て」わかる
2つめに意識したのは、ビジュアルで見せることでした。
私がイメージしたのは、『発地市庭』を舞台に環境や社会に配慮したものを並べること。それも特別なものではなく普段遣いの商品を売るマーケットでした。
ただ「エシカルなマーケット」という言葉からいだくイメージは十人十色。規模もセンスも雰囲気も、まったく違うものを想像されるかもしれないと思いました。
そこで、写真で見せることに。
普段使いのモノを売るマーケット。けれども、少しおしゃれで、通りかかった人の気分が自然に高揚するような、そんなマーケットのイメージ画像をフォトストックで選択。「ああ、こんな雰囲気ね」とひと目見たらすぐわかってもらえるのを狙いました。
「出店者」のイメージもそうです。
軽井沢で安心・安全な食料品や日用品を扱うブランドさんや、スーパーで廃棄されるくだものをジュースにして提供するスタンドなどの活動もするフルーツ屋さんなど、「『スーパーエシカルマーケット』に出店してほしいな」と以前から思っていたお店やメーカーの方々の名も企画書に書かせてもらいました。そして必ず商品とブランドの雰囲気がつかめる写真も2枚ずつ掲載しました。
各ブランドのオフィシャルサイトのURLを載せてもクリックしてくれるとは限りません。めんどうなく、パッと見ただけで、「こういう感じのブランドさんか」と認知してもらうことが大切だと考えました。
ここでは、かつてフォトグラファーをしていたことや、ビジュアル制作のディレクションの仕事をしていた経験がいきました。文章は(noteに書きながら言うのもなんですが)あまり読んでもらえない。やはりビジュアルの力、スピード感は圧倒的です。なるべく企画はビジュアルで伝えるのが、効果的と思い、そのように心がけました。
ですが、いちばん大きかったのは自分ではどうにもできない “タイミング” だったのかなとも思います。
考えるより、提案しちゃおう
初めてのアクションは4月2日。『発地市庭』のオフィシャルサイトの「お問い合わせ」ページに企画書を添付して送信しました。すると翌日には「一度お話きかせてください!」と施設長から直接お電話をいただきました。
理由は先にお伝えしたように、企画を通して、スキルやネットワークを信頼していただけた面があったようです。
けれど、最も大きかったのは「タイミングが良かったから」です。電話をくれた施設長が、最初にこう言ってくださいました。
「実はちょうどSDGsのイベントをしたいと思っていたんです。ヤシマさんの提案を一度聞いてみたい!」
ああでもないこうでもないと企画を練りすぎていたり、もっときれいにうまく見せようと、企画書づくりに凝ってしまったり...。まごついていたら、この施設長の「ちょうど考えていた」タイミングにフィットしなかったはずです。少し遅れていたら、わざわざ個人の提案など受け入れてくれなかったかもしれません。
だから「エシカルなアクションを起こしたい」「SDGsにまつわるこんな企画をしてみたい」なんて思っているなら、ぜひぜひ「エイヤッ」と走り始めることをオススメします。
体裁は企画書という形じゃなくてもかまいません。ちょっと言葉でまとめてみてる。そしてとにかく伝えてみる(=提案ですね!)。通らなければ、また挑戦すればいい。
「もともとなにもしていないゼロの状態なんだし、ダメでも何も変わらない」
アクションを起こす前の私はそう思っていました。そしてアクションをしてみたら、変わったんですよね。一人の「エイヤッ」でも、世の中や環境をちょっと変えることができるんだと実感しました。
活動を始めてみると、共感してくれる方がとてもたくさんいることに気づきました。
こんな仲間がひとりでも増えていったら嬉しい。
私が作った稚拙な企画書を思い切って公開した理由は、そんな願いがあるからです。
✈ ✈ ✈
次回は「どうやって出店者の方々を増やしたか」について、残したいと思います。最後までお読みくださりありがとうございます。