『スーパーエシカルマーケットのつくりかた#3』 〜どう集める? 出店者募集要項とその裏がわ〜
昨年から住みはじめた軽井沢で、エシカルな商品を集めたマルシェ「スーパーエシカルマーケット」を開催したい――。
町の農産物直売所「発地市庭」にひとりで企画を提案。運良くそれが通った私が次にとったアクションは“出店者募集”でした。
「スーパーエシカルマーケットって何?」「どんな経緯で着想したの?」と思われた方はぜひこちらを ↓↓↓
はじめに思っていたこと。
出店数は10店だとすこしさみしい。
20店は集めるのが大変そう。
15店くらい集まるとにぎやかな雰囲気も作れていいかな。
などとぼんやり考えていました。
ですが、最初からつまづきます。
「スーパーエシカルマーケットで使ってください」と提示された場所が、思いのほか、広大だったからです。
↑赤枠部分がスーパーエシカルマーケットの出店場所
「だいたい35店舗は入りますね」と想定の2倍の出店数が提示されます。
なるほど。
「できるのか……私に」
大いなる期待とともにすこしの不安がのしかかっていましたが、まずは「出店要項」づくりにとりかかることにしました。
「必要な項目は?」「注意事項は?」。意外と悩む“募集要項”。
「出店要項」とはマーケットに出店していただくための概要や条件などをまとめて書いたものです。
当たり前ですが、これを作るのもはじめて。
なので、まずはインターネットで既存のマルシェの募集要項を参照しようと、「マルシェ 出店要項」「マルシェ 出店者募集」などで検索。検索結果をマネしながら、手さぐりで出店要項を考えてみました。
実際の募集要項がこちら。
盛り込んだ項目は以下です。
①ご挨拶
②背景
③イベント概要
④スケジュール
⑤問い合わせ先
⑥出店場所の説明
⑦主催した思い
各項目のポイントをご紹介します!
①ご挨拶
今回はスーパーエシカルマーケットというエシカルなマーケットを開くこと、その出店者様を募集していること、ぜひ応募ください、というポイントを書きます。
②背景
ここでは、発地市庭にお送りした企画書に書いた「企画の背景」を、ぎゅっと縮めて掲載。ここでは、思いが強すぎて重くなっていた企画書の反省を活かしました。
③イベント概要
ここでは、イベントの概要を端的に伝えるために表を活用。
以下の項目ををまとめました。
● 開催イベント名
● 開催日時
● 開催場所
● 開催時間
● 募集出店数
● 出店料
● 販売商品について
● ブースについて(サイズなど)
● 駐車場、搬入について
● 必要書類
● 取材について
● 新型コロナウイルス感染症の感染防止対策について
「募集出店数」は20~30店舗と、すこしだけバッファをもたせています。
「販売商品」についても気を配りました。
ただ今回はあまり厳しい基準を設けずに、できる限り環境や社会に優しい商品を中心に展開してください、とお願いしました。
「出店料」は2000円、「販売手数料」として売り上げの10%をいただくことも明記しました。出店料はチラシ作成のために活用し、販売手数料は発地市庭さんへ、とお金の流れも明記しました。
「ブースについて」の細かな仕様もいれています。区画は「約3m×3m」にしました。
④スケジュール
この先の流れがわかるように、そして何より自分自身のタスクの管理もできるように、いつ何があるのかを明記しました。飲食系の出店者様には営業許可証も必要になるので、この提出期限も明記しています。
募集フォームもここに記載しました。
フォームはGoogleフォームで作成。
<出店者様向けマーケット応募フォーム>
項目も悩むところなので、ご参考までに私が使ったフォームを共有します。
https://docs.google.com/forms/d/1xBbi-s7yBgRoGzZdQiA4_KQH6CMGKKZJaxi5xCudDPA/edit?usp=sharing
※フォームは回答が送れるようになっていますが、お送りいただいてもご対応できませんのでご了承ください。
⑤問い合わせ先
私の連絡先に加えて、発地市庭・施設長の連絡先も記載する許可をいただきました。
これによって、募集要項の信頼性も増します。
⑥出店場所の説明
発地市庭を初めて訪れる出店者様もいると思い、出店場所がイメージできるよう、あらかじめ写真を撮って掲載しました。
↑スーパーエシカルマーケット用に用意された空間
⑦主催した思い
そして最後に、重たい「思い」を載せました。募集要項の冒頭にも簡単に書いていますが、やはり「なぜやるのか」は大切なこと。テキストで残しておけば直接お会いすることができない方にも届くと思ったからです。
ご希望の方にはGoogleドキュメント仕様でそのまま引用できるテンプレートを共有します ↓
※「アクセス権リクエスト」をください
https://docs.google.com/document/d/130cTHZFztszwkKy3DxTt2x-kCAr0fxDcuLb6xfF4Dqw/edit
忘れずに記載したい、あれこれ。
もっとも、この募集要項、わたし一人でつくったというより、発地市庭の方やすでに他でマルシェに出店経験のある方々に相談しながらつくったものです。
彼らの経験をもとにしたフィードバックから「なるほどなあ」と感心しながら入れ込んだ項目があるので、ちょっとご紹介しますね。
①「コロナ対策」に関して。
現場でどれくらいのコロナ対策をしているか、各ブースにどれくらいの対策してほしいか(消毒液を用意してほしいなど)を明確にしました。来場者の方々への安全・安心を担保するため、いまはハズせない項目です。
②「風対策」について。
発地市庭があるのは、軽井沢町の「風越」エリア。その名からもわかるように強めの風が吹く場所なので、テントなどが倒れやすいことを聞きました。そこで風邪対策をしっかりとしていただきたいこと(テント用のアンカー(おもし)があったほうがよい等)を注意書きに加えました。開催場所ならではの注意事項を忘れずに。
③「出店料は当日に徴収」する旨。
先に書いたように出店料はパンフレット作成の資金にする予定でしたので、事前に徴収できると助かるのですが、「先に徴収するとキャンセルが出た場合に面倒なので避けたほうがいい」とアドバイスをいただき、当日徴収に。個人で主催する場合は安心です。これがのちに功を奏すとは……。
未経験だとパッとは浮かばない項目ですよね。
このように諸先輩方の知恵をたくさんお借りし、ついに募集要項が出来上がりました。
軽井沢町、発地市庭のすてきなつながり。
こうしてつくった募集要項を、発地市庭と共有。
オフィシャルのウェブサイトで告知してもらうとともに、軽井沢町や近隣の富岡市の観光協会さんにまでお声がけしていただきました。
これが大きかったんです。
軽井沢町も富岡市も、観光協会さんは地元のショップや事業者と深くつながっていらっしゃるので、「SDGsならあの店があいそうだ」「あの会社はフィットしそうだ」といった情報を持っています。
それぞれの観光協会の担当者さんが、直接マルシェに興味を持ってくれそうな方々に声がけしてくれたのです。
この他にも、地域で開催しているマルシェの主催者を紹介いただきました。
たとえばBioマルシェさん。
御代田町を拠点にコーヒーの焙煎をしたり、メキシコのサステイナブルコーヒーなども扱う「KOICHIRO COFFEE」さん、地元でとれたそば粉を使ったガレットを出す「みちくさ」さんなどは、こうした声がけがご縁で出店を決めてくださいました。
↑(左)『KOICHIRO COFFEE』ロゴ/(右)蕎麦粉のガレットのお店『みちくさ』
さらに発地市庭さんからの縁で、地元のFMラジオ局「FM軽井沢」の番組で告知させていただく機会もいただきました。
地域ではとてもよく聞かれているラジオなので反響も大きかったようで、ほうぼうで声をかけられることもありました。地方なら、ラジオでの告知はとてもパワフルですね!
軽井沢町、発地市庭に協力いただくことで、町全体のバックアップをうけたようなすてきな感覚が味わえました。
さいごは「自ら走る」ということ。
ご縁は、いただいてばかりではありません。
「ぜひ参加してほしい」「きっと共感していただける」と思ったショップ、会社には自らアポをとってアプローチをしました。
これはもう完全にムリを覚悟で、飛び込んじゃった、という感じです。
たとえば「Ph.D.」さん。長野県の東御市で、廃材などをつかったアップサイクルな家具や雑貨をつくっているブランドで、その姿勢とすばらしいプロダクトをずっとリスペクトしていました。
アトリエにお邪魔して、プレゼンをさせてもらったところ、
「モノを選び、買うことから世の中は変わる。こういう試みをもっと盛り上げていきたいですよね」
と賛同いただき、すぐに出店を決めてくれたことに心震えたことを覚えています。
↑Ph.D.さんのアップサイクルプロジェクト『oops(ウップス)』の商品
また、保存料無添加で毎日生地からつくる金沢発のドーナツ屋さん「ウフフドーナチュ」もそう。
とってもかわいい世界観のお店なのですが、旧軽井沢に直営店をオープンさせる情報をつかんで、「ぜひスーパーエシカルマーケットに参加いただけませんか?」とメールでアプローチしました。
「コンセプトにも共感できるうえ、ニューオープンの告知にもなるので」と快く出店いただくことになったのです。
↑全国にファンを持つ金沢発のドーナツ専門店ウフフドーナチュ。
こうして、わずか2ヶ月もかからないうちに出店者は35店舗にふくれあがり、締め切らせてもらいました。
たった一人ではじめたプロジェクトが、多くの方々のリレーションによって日に日に形になり、つながりが太くなることにワクワクしていきました。
「凧を持っているなら、まず走れ」
イタリアにはそんなことわざがあるそうです。
風を待つのではなく、自ら走らないと何もはじまらない。そんな意味だと聞きました。
企画そのものもそうでしたが、出店のお願いもまさにそれだなと思います。凧をもったのだから、とにかく走ろう。
ダメもとでどんどんアプローチしてみよう。
そう思って走った結果、35店というすばらしい出店者の方々とのつながりが生まれたのだと思います。
✈ ✈ ✈
今回はここまで。
次回は、実際に来場していただくお客様にどのように告知したのか、お伝えできればと思います。
お付き合いくださりありがとうございました!