『スーパーエシカルマーケットのつくり方 #4』 集客と延期と再起動までのストーリー。
2021年8月7日(土)と8日(日)の2日間、軽井沢発地市庭で開催が決まっていた「スーパーエシカルマーケット」。
たったひとりで走り始めたプロジェクトでしたが、35店もの出店者の方々にお集まりいただき、順調に準備をすすめていました。
開催1ヶ月前の7月には、当日の集客のためのPRが大きな仕事に。今回は、集客施策〜開催までをお伝えします。
※「スーパーエシカルマーケットって何?」「どんな経緯で始まったの?」と思われた方はまずこちらを ↓
全店舗を掲載したチラシの作成
集客のために実施したことは3つありました。
まずは『チラシ』です。
どんなお店やブランドが集まりどんな商品を展開するのか、お客さまには事前に知ってもらいたいと思い、「スーパーエシカルマーケット」の出店者全店を掲載したチラシを作成しました。
実際のチラシがこちらです。
A3サイズを半分に折った形式で特に凝ったものではありませんが、街の施設に付属されているチラシラックはA4サイズを並べるものが多いため、その規格に合う点も見込みました。
チラシには以下を盛り込んでいます。
● イベント名(スーパーエシカルマーケット)
● 出店店舗数
● 開催日時/場所
● 主催者情報(問い合わせ先)
● イベントのFacebook QRコード
● 主催の思い
● 出店店舗のカテゴリー
● 各店舗の情報(店名、キャッチコピー、本文、画像、リンク先のURLをQRコードにしたもの)
このチラシは、町役場、周辺の駅案内所、観光協会などの行政機関や、近隣ホテルや観光地においてもらいました。
この他にも、いくつかの出店者の方の店舗や、コワーキングスペースにも置いていただき、いきつけの美容室にも「良かったら置いてください」とあつかましくもお願いしてまわりました。
チラシはPDFにし、オンラインで閲覧できるように。一方で、気軽に手に取れる形であれば観光客の方々などをふくめ、普段、発地市庭を使わない層にもリーチできるとも考え、紙でも印刷をしました。
調子にのってポストカードサイズのチラシも作ったのですが、振り返るとこれは余分でした......。35店舗も出店するイベントの詳細はポストカードだけでは伝えきることができませんし、全店を紹介しているチラシがあれば事足りてしまいます。
実際にSNSでシェアされるのはA4折りのチラシ。個人で主催する際には、無計画にいくつものパターンを用意する必要はないと実感しました。
出店募集媒体を集客媒体としても利用
2つめとして、「出店募集の告知」をそのまま「集客告知へ移行」しました。
前回お伝えしたとおり、会場となる発地市庭さんのWebサイトや、ご協力いただいた軽井沢市の観光局などを通して出店募集をお手伝いいただいたのですが、このときの「出店募集情報」を、そのまま「スーパーエシカルマーケット開催」の告知に変更してもらいました。
具体的にお伝えすると、出店者を集める段階では発地市庭さんのWebサイトに「出店者募集」のバナーを掲出いただき、「募集要項資料」へリンクさせました。
募集期間が終わった後は、「スーパーエシカルマーケット開催」というバナーに変更いただき、リンク先はチラシのPDFに。
ちなみに、そもそも発地市庭さんは集客力のある生鮮品の直売所。しかも夏真っ盛りの8月の土日となれば、例年、お客様が大勢いらっしゃいます。このように、もともと集客のある場所での開催を選んだことも、集客のポイントの1つです。
そして3つめが『SNS』です。
SNSをFacebook1本づりにした理由。
今回はFacebook1本にしぼりました。
「Instagramのほうがイケてる感じが出せるのでは?」
そう思われている方もいるでしょうし、実際その通りかもしれません。ただし写真がメインとなるInstagramは、掲載する写真のトーンや雰囲気が揃っているからこそ、すてきな世界観を生み出せる。
「スーパーエシカルマーケット」はたくさんの出店者の方々に参加いただくイベントなので、それぞれのプロダクトやサービスをご紹介したい。けれど、どうしても各店それぞれ違う個性があるので、写真もそれぞれの「色」がでます。
これをインスタに並べると、スーパーエシカルマーケットとしての統一感が出せず、少しブレたイメージで伝わっちゃうかなと危惧したのです。同じトーンの写真を用意すればいいのでは、とも思いますが、私がすべてのショップの商品を撮り下ろすのもなかなかにハードルがあります。
Twitterは? といえば、やはり140文字で伝えるのは限界がある。また投稿が流れていくフロー型の特性をもつTwitterは、私が望んだ意図にそぐわないとも感じました。
では、SNSにどんな意図が?
といえば、集客もありますが、「こんな狙いのイベントですよ」と明確にするため、だったんですね。
発地市庭の告知、駅で手にしたチラシ、Twitterで目にしたつぶやき。いろんな経緯で『スーパーエシカルマーケット』を知った方は、「おもしろそうだけど、どんなイベントなんだろう?」と知りたくなると思います。「あやしいイベントではないか」と勘ぐるかたもいるかもしれません(けしてあやしいイベントではないです笑)。
そんなときに、コンセプトや狙いをちゃんと知ることができ、どんな雰囲気のイベントなのかを明確に発信する場が必要だと考えたのです。
本来なら、オフィシャルのWebサイトを起ち上げるのがベストですが、エイヤッと始めたアクションの最初の1歩は身軽でなければ、次の足も出ません。
そこでSNSをベースに考え、長い文章もそれなりに書ける、写真も掲載できるしテキストだけでも違和感がないFacebookが、今のフェーズには最適と考えました。
↑ https://www.facebook.com/super.ethical.market/
結果として、この選択は正解だったと感じています。
フォローしていただける方は多いとはいえませんが、「どんなイベントだろう」とチェックしていただく機会はとても増えました。FacebookページのリンクとともにTwitterなどで「おもしろそうなイベントがある」とつぶやいてくれた方もいらっしゃって、とても嬉しかったです。
当日までのカウントダウン。そして……。
告知をすすめながら、当日の準備も粛々と進めていました。
たとえば「出店者の区分け」。
35の出店者の方々をどのように配置するか。こういったことも主催者の仕事。当日、各店がちゃんと目立つようにしなければいけませんし、来場する方々にも、できるだけ回遊していただきたいて賑わいを演出したい狙いもあり、ここにはとても頭を悩ませました。
コロナ禍ということもあって、配置では各店舗ごとの隙間を開ける、ということにも配慮。お客さまの動線も考慮して、何度もシュミレーションをしました。
こうしてパズルのようにあれこれ組み換えながらできたら出店場所の見取り図と、搬入の手順などを記した資料を用意。さらに、この地で初めて出店する方々にもイメージが付くように、会場の様子が分かるような写真と資料を作り、出店者の方々に送りました。
↑会場の様子が分かるように作成した資料
※開催前には、会場で各店舗の場所を示すための目印(バミリ)を付けます(目印をつける必要性は会場によります)。
また、テントの有無、電源の有無、そのほかあれこれのやりとりを、出店者の方々とつめながら進めていきました。
とても目立たないのですが、やはり大勢の出店者の方々とコミュニケーションをとるのは想像以上の作業ではありました。ただ、やりとりを繰り返したぶん、少しずつ心が近づく感じもして、その意義も感じる日々になりました。
こうして、準備をすすめていくなかで、やはりじわじわと聞こえてきたのが「変異株による新型コロナウイルスの感染急拡大」だったのです。
延期の決断と、再開
「新型コロナウイルス感染症の感染警戒レベルが5にあがったら中止を考えたい」
軽井沢町と発地市庭さん側から明確な線がひかれました。
7月の半ばの段階では警戒レベルは4。国が定めた禁止に該当するような規模、形態のイベントではなかったうえ、感染対策も練っていたため、「このまま開催できるのでは」と思っていました。
ところが、8月に入ってすぐのこと。
猛威を振るうデルタ株の影響もあって、「レベル5にいきそうだ」と雰囲気が変わりました。実際、感染者はどんどん増え、8月5日には全県に「医療警報」が発出されるほどに。県内では「数日後にはレベル5にいくかも」との話も聞こえてきて、「今回は諦めましょう」とイベントの延期を決断しました。
開催予定の3日前のことです。
安全、安心が担保できなければ、やはり実施すべきではない。強い思いをもって、みなさんに泣く泣くご連絡させてもらいました。
ここまで準備をされてきた出店者の皆さんには申し訳ない気持ちで一杯になりました。けれど、多くの方があたたかい言葉を返してくれました。
「とても残念でしたね」
「英断してくれてありがとう」
「いちばん大変だったのは、ヤシマさんだと思います。おつかれさま」
本当にありがたいお言葉でした。
一方で、中止になる可能性があることは募集要項にも記載していたのですが、それに対する保証がないことは明記していなかったため、「なにか保証があるのか?」という問い合わせもありました。この点は次回以降にもいかさなければいけないと反省した点です。
最初に書いたように、『スーパーエシカルマーケット』はたったひとりで走り始めました。
8月の開催は延期になったものの、3ヶ月、全力で走ってきた結果、気がつけば多くの方々が一緒に力強く、同じ方向に走ってくださった。共感を軸に、私のような何者でもない人間とひとつのプロジェクトをすすめていただけたことを実感する機会になりました。
思い返せば、この頃には軽井沢町で「友人」と呼べる方が増えていました。
これまではただのお客さんとお店の人という関係から、「ヤシマさん、マルシェ楽しみにしているよ。どんな店が出るの」とお話される機会が増えた。人と人との距離感が変わったなと感じる瞬間がとても多かったのです。
エシカルへの思いがあれば多くの仲間と何かができる。
地域への愛着をしめせれば、自然と地縁がはぐくまれる。
今回、延期になったものの「スーパーエシカルマーケット」にむけて走ってきたことで、そんなすばらしい経験とつながりを得られたことは、私にとってかけがえのない喜びになりました。
そして、あくまで「延期」です。新型コロナウイルスの拡大がおちついたとき、必ず再起動させて、成功させたい。
『スーパーエシカルマーケット』への思いはむしろ強まりました。
そしてついに先日、その時が来ました。
スーパーエシカルマーケット第1回の開催!
2021年の10月30日(土)と31日(日)。軽井沢の『発地市庭』にて「スーパーエシカルマーケット」がついについに開催されたのです!
出店は25店舗。
すてきな商品とお店、そして人たちが集まってくださいました。
お天気にも恵まれた当日は、本当に大勢の方が訪れてくださり、盛況。
この日初めてお会いする出店者の方とも、これまでのやり取りがあったからこそ、「わ〜〜!お会いできて嬉しいです!!」と、すぐに打ち解けることができました。
こういう瞬間が本当に嬉しく、楽しいものです。
わずかですが、当日の様子をお写真でご紹介します。
会場は浅間山が見える発地市庭。これだけで本当に気持ちがいい!
ハンドドリップで美味しいコーヒーを淹れてくれるKOICHIRO COFFEEさん。
金沢発のママさんたちによるドーナツ屋、ウフフドーナチュさん。
コーヒーや菓子類はもちろん、お味噌の量り売りもあります!
静岡から、日本茶専門カフェも来てくださいました!
デザートがまた美味しかったです。
さらに、ヴィンテージやアップサイクル商品を扱うアパレルのお店もたくさん出店くださいました。
たとえば、老舗シャツメーカーから生まれたブランドでm日用品としてのシャツを提案するKÖGEN(こうげん)さん。
とても軽くて着心地のいいシャツはたくさん売れていました。
靴下を中心にニット関連商品の企画開発・製造を手掛けてきたタイコーさんは、工場で日々出てしまう残糸を使った靴下などの商品を販売。
ヨーロッパ、アメリカのアイテムを中心に世界中から一点一点セレクトした商品を展開するRyuta Shimada -Vintage Clothing-さん。
この他にも、本当にステキな出店者の方々にお集まりいただきました。
本当にありがとうございました。
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イベントの実施を考えている方へ
マーケットの実施に際しては、たくさんのタスクや留意したことがありましたが、noteにはすべてを書ききれませんでした。
なので、もし何かご質問があればスーパーエシカルマーケットのFacebookページよりご連絡ください。イベントの実施に関してはどんなことでもお答えしますし、できる限り私も力になりたいと思います。
なにしろ今回のイベント開催に際し、私自身が本当にたくさんの方に助けていただきました。なので私も同じように、誰かの背中をおすことができたらと思っています。
最後までお読みくださりありがとうございました。
ヤシマジュリー
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