日本に存在する「一風変わった町おこし」のアイデア
突然ですが、あなたは見たことありますか・・・?
胴体の部分が膨らんだ蛇に似た未確認動物。
その名も「ツチノコ」を。
もしも見たことがあるなら、詳しくお話を聞きたいところですが、ツチノコが実在するかどうか議論したいわけではないのです。
今回はツチノコのような”未知の存在”が、アイデアのヒントになっているユニークな事例を見つけたので、深掘りしてみようと思いました。
どんな事例かと言うと、町おこしです。
町おこしと聞くと、その土地の特産品が想像しやすいかと思いますが、未知の存在をPRポイントにして成功している町が日本にはあります。
新潟県糸魚川市「つちのこ探検隊」
新潟県の最西端に位置する糸魚川市では、2006年から「つちのこ探検隊」というツチノコの捕獲イベントを開催しています。
「捕獲イベントって何ぞ???」と調べてみると、宝探しのごとくツチノコを探しに山奥へ入っていく参加者の姿が。
なんと、ツチノコを生け捕りにできたら・・・
賞金1億円!!!
きゃ〜夢がありますね!(ちゃんとスポンサーもついてる)
他にもツチノコの写真を提供すると、賞金10~100万円が獲得できるほか、目撃情報で「つちのこ饅頭」がもらえるそうです。
新潟県に近い富山県出身の後輩に聞いたら、結構な山奥らしいのですが、イベントは県内外からたくさんの参加者が集まるほど人気。
イベント当日はツチノコを探しながら、山歩きや山菜散策を楽しむことができ、採れたての山菜の天ぷらや糸魚川玉手箱汁もふるまわれます。
ツチノコを探すだけでなく、自然の恵みが楽しめるのも町おこしのポイントと言えそうです。
岐阜県東白川村「つちのこフェスタ」
ツチノコの捕獲イベントは岐阜県の東白川村でも開催されています。「つちのこフェスタ」は初開催がなんと1989年で、35年も続いています!
コロナ明けの2023年は人数限定で開催されましたが、2,000名の参加枠がすぐに埋まるほどの人気っぷり。通年だと4,000名(!)が参加しているそうですが、村の人口は2,000人未満なので、人口の倍以上の観光客が訪れていることがわかります。
岩手県遠野市「カッパ釣り体験」
ツチノコに続いて、伝説の生き物「カッパ」による町おこしです。
岩手県遠野市には、観光名所として有名な「カッパ淵」があります。かつてカッパ淵に多くのカッパが棲みついていたとして、カッパにまつわるさまざまな話が伝えられています。
こちらも捕獲すると夢の大金が手に入ります。
カッパを捕獲して、仲良く遠野市観光協会に行くと・・・賞金1,000万円がもらえます!そして、こんなユニークな品も。
絵柄が可愛らしい「カッパ捕獲許可証」を販売しています。入園料みたいなものかと思いますが、これは記念に持って帰りたくなりますね〜。
カッパ淵ではキュウリを餌に釣りができちゃいます。
福島市飯野町「UFOの里」
さてさて、規模が大きくなってきました。UMAから「UFO」です。
福島県の福島市飯野町にある千貫森周辺には、古くから多数の発光物体の目撃例があったそうで、飯野町は「UFOの里」として知名度があります。
そんな飯野町では、町の至るところにUFOの文化が栄えています。例えば、宇宙人の置き物が道に置かれていたり。
グルメなんかも充実しています。
そして、UFOの里を一番に盛り上げている拠点として「UFOふれあい館」があります。
この施設には世界中から集めたUFOの目撃情報や、関連資料などが約4000点もあるそう。宇宙人と面会もできるとか・・・?
驚くべきは町に訪れる観光客の数です。令和4年に訪れた人はなんと、人口の4倍に匹敵する2万人・・・!コロナ禍にも関わらずです。
まさに、町おこしの成功例と言えますね。
”未知の存在”が、町おこしを成功させた理由
「ツチノコ」「カッパ」「UFO」・・・一見すると町おこしには関係ないように思える組み合わせが、なぜ成功したのか?なぜ多くの人を惹きつけるのか?とても腑に落ちる説明があったのでご紹介します。
最後にご紹介したUFOの里は、町の商工会によって立ち上げられました。その元メンバーである髙槻秀夫さんは、UFOを町おこしに利用した理由を次のように話しています。
存在するかどうかわからないからこそ、追い求め続けたくなる・・・真理ですね。実在していない(かも)という点では、アニメの聖地巡礼と通じる魅力があると思いました。
これぞ、ブルーオーシャン戦略
「未知の存在」×「町おこし」という組み合わせで、「存在しないものを名物にする」という新しいアイデアと価値が生まれました。
これは既にある町おこしの事例と差別化することができ、ライバルの少ないブルーオーシャン戦略とも言えます。
特産品や観光地は競合の多いレッドオーシャンで、未確認動物やUFOは競合の少ないブルーオーシャンです。
「既にあるものではなく、存在しないものをPRに使う」という逆転の発想が、他の町にはない強みになり、町おこしを成功に導いたと言えます。
最後に、個人的に好きな広告をご紹介します。
2016年の毎日広告賞というコンペで、最高賞を受賞した作品です。広告主は窓を商品として取り扱うYKK AP。
UFOが浮かぶだけのシンプルなビジュアルに、「窓がある。何かいる。」というコピー。普通の家の窓だったら何の違和感もありませんが、UFOだからこそいろんなストーリーを想像してしまう。
これが、町おこしにも通じる「ロマン」かもしれないと思いました。
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文:ハギ
@よりみちコピーライター
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