「マルハラ論争」でなくすべきものはマルじゃなかった
最近知った「マルハラ」という言葉。LINEやチャットツールのやりとりで若者が上司など目上の人から「。」がつくメッセージを受け取った際、冷たさや威圧感を抱く現象をマルハラスメント(マルハラ)と表現しているそうです。
例えば、上司からの仕事の連絡。
このような上司からの連絡を怖いと感じたり不安に思う若者がいるんです。文末のマルがメッセージの印象を左右してしまうなんてびっくりですよね。
マルハラはネットニュースや情報番組で話題になり、SNS上でも様々な意見が見られます。みなさんはどう思いますか?
社会人1年目の私は、ハラスメントとまでは思わないけどその気持ちはよくわかるといったところ。怖い時、あります。
実際、マルハラは若者共通の感覚なのか、どんな時にどうしてそう感じてしまうのか、一若者の視点で考えたことをまとめました。
マルの印象はツールで変わる
まず前提として、マルがすべて怖いわけではありません。
なぜならメールなどほかの場所でもマルを毎日見ていて、自分も使っているから。上司や先方からのメールにはもちろんマルがありますが、怖さや威圧感はなし。でもLINEやチャットで見ると…というのが実情。
つまり、メール形式とチャット形式ではマルへの印象が違うということ。
これはメッセージの送り方が異なるからではないでしょうか。
メールは基本的に用件を一度に伝えます。相手や内容によっては挨拶が入ったり、複数の用件を送ったりするので長文になることもあります。マルがないと読みにくいです。
対してLINEやチャットは一言か短文を連続して送ります。長~いふきだしよりも短くテンポよく送ることが多いですよね。本来マルを打つべき箇所でふきだしを切り換えていませんか?
マルが欠かせないものと、使わなくても読めるもの。チャット形式はむしろ使わない方が自然な会話に近く感じます。短いやりとりでマルをつけないことに慣れているから、ないはずのマルを見ると違和感があるのかも。
マルは世代間のギャップに限らない
度々、マルハラは世代間でのギャップと取り上げられます。マルへの印象がLINE普及前のメール文化を経験した大人世代とそうではない若者世代では違うというもの。
LINEは若者にとってコミュニケーションツールの原点。私も初めてスマホを持った時から使っていました。短文でマルを使わないスタイルのやりとりに大人世代よりもなじみがあるのは確かです。
ただ、LINEのマルについて若者みんなが気にしているとは思えなかったので同世代の友人にグループLINEで聞いてみたところ、
と返ってきました。マルなしで。
文末にマルをつけないことこそ共通していましたが、相手のマルに対する印象はやはり様々でした。
かしこまっていてフォーマル、会話を断ち切られたなどの感覚は若者でも個人差あり。私の友人のように気にならない人もいます。必ずしも世代間のギャップとは言えなさそうです。
マルには感情が見えない
マルの怖さには「会話を断ち切られた感覚」のほかに「感情の見えなさ」が影響していると思います。
例えば、自分が何かを提案したときの返事で考えてみましょう。
個人的な感覚で言うと、Aはほかに比べて相手がどんな気持ちで返事をしているのか想像しにくいです。Bは語尾が伸びていて怒っているとは感じず、CやDはかなり肯定的に感じませんか?
気にしすぎかもしれませんが、マルで終わっていると本当にこの提案でよかったかなと思ってしまうんですよね。自分が送る側でも、ぶっきらぼうに見えていないかなと気になったり。
ほかの記号や絵文字と比較したとき、温度感がなく相手の様子や感情がわからないことが、不安や怖さに結びついている気がします。
なくしたいのはマルではなく先入観
「会話を断ち切られた感覚」も「感情の見えなさ」もメッセージを受け取る側の尺度で、人によって様々。理解しがたい人もいて当然です。
それなのに使い方をめぐって「ハラスメント」とネガティブな呼び方をしたり、若者共通の価値観としてしまうのは強引だと思います。マルが気になる派も相手の様子を推測しているだけで、「マルがついている!悪質!」と思う人はそういません。
マルを使う使わない、良し悪しで議論するのではなく、「マルをそう解釈する人もいるんだ」とか「誰しもが自分のようにマルを気にしているわけではない」と自分にはない感覚を頭の片隅に置き、互いに必要以上に悩んだり気を遣うことが減るといいなと思います。
しかし本来、句読点は文章を読みやすくするための記号であり、特別な意味や感情は含みません。SNSを筆頭に文字コミュニケーションが当たり前の今、私たちは誤解を招かない表現に気を付けるようになりました。加えて、表現に対して過度な先入観を持たないことも重要なのではないでしょうか。
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文:マキ
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