「色彩の本質」読書会のはじまりに ~ひとすじのいと~
テキストについて
今回のメインのテキストは、
色彩の本質&色彩の秘密 西川隆範訳 イザラ書房 です。
この本では、モロー氏が図版を担当しています。
2005年、ちょうど日本に来る前後に刊行されました。
編集はイザラ書房の澁澤カタリナ浩子さん
澁澤さんからのオーダーを、まだドイツにいたモロー氏に伝え、結果的にワックスクレヨン画になりました。
装丁は、『光が形態を創造する』でお願いした稲田さつきさんをご紹介しました。
そのように、私にとっても、たいへん思い出深い本です。
この本が出る前は、「色彩の本質」は、高橋巌訳 イザラ書房
と、
「色彩の秘密」秘教編 西川隆範訳 イザラ書房
がありました。
今回のこの本は、「色彩の本質」を隆範先生が訳され、
「色彩の秘密」との両方が収められたものです。
シュタイナーの色彩に関する講義は、さらにあり、
「色と形と音の瞑想」 西川隆範訳 風涛社
「シュタイナー芸術美学」西川隆範 平河出版社
にも収められています。
西川隆範先生のこと
西川隆範先生は、日本で高橋巌先生と並んで、多くのシュタイナー書籍を翻訳されています。
実は、隆範先生は、私が携わっている自主学校遊でも、何年にもわたり授業を受け持って下さいました。(高校生と大人対象:平家物語や仏教についての講義などなど)
また、私自身も、モロー氏との結婚や、「光が形態を創造する」の翻訳に際して、大変お世話になりました。
隆範先生は、ゲーテアヌム精神科学自由大学や、クリステンゲマインシャフト神学校で学ばれる以前に、高野山にて密教の阿闍梨の位の僧侶となった方です。
あの3.11の原発事故の際に、ご自分の命をかけて祈祷されたそうです。
そして、2013年にまだ60才の若さでお亡くなりになりました。
高橋巌先生のこと
今年の3月30日シュタイナーの命日に95才で高橋巌先生がお亡くなりになりました。巌先生は言うまでもなく、日本のシュタイナー研究の第一人者としての役割を最後の最後まで見事に果たされました。
こうした先生方の多大な努力のおかげで、これらの本を私たちは読むことができます。
シュタイナーとゲーテ
そしてシュタイナーは、若い時代にゲーテの自然科学論や学芸雑誌の編集に携わりました。
シュタイナーの色彩論とは、その前提としてゲーテの色彩論への理解があるのです。
”1884年から1897年にかけて、キュルシュナー版ドイツ国民文学全集」の中のルドルフ・シュタイナー編『ゲーテ自然科学論文集』全五巻が出版された。そのなかの第三巻から第五巻にゲーテの色彩論が収められている。「編者の序文の中でシュタイナーは、「もちろん、ゲーテの色彩論の細部すべてを擁護しようとは思わない。わたしが保持したいのは原則のみである。ゲーテの時代にはまだ知られていなかった色彩現象を、ゲーテの原則から演繹することは、本稿の課題ではない。いつか、時間と資材があれば、現代の自然科学の成果の上に立ってゲーテ的な意味での色彩論を書くことによって、そのような課題が果たせるだろう。そのような課題は、わたしの人生のもっとも美しい課題だと思う。」と書いている。”
色彩の秘密ー『色彩の本質』秘教編 西川隆範訳 あとがきより
私たちがこの本を読む ということの意味
ゲーテ
↓
シュタイナー
↓
訳者(隆範先生 巌先生)
↓
出版社
↓
読者
そうした方々が、まるでバトンを受け渡すようにして
この本ができ、私たちは読むことができます。
また、今回の色彩瞑想コースで私たちが学ぶことができるのは、
↓
シュタイナー
↓
モロー
↓
翻訳 教材制作
↓
色彩瞑想コース
↓
受講者
という流れがあります。その ↓ には
多くの努力があり、
伝えたいという思い、願いが込められています。
さて、ここで、↓を逆にしてみると ↑ ↑ ↑ …..
私たちが学ぶために、
それまでのすべての努力があった
ということが
見えてくるのではないでしょうか….. !?
ここに 本 がある ということは、
それをあらしめるための はたらき があった
ということが、わかります。
それは 色 も
そうなのかもしれません。
そこに色が見える ためには、
それをあらしめるはたらきがある
~色彩は光の受苦である~
とゲーテは言っています。
見えるもの の 奥を みる
まなざし
見る~観る
の両方をあわせもつということを
ゲーテやシュタイナーは
教えてくれているのかもしれません。
一筋の糸のように 意図 がつながる
そして、この やじるし ↓ は、ここでとどまりません。
さらに、私たちの後に来る人たちが待っています(!)
私たちが、この本を学び、理解したものを
いきたもの、いのちのこもったものとして、
次の方々へ渡していくのです。
そして、
このやじるしは、これから未来にずっと、
糸のようにつながっていきます。
つないでいる糸は、思い、願い、の
意図….
出会い
その意図は、出会いを生みます。
今回の読書会での、皆さまとの出会いを、
私はそのようにとらえています。
こうした出会いが与えられたことに、
見えないたくさんの思いへ
感謝をささげたいと思います。
これから、
どうぞよろしくお願いいたします。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?