初期デザイン方法 アシモウからアーチャーへ
この記録は『デザイン方法論の試み』吉田武夫(1996)の読書記録です。
デザイン・プロセスとは、「情報の変形過程もしくは変換過程」を意味するとし、近代的なデザイニングを情報の観点から整理することにより、デザイン思考につながる初期のデザイン方法論についてわかりやすく紹介されている書籍です。
デザイニングの手順
ジョーンズのデザイン戦略 6つのパターン
モデルとモデリング
モデルづくりとモデルの活用
modelの語源であるラテン語のmodusは、今日のmeasureすなわち比較のための基準を意味するのだそう。我々が心の中に思い描いた意図をモデルに表すことは、そうでないものと比較することも可能になると想像を拡張すると納得のいく語源だと感じます。
デザイニングのためのモデルの解釈として以下のように解説されています。すなわち、そのモデルを見て行動できるものこそがデザイニングにおけるモデルと言い得る。例えば、料理本や楽譜など。また重要なポイントとして、デザインにおけるモデルは「操作を加えることができる」ことが大切だと解説しており、「こうである」を表すとともに「こうあるべきだ、あるいは、こうありたい」をも表現し、行動に結びつく必要があるからだそう。
デザインの中核を成す「モデリング」。モデルをつくる、あるいは用いることがデザインの中心課題であるとしている。
外的モデルと内的モデル
デザイナーがモデルを作る際には、頭の中にあるパターン(内的モデル)を立体・平面モデル等「実体」に起こすことにより操作でき、変更を加えられるモデルとしています。内的モデルは、脳の内部における物事に関する「図式(スキーマまたはシェマ)」のようなもので、一般的にはスケッチに代表されるような外的モデルとして表します。
デザイナーは本質を把握するため物事を明確にするため、操作するため、それを使って実験するために、既に複雑な形で存在しているものを、より単純に安価に安全な形に表現することを望みます。
モデルと実体(現実事象)の関係づけは人間によって行われるのですが、この能力のことを問題解決思考と呼ばれます。類推的思考、論理的思考、因果的思考が含まれており、中でも類推的思考はある問題を解くのに、それとよく似た別の問題を考える方法です。イメージ形成のメカニズムに直結した最も基礎的な思考方法で、類推的思考により異なる二つの事物に関する類似性に気づくためには、直観の働きが重要なのだと解説されています。
つまり、デザイニングにおいては具体的なレベルにおいて活用するモデルとしては、論理的であるよりもむしろ、直観が働きやすい物、言い換えれば内的モデルが働く余地のある表現のモデルが、人間にとって直観的な把握が可能で、類推が働きやすいと言う意味において適していると述べられていました。
デザイン・プロセスとモデリング
造形要素による分類
●様々な描法(アイディアスケッチ、エスキース、ラフスケッチなど)
●図面類(外形図、分解図、透視図など)
●模型類(ラフな模型、縮尺模型、原型模型(モックアップ)、可動模型(ワーキングモデルまたはプロトタイプ)など)
形式的分類
●二次元(平面)
●三次元(立体)
●四次元(動きを伴うもの)
目的別な分類
●study model 内的モデルの外在化、操作、試行、確認などのための検討モデル
●presentation model デザイニングの結果を第三者に説明するための伝達モデル
※デザイン・プロセスにおいては検討モデルが活用される。主として外観(appearance)、主体的、心理的(image)に関係する。
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