アクション・リサーチinすさみ町(和歌山県)
アクション・リサーチってなんだろう?
和歌山県でのリサーチに先駆け事前講習会が行われました。この日は「ナラティブとアクションリサーチの基礎」について石井さんから、「ソーシャルイノベーションの基礎」について山崎先生による講義を受講しました。
アクションリサーチとは
すさみ町でのアクション・リサーチ
リサーチ研修の目的
研修で取り組むこと(ねらい)
1)アクションリサーチの研究
アクションリサーチとは何か、ソーシャルイノベーションとどう関係するのか
何が重要な要因になるのかなど実践を通してわかることを集める
そこからアクションリサーチのやり方をみんなで作る
2)個々の学び
参加者が何かテーマを持って実践をすること自体が他者のインプットになる
普段とは違う環境、人との関わり、活動を通してその違いをどう捉えるのか
活動を通して自分自身の変化を感じる、個々の考え、学びを深める機会
今回のリサーチ研修の行程は以下のようなスケジュール。
<DAY1>
羽田空港07:45-南紀⽩浜空港09:05 JAL213便すさみ町へ移動
14:00-17:00すさみ町フィールドワーク実施・ラップアップ
18:00- すさみ町の⼈との交流会
<DAY2>
09:00-12:00 プロジェクト活動(イコラ)
・チーミング、アクションリサーチ準備
12:00-17:00 ⾃由活動(各⾃個⼈的にフィールドワーク実施)
12:30-15:00 観光協会主催の紀州備長炭炭窯ツアーへ参加
18:00-21:00 参加者交流会
<DAY3>
9:00-17:00(イコラ)
・アクションリサーチ準備と実施
・アクションリサーチのまとめ、提案準備
<DAY4>
9:00-12:00 09:00-10:00 プロジェクト作業(イコラ)
・アクションリサーチの提案準備
10:00-11:30 提案発表・共有&講評
11:30-12:00 リフレクション・写真撮影して終了
12:00に空港へ移動 南紀⽩浜空港13:35-⽻⽥空港14:40 JAL214便
私のアクションリサーチプラン Ver0
問題提起: すさみ町を離れ都市で暮らす’元すさみ住民’は、故郷の友だちとの交流が断絶してしまっている。 大人になっても自分のストーリーが分断されている。
妄想: すさみを離れてしまった住民と、現役住民とをつなぐ「交換留学制度」ができないか。 すさみの「自慢したくなる」「自分だけでなく、だれかの役にたつ」「誇り」 元住民と現役住民がフェアトレードのようにそれらを交換するしくみが作れないだろうか。
どうやるか? すさみの人々が「これに癒される」「遠く離れていても思い出す」ものは?をリサーチ。 紀州備長炭や藍染などの工芸品を、故郷から遠く離れた元住民に届ける。
リサーチテーマ: 交換留学制度(すさみと都市部) すさみ × フェアトレード
最終的には、すさみの中高生たちが、「すさみを離れてしまったら…を想像できる体験をデザインする
DAY1:すさみ町のフィールドワーク&交流会
南紀白浜&すさみ町の観光
初日は羽田空港発7時45分の便に乗り、南紀白浜空港へ。到着するとせりさんがお迎えに来てくださっており、一路すさみまで移動します。午後の集合時間まで3時間ほどあるので自分でウロウロとしようと思っていたところ、せりさんが車で白浜とすさみの観光スポットに連れて行ってくださることになりました!同じ便で到着した佐々木さんと共に観光です。
すさみ町フィールドワーク実施・ラップアップ
観光の後はお昼をすさみ町のお食事処しのぶにていただきました。ボリュームたっぷりのランチを頂きすでに満喫した気分。
14時に今回の研修がスタート。集合場所はFRONT110。以前警察署だった建物を改修し現在はすさみ観光案内所になっています。
ここでメンバーが集合し全員でマイクロバスに乗り合わせすさみ町をフィールドワークしました。
すさみ町の⼈との交流会
道の駅のお食事処ですさみ町の方々と交流会。町長、副町長、観光協会の方々、移住してきた住民の方などすさみを活性化されている主要メンバーの方々との交流を通し、さまざまな課題をお聞きすることができました。
すさみ町での最高教育機関は中学校で、現地の子どもたちは15才になると隣町の高校へ通うようになること。そして多くが都市部へ出ていくことなど、すさみの人口流出(毎年100名)に含まれる若者人口の理由がわかりました。
DAY2:チーミングと紀州備長炭の釜見学、リサーチ活動
2日目はいよいよ本格的な活動がスタートです。9時に多世代交流施設E'cora(イコラ)に集合です。イコラは保育園だった施設を改修したものです。すさみ町の公共施設は東日本大震災以降、南海トラフ大地震に備え高台への移転が加速しています。
プロジェクト活動 チーミング
9時に集合した後は山崎先生からプロジェクトの概要についておさらい。アクションリサーチのポイントについても解説がありました。
まずは15名のメンバーを4チームに分け、チーミングに取り組みました。その名も「愛と勇気の踊り」すさみ町のある場所の「愛と勇気の踊り」を妄想して、妄想踊りを考える。そしてグループ全員で踊るというワークです。これを30〜40分で検討し、残りの30分で発表するというタイトなスケジュール。私たちのチームは「稲積島で行われる海の神様の祭りでささげる踊り」という妄想踊りをしました。
やってみると意外や意外!時間が余ってしまい小道具も付け足すことができました。とても意欲的かつ積極的でパワフルなメンバーだということがわかり、4日間が一気に楽しみになってきました。
アクションリサーチ準備
踊りで体が温まった後は、アクションリサーチの準備にとりかかります。あらかじめ温めてきた「妄想」を起点に、やってみたい愛と勇気ある体験のプロトタイプを発表するというもの。50分程で構想し、1人1分で発表しました。
アクションプラン Ver1 (2/24)
すさみ町の小学生や中学生とその親を対象に、すさみの「誇り」を探してもらう。「色・形・風景」など探検ワークショップを開催し、「すさみらしい誇り大賞」を表彰する。というプロトタイプを発表しました。
観光協会主催の紀州備長炭炭窯ツアーへ参加
⾃由活動(各⾃個⼈的にフィールドワーク実施)
すさみ小学校の稲葉校長先生にお話を聞かせていただけることになり、15:30に周参見小学校へ。メンバーのお二人と一緒に。ふるさと学習を6年生で実践されており、つり船体験や熊野古道(世界遺産)長井坂などを深く体験しふるさとの誇り、愛着を育てる取り組みをされていました。
その後、閉館間際の歴史民族資料館へ。ちょうど消灯作業をしていた学芸員の和田さんが業務を延長して18時まで説明をしてくださいました。和田さんは周参見中学校の歴史の先生の退官後現職に至っていらしゃいます。「子どもたちが都会に出ていく時にすさみの誇りを持って欲しい」と仰っていたのが印象的でした。
参加者交流会
リサーチが終わると古民家へ集合し、メンバーの交流会が行われました。各自この日に行ったリサーチ内容を共有しあい、明日の調査活動について相談しました。
参加者でもあり、すさみ町の隣町の上富田町をふるさとに持ち、現在は東京で暮らしている「せりさん」にお話を聞くことができました。ふるさとを離れてみて、ニュースやメディアを通じて和歌山県の良さを逆輸入することでふるさとに誇りが持てるようになった体験。地元の作家の作品から魅力を味わった体験、最近になって地元に暮らす同級生に出会い地元に暮らし続ける同級生からふるさとの魅力を知る体験を得たことなど、貴重な話を聞くことができました。
メンバーの皆さんもそれぞれに魅力的な取り組みをされていて、最終日の発表がとても楽しみになりました。
DAY3:町を歩く、感じる(アクション・リサーチ)
いよいよ3日目。ペアの方と一緒に1日活動をしました。9時にイコラに集合し山崎先生の講義を聞き、その後それぞれの活動に移りました。
われわれはすさみ町のアイコンとしてもよく使われる稲積島でアクションリサーチすることにしました。
次の自分に出会える道(もしくは町)を設計して自ら体験してみる!
昨日のせりさんのお話を元に、「ふるさとは自分の内面をみつめる装置」と見立ててみることにしました。まずは海の近くで「五感でふるさとを感じ」「内面を見つめる体験」をしてもらい、その後、小高い丘の上にあるお宮で「願い絵馬」を奉納するという体験コースを設計してみました。
故郷に帰省中のめぐみさんに出会う
丘に登る入り口を管理されている住職さんが不在で登ることができませんでした。気を取り直してもう一度海辺へ行ってみたところ…。
海辺で貝殻を拾っている人に出会いました。ピンセットとガラス瓶を持っていてかなり本格的な様子。話を聞いてみると、東京から2泊3日で帰省をされているとのこと!ちょうどインタビューにぴったりな対象者に出会え、さっそく「五感で感じ、内面を見つめる」ワークをしていたくことにしました。
すさみお届け便
めぐみさんがしていた「貝殻拾い」にインスピレーシュンを得て、シーグラスを瓶に詰めてみる。
めぐみさんは拾った貝殻を東京へ持ち帰り「お守り」にしているそうだ。
ふるさとから遠く離れた人々が何か思い出のものでつながっていることを知ることができた。
これらのアクションリサーチから着想したのが「すさみお届け便」「すさみ通信」だ。
すさみの伝統工芸や自然、お世話になった先生からのエールなどを届けたいというもの。
対象はふるさとを離れた少し時間がたった、35〜45才くらいの方。都会でのキャリアも積んで自信を得た人たちが、ふるさとともう一度つながるきっかけづくりになるといいと思います。
怒涛のような3日間が終わり、最終日は朝から晩まで稲積島でのアクションリサーチに没頭しました。同じホテルに泊まったメンバー(女性ばかり!)で夕食を囲み、明日の発表に向けて様々な意見交換をしました。深夜まで発表資料と「すさみお届け便」のプロトタイプを作る。
DAY4:町の人々への提案
最終日はアクションリサーチの発表会。9時から1時間発表準備の時間を経て、10時から15名の発表が行われました。発表時間はひとり3分。帰りの飛行機に乗り遅れないよう皆必死です!
15名の誰1人として同じテーマがなく、それぞれに感じ、見つけたすさみの宝を提案にされていました。共に過ごし活動した4日間を知っているからこそ、見えてきたアクションリサーチのプロセスを堪能することができました。妄想し→プロトタイプし→実験してみて→修正し→試してみる。この繰り返しの過程でテーマの社会実装としての可能性を探るという体験をすることができました。
東京に戻り、社会実装の事例を探してみると「バーチャル住民」の試みがすでに広がっていました。小布施バーチャル住民会議はわかりやすいモデルです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?