本の感想「非色」
「非色」
有吉佐和子
河出文庫
1964年発表
1967年11月角川文庫
2020年11月河出文庫で再文庫化
終戦後、黒人兵と結婚し子供を産むが、子供が虐められているのを見て、ニューヨークへ渡ろうと決心する。
日本ではかっこよかった夫がニューヨークではハーレムに住み、夜の看護師の仕事をしていて、家では疲れて無気力。
渡米の船の中で知り合った「戦争花嫁」たちと仕事先の日本レストランで再会し、それぞれの事情を知る。
私が驚いたのは、単に肌の色の差別だけでは無く、色々な差別がある事。
差別されている人が更にその下の人達を差別すること。
白人同士も差別があり黒人同士も出身で差別がある。
今読んでも古くないし、これが60年前に書かれた事にも驚いた。
子供が次々生まれて中絶の問題にも触れている。アメリカでは中絶は非合法だった。
文芸評論家の斎藤美奈子さんが解説を書いている。