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トレーナーとしてのこれまでの歩み 後半

こんにちは。Yoriです。

前回は、トレーナー人生において5つある転機のうち2つ目の転機までをお話しました。

今回はその続きで、3つ目の転機からです。

前半がまだの方は、「トレーナーとしての歩み 前半」もご覧ください。




転機3)EXOSとの出会い(動作は鍛えられると知る)

EXOS-LAはサッカーで有名なLAギャラクシーなどが拠点としているディグニティ・ヘルス・スポーツ・パークの中にあり、LAギャラクシーの選手のトレーニングなども請け負っていました。

私の担当は、他の5名のインターン生とコンバインと呼ばれる毎年3月に行われるアメフトNFLのドラフトに参加する選手のトレーニングのサポートとがメインでした。

それまでコンバインというものを知らなかったのですが、後から思えばとても幸運なタイミングでした。


EXOS-LA 施設

インターンは1月2日から始まりました(日本のような正月休みという概念はないというの初めて知りました)。

そして、最初に衝撃を受けたのが、ウエイトトレーニングもさることながら、スプリントなどのMovementトレーニングでした。

このMovementトレーニングに出会えたことが3つ目の転機となります。

アメフトの選手と言えば、身体も大きく、動きも早い。そんな印象をもっており、そんな選手は、生まれながら身体能力が高いのだと思っていたのですが、そんな選手たちが、走り方のトレーニングを一から丁寧にしているのです。

もちろん選ばれた選手が集まってくるので、元々優れてはいるのですが、3か月という短い期間で、少しでもタイムを縮める為に色々なMovementトレーニングとウエイトトレーニングを週5で行うのをサポートさせていただくことで、学ぶことが多くありました。

私はこの時初めて、運動能力は鍛えることが出来るのだと衝撃を受けました。陸上短距離の選手がトレーニングするような直線の動きはもちろん、横の動きなど複雑な動きも含まれます。

そして感じたのは、運動神経が良いと言われる人達は生まれながら効率的な身体の動かし方を感覚的に知っており、そうでない人は、知らないだけである、と。

時間はかかるかもしれないが、正しい効率的な動かし方を学びトレーニングすれは、誰でも運動の力を向上させるチャンスはあると感じました。

そして同時に、運動効率が向上するということは、身体の関節への負担も下がり、怪我の予防にもつながるのだと知れたことは、何よりも大きな財産となりました。

EXOS-LA 屋外施設

約半年のEXOSでのインターンを終え、無事に大学を卒業でき、約1年の就労ビザを得ることができた私は、さらなる経験を積みたいと思い、ColoradoにあるMetropolitan State Universityという大学のトレーニング施設でのインターンを受けることになり、Colorado州に舞台を移しました。

このEXOSでのインターンを機に、私が頂き続けてきた「パフォーマンス向上とは何か」という問いの中に、「動作(Movement)」という要素が加わりました。あとは、「Flexibility」「Mobility」「Stability」「Movement」「Strength」この5つの要素がどのように関わり、どのようにトレーニングをすれば良いのかを紐解くだけとなったのですが、Coloradoでの出会いにより、現在のコンセプトの原点となり、これが4つ目の転機となります。



転機4)Coloradoで多くのメソッドに出会う


Coloradoでの出来事は主に4つのことがメインとなります。

1つ目が、Metropolitan State University of Denverでのピリオダイゼーションと呼ばれるトレーニング計画表の作り方と、考え方をより深く知ることができたことです。

筋肉を鍛えるには、どのようなステップを踏めば、怪我のリスクを押さえながら行うことが出来るのかというメソッドを深く学びました。

2つ目が、このインターン後にColorado州の同じエリアにあるElite Speed Sports Performanceというトレーニング施設への就職です。

ここでは、アメフト、サッカー、アイスホッケー、バレーボール、ラクロスといった高校生までのユースアスリートに対するパフォーマンス向上のためのサービス提供で、Movementトレーニングを中心に実施し、実際にトレーニングのメニューを組みという経験が出来ました。

ここでは、スタッフにもアスリートからも本当に良くしてもらい、学ぶことも多かったので、もっといてたかった場所でした。

3つ目は、Muscle Activation Techniques(MAT)という筋肉のバランスを整えることで、関節の痛みや筋肉のこわばりを改善するという手技です。

Elite Speed Sports Performanceでの仕事と並行しながら資格を取得しました。

MATは、身体の筋肉のバランスを整える手技で、身体の痛みの原因は、筋肉のアンバランスから引き起こされるという視点から、原因となる筋肉を活性化させることで、身体のバランスを整えるという手技です。

結果として、歪みで起きていた痛みなどの問題を解決することに繋がります。アスリートも、膝の痛みや、腰の痛み、など外的要因がないのに問題を抱えることがあります。

病院に行くとどうして痛みのある局所ばかりに問題を見つけようとしますが、実は、筋肉のバランスが崩れていることが原因であることもあります。

嘘のような話で、私自身も驚いたのですが、当時働いていたElite Speed Sports Performanceのバレーボール選手が、シンスプリントと呼ばれる足の問題を抱えていました。

ふくらはぎに痛みが生じる症状で、数か月もの間足の痛みに悩まされ、病院に行ってもなかなか改善はせず、ろくにプレーできなかったのですが、MATを一度実施したあとに、痛みがなくなり、普通にプレーが出来る様になりました。

この時は本当なのかと、何度も本人に確認をしたほどでしたが、本当に痛みが改善したようで、本人も喜んでいるのを見ると、私も嬉しくなったのを覚えています。

それと同時に、人体の身体の不思議と奥深さを痛感しました。

最後は、Functional Range Conditioning(FRC)というMobilityトレーニングに出会ったことでした。

これもElite Speed Sports Performanceで仕事をしている時に資格を取得しました。

この時までは「Mobility」と「Stability」の定義に矛盾を感じており、仮説を立てていたのですが、どの本や文献を見ても納得のいく答えを得ることが出来ませんでした。

しかし、FRCに出会いその中で定義を聞く事で、自分の仮説が間違っておらず、確信へと変わりました。

創始者であるSpina氏も
「私のMobilityの定義は一般的なMobilityの定義とは少し違う」
と明言されている様に、言葉の定義をどのように捉えるかで、見えてくる世界が変わることを知り、この頃から、言葉の定義ということにより関心を持つようになりました。

そして、是非ご紹介させて頂きたいのが、そのSpina氏の次の言葉です。

"FORCE is the language of cells, and MOVEMENT is what we say"

これは、脳と身体が繋がるイメージをうまく表現されている言葉だと思い、とても好きな言葉です。

人体の不思議や可能性を目の当たりにした私にとっては、世界が広がったように感じた言葉でしたので、ご紹介させて頂きました。


FRC受講後すぐに、現在の私のトレーニングのコンセプトを視覚化した「Physcal Performance Pyramid(P.P.P.)」の前進となる「Performance Pyramid」の形ができあがりました。

MobilityとStabilityの関係性も踏まえ、詳しくは別の機会で触れたいと思います。

Physical Performance Pyramid (P.P.P.)

そして、2018年秋、Coloradoでは、多くの有益な経験を積むことができたものの、滞在VISAが切れてしまい、帰国する事になりました。

もっとアメリカで経験を積みたかったのですが、この帰国が最後の5つ目の転機です。



転機5)日本への帰国


日本で帰国後は、東京にあるパーソナルジムで務めることになりました。

帰国した2018年ごろは、ちょうど日本にもトレーニングブームが始まっていたころで、今でこそ24時間のフィットネスジムなどが一般的ですが、とても少なかった印象でした。

パーソナルジムも少しずつ増えてきている時期でしたが、いつかアメリカで経験したMovementトレーニングができる施設で働きたいという思いを抱きながら仕事をしていました。

パーソナルジムで勤務を始め、当初は日本人とアメリカ人、社会人とユースアスリートとの違いというものに戸惑いを感じておりましたが、約5年経つ頃には、年間1500本以上のセッションを担当させて頂くことにまでになりました。

しかし、もう少し自分が表現したいことをしたいと思い、そのジムを辞め、2024年の春に独立をしました。



最後に


トレーナーの道に進んだきっかけは、体調を崩してしまったことではあるのですが、それが無ければ、このような経験を積むことはありませんでした。

カラダに関する情報や研究はまだまだ発展途上であり、日々新しい情報が発信されていますが、アスリートだけでなく一般の人にも共通したパフォーマンスを向上させるとは何かの答えを自分なりに見つけることができたと思っています。

それを、少しでも表現できるよう。そして、自分なりの視点をnoteなどを利用して発信していきたいと思います。

長くなりましたが、最後まで読んで頂いた方、興味を持って頂いた方、目止めて頂きありがとうございました。


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