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役員の思いと現場の思い、ISOマネジメントが捨てたものじゃない訳


企業における変革ミッション

企業における変革ミッションは、
大体10年周期でやってくると思うのだが、
各年代での受け止め方は様々です。

20代: それどころじゃない
30代: なんか違う
40代: 余計なことはしないで
50代: 我関せず

多くが、経営層が危機感を感じて号令することで
変革ミッションは発動しているはずが、
なぜか他人ごとになってしまっています。

環境変化に対応できる組織(日本生産性本部)

私は30代に社内変革ミッションの推進の仕事を経験しました。
若手の頃に、経営層の目線で社内を俯瞰することは
貴重な経験であったが、経験を通して言えることは
「笛吹けど踊らず」
「画竜点睛を欠く」
といった心境でどちらかというと残念な感じが強かったです。

ここでいう変革ミッションとは、企業が持続的に成長するために必要な変革の目的や目標を明確にして、組織全体が同じ方向を向いて進むための基盤を提供する組織内の活動のこととしています。

変革プロジェクトの問題点

実際、何が問題だったのかを振り返ってみると、
変革プロジェクトは、起案する役員がいて
プロジェクトリーダーは役員が任命した中堅社員、
そしてメンバーは、様々な事業部から若手が招集されてくる
よくある全社プロジェクトの組織形態です。

当時まず第一に感じたのは、仕事の仕方が様々な事業部によって全く異なる、ということでした。
当然、リーダーの方針によって仕事を推進していくわけですが、メンバー間の意識統一に時間がかかりました。

同じ会社であってもここまで考え方が異なるのかと、驚いたのを覚えています。さらに、より熱心なメンバーほど、自分の事業部のやり方に固執してしまい、周囲との軋轢が生じてしまっていました。

これはいわゆる、生存者バイアスという問題で、人間は自分の成功体験のやり方をなかなか変えることができないという問題です。

次の問題は、各現場の中間管理職問題でした。
全社プロジェクトの活動にも関わらず、現場では担当者に丸投げが発生、本来は、事業所単位で取り組むべき業務が個人依存となってしまっていました。
これには本当に困りました。

対策としてITツールを共通基盤として導入し、個人の負担を軽減、全社共通のKPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)を行動指標として事業所毎のランキングを実施するとともに、担当者相互の協力関係を構築することで担当者の孤立を防ぐ施策を実施しました。

現場担当者レベルでは、プロジェクトからの指示を業務としてなんとかこなそうと一生懸命になっているので、最前線に対しては、武器弾薬を欠かさないようにしっかり支援するのが大切だと実感しました。

我関せずに陥る中間管理職

中間管理職については、自分では直接ミッションには関わらず、ミッションに関係する担当者を自部署に抱えることで間接的に関与する形になるのですが、この間接的という形態が非常にやっかいです。

一般的には、営業部門であれば売上、生産部門であれば製造量などといった形で、自部署のミッションがKPIにて数値化されてわかりやすくなっていますが、変革ミッションはこのような既存のKPIに当てはまらないケースが多いです。別途KPIを増やしていければ良いのですが、いたずらにKPIが増えるのは現場にとって大変です。増えすぎたKPIに対しては、やっている振りをすることで、その場しのぎの逃げが成立してしまいます。そして、そのつけは担当者レベルに落ちていくのです。

これは、組織の行動規範の問題になるので、現在では、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の浸透といった方策が
提案されるのではないかと思うのですが、結局トップダウンで旗を振るだけという状況に陥りがちです。そして、そのつけは担当者へ。悪循環です。

近年の傾向としては、これに加えて、担当者レベルで働き方改革などの施策が重なるとしわ寄せは逆流し、中間管理職の無理ゲー問題へと至るのかなとも思います。

そして歴史は繰り返す

こういったように、役員の危機感によって発せられる、全社的な変革ミッションは、当初大きかった役員の声が小さくなっていくにつれて存在感が小さくなっていき、役員の交代によってフェードアウトしていくのです。
そして担当者は思うのです、
「やれやれ・・・」と。

時は過ぎて、10年後、新たに就任した役員が、組織課題を発見します。そして言うのです。
「変革ミッションが必要だ。」
そうして社内プロジェクトが発足・・・、
繰り返される歴史・・・。
なんとも生産性が低い話です。

ISO、驚異の普及率

こうなってしまうのは、組織運営が属人化してしまっていることが原因なのではと考えています。
この問題を解決する良いツールは無いかと見渡すと
ISOマネジメントシステムというものがありました。
当時はまだまだ普及過程だったのですが、近年は十分普及し一般化しているように思います。

ISOマネジメントシステムは、
90年代に品質マネジメントシステムのISO9000シリーズが誕生、その後、環境マネジメントシステムISO14001、食品安全マネジメントシステムISO22000、情報セキュリティマネジメントシステムISO27001と現在では非常に多岐に渡っています。
ここで重要なのは、ISOの方でなく、マネジメントシステムの方です。

マネジメントシステムとは
組織管理を効率的に行うための基準
ですので、
この基準を効果的に運用していきましょう
ということです。

マネジメントシステムとは(引用:ISOプロ)

日本では品質ISO9001の認証取得率は製造業では、かって取得していたを含めると90%に迫る驚異的な数字です。

ISOの取得運用状況に関する調査(JMA2018)

そこにあるものを徹底的に活用しましょう

ISO9001のマネジメントシステムの基本的な構成は
主要な要素をピックアップすると

  • 組織のコミットメント

  • ルール作り

  • 計画

  • 運用

  • 評価

  • 改善

  • 監査

といったものになるかと思います。

この中には、変革ミッションの実現ポイントがすべて含まれています。

役員からは、コミットメント
プロジェクト推進役は、ルール作り監査
中間管理職は、計画評価
担当者は、運用改善

新しいミッションを追加するための
既存のISO9001のシステム見直しは、1週間もあれば終わります。
現場の運用については、既存業務と同じ方法で手順を作成して年度目標に追加することも難しくないと思います。
既存のマネジメントシステムとは別にプロジェクトを立ち上げ、苦労している、役員、担当者の方々

既存のISOツール、もっと活用してみませんか?

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