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技術士は、失業保険がもらえなかった!
技術士は失業保険がもらえない?
技術士会によれば、技術士の登録人数は約10万人と言われています。そのうち約79%が一般企業、約13%が官公庁、約8%が自営ということですので。大多数の技術士の方は、サラリーマン技術士と言えると思います。
サラリーマンは一般の労働者ですので、失業時は雇用保険から失業手当が支給され、生活の安定が図られています。
ただし、いわゆる”サラリーマン士業”については、2013年(平成25年)までは、雇用保険に加入していても、失業手当は支払われなかったのです。
以前の士業失業保険について
制度改正までは、士業は以下の理由から雇用保険制度の対象外とされ、失業保険を受け取ることができませんでした。
1.多くが自営業者として扱われていた
2.高度な専門性を持つ職業とみなされていた
3.比較的安定した収入が見込めると考えられていた
たしかに、技術士には、2.の高度な専門性は該当しますが、3.の安定した収入は業務独占がありませんので資格云々でなく個々人の努力次第な訳であって、1.に至ってはすべての士業について「本当か?」と思う見解です。
士業失業保険取り扱いの変更
こんなサラリーマン士業に対する失業保険不支給の方針も、平成25年2月1日より変更になっています。
https://jsite.mhlw.go.jp/oita-roudoukyoku/var/rev0/0108/3616/20142511439.pdf
厚生労働省のパンフレットには、公認会計士や税理士といった、独立して仕事を行うことが多い士業が書かれていますが、技術士も同様の扱いだったようです。
これらの士業国家資格は、試験に合格したあとに、登録簿に登録することで、その資格が有効になるという仕組みであるので、殆どの士業の方は登録を行うことになるため、サラリーマン士業の方は、失業保険が支給されない状況だったようです。サラリーマンである以上、雇用保険は給料天引きであるため、いざ失業となった場合に、失業保険の対象とならないとはかなり悲しい状態だと思います。
社会保険労務士や行政書士などは、サラリーマン資格者も多いと思うので、業界団体からの反発も大きかったようで、厚労省が運用を見直してくれたのは、ありがたいことだと思います。
ただ、雇用保険制度が始まったのは1947年(昭和22年)で、オイルショックを機に1975年(昭和50年)に新法に切り替わっていますので、旧法からだと60年、新法からでも40年近く士業が失業保険の対象外というのは驚くべき事実です。
技術士法は1957年(昭和32年)公布ですので、相当数の方が失業保険の対象となっていなかったということになります。
士業の独立開業率ランキング
この失業保険の仕組みは、技術士のみならず様々なサラリーマン士業の方に影響があったように思ったので。士業資格について、独立開業率に関するデータがないか調べたら以下のような動画がありました。
独立開業率ランキング
行政書士: 83%
司法書士: 約80%
税理士: 約70%
弁護士: 約42%
中小企業診断士: 46%
土地家屋調査士: 約38%
不動産鑑定士: 約34%
弁理士:約27%
1級建築士:約19%
海事代理士:約18%
公認会計士:約8%
FP技能士:約7%
マンション管理士:約5%
気象予報士:約1%未満
通関士:約1%未満
こうしてみると厚労省のパンフレットに載っていた士業である公認会計士も開業率は8%とかなり低いのは意外でした。技術士も開業率は約8%なので公認会計士と同じくらいのようです。技術士と同じような名称独占資格である中小企業診断士の開業率が46%と高いことについても驚きです。
士業として登録しているだけで、失業保険の支給対象とならないというのは、こうして開業率を見てみるとかなり問題があるということが分かります。業界団体からの反発が大きかったことも頷けます。
まとめ
私も、技術士登録を行ったのは2005年ですので、当時は失業しても失業保険の支給対象外だったということになりますが、全然知らなかったですね。
現在では、サラリーマンの士業資格者も通常のサラリーマンと同じように失業保険が出ますので安心ですが、士業資格を名乗るからには、いつでも自己独立でやっていけるように市場価値を常に高めていけないといけないと心に刻んでおく必要があります。
つまり技術士を名乗るからには、いつでも独立してやっていけるような覚悟をもって毎日の職務に臨んでいるということです。全国の技術士の皆様、ともに頑張りましょう!