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3/31 人から理解されなくても…【インドロックダウン記】情報リテラシー

3/22~インドのロックダウン

3月22日には全土での「外出禁止令」。そして22日の夜の発表で、3月31日までの全ての店・会社の閉鎖、不要不急の外出禁止を決定、さらに24日にはその期間を4月14日まで延長することが発表された。

バラナシ滞在中にロックダウンとなった私。外国人の外出は混乱を生むとのことで、外出はできない。しかし、三食つきで買い出しも頼める状況で、平静を保ちながら私は過ごしている

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チャパティポテトが練り込まれたりと、料理にバリエーションが出てきた(10日目) ※22日から数えて

滞在中の日本人の反応

外国からの飛行機の着陸も禁止されたので「もうしばらく間インドに閉じ込められるのでは?」との懸念が広がったのだ。インドの医療体制、特に感染症対策の充実した施設は日本よりも数段階劣るため、皆「どうせ感染するなら環境の良い日本で」との認識が広がり、半ば夜逃げのような形でわずかの荷物とともに帰国した人も少なくない。

上記は、インド駐在の日本人コミュニティでの反応のようだ。私は、インド旅中の日本人仲間とやり取りをしたが、人によって反応は違うという見解だ。だが、やはり心理的パンデミックが起こっていたように思う。

なにしろ外の様子が分からないまま、伝聞で情報がやってくる。「宿から追い出されそう」「警察が見張っている」が、ヤバい!を加速させる。「デリー行きのバスがある」「日本への臨時便が出る」が、脱出しなきゃ!と。

私も私なりに動いた。宿のインド人とのやり取り。日本人の友人とのやり取り。外国人の友人とのやり取り。大使館とのやり取り。多くは無事に進んだが、相手の意図を誤解したこともあったし、伝えるのに骨が折れることはあった。

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手裏剣投げ返される忍者(5日目)

顔を突き合わせるインドの文化

人と人との距離が近く、皆大声でまるで喧嘩のように話し合う。パーティやお祭りなどで集まるのを好む。衛生状態も良くない。靴は履いたまま入る家が多い。食事は手で食べる。

上記は、インドがロックダウンに踏み切った文化背景だ。コミュニケーションスタイルは日本と真逆と言える。こんな緊急時だ。喧嘩のように話し合う姿はいつも以上だろう。それが、日本人の不安をあおったと私は想像している。(インド人と話すのが好きな私としては、いい面も本当に多い!のだけど)そして、彼らも感染を防ぐため、いつものように距離近く話せないことでのコミュニケーションロスもあったのではないだろうか?

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パーソナルスペース狭い(2018年2月ムンナール)

3月末 日本にも緊迫した空気が…

日本も韓国もそして欧州も、当初はこの新型肺炎を甘く見ていた節がある。それが感染拡大を招いてしまった点は否めないだろう。

しかし、著名人の死去もあり、日本の緊張感も増してきたようだ。「自分が感染すること」だけでなく「他人に感染させること」も恐れだした個人は、外出を控えるだろう。日本政府の法改正・補償の対応が進むことを願いながら。そうしていううちに、自分がしたいこと、できること、すべきことを全力でするしかないと気づくだろう。

コロナ情勢を生き抜く上での知恵

理解が進まない時、諦めたくなる気持ちもあった。それでも「人から理解されなくても…」と、人へ伝えたい、伝えたなくてはと、私や友人が行動してきたことは、何が起こりうるかわからない日本でも活きる知恵だと思う。一人のインドロックダウン経験者として、また、キャリアコンサルタントとして紹介していきたい。

知恵1:正常性バイアス

正常性バイアス(せいじょうせいバイアス、英: Normalcy bias)とは、認知バイアスの一種。社会心理学、災害心理学などで使用されている心理学用語で[1][信頼性要検証]、自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりしてしまう人の特性のこと。

都合の悪い情報とは何だろうか? 例えば、ロックダウンの衝撃が落ち着き、WiFiが安定し出した6日目頃、ひと休みしたかった私には、周囲の「早くインド出なきゃ!」の動きは都合が悪かったのかもしれない。一方で、早く大使館に連絡しようと焦っている時には「落ち着いて」の雰囲気が都合悪く映ったりもした。

デマも多い世の中。情報を信じる力と疑う力。そのバランスを持って冷静にいたい

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解決策なくてもnothing to worry(2020年1月ゴア)

知恵2:アサーティブコミュニケーション

アグレッシブとは、攻撃タイプを意味します。自身の気持ちや意見を主張することができる一方で、相手の気持ちや意見を尊重できていないのがアグレッシブです。
ノンアサーティブとは、非主張タイプを意味します。相手の気持ちや意見を考えることができる一方で、自分の気持ちや意見を伝えることができない、もしくは苦手と感じるのがノンアサーティブです。
アサーティブはアグレッシブとノンアサーティブの中間に位置します。自分の気持ちや意見をはっきりと言うことができ、同時に相手の気持ちや意見を尊重することができます。

3つのタイプのうち、目指すはアサーティブだ。

こんな緊急時だ。「今すぐインドから出なきゃ!」とアグレッシブな人にも、相手には言うだけの理由があるのだろうと捉えたい。「どうしたの?」と状況を伺いたい。

こんな緊急時だ。「………大丈夫だよ」ノンアサーティブな人にも、相手には言えない理由があるかもしれないと捉えたい。「もしかして我慢してる?」と状況を伺いたい。

誰かを守る為に戦う人ほど。自分の痛みを耐えている人ほど。アサーティブのバランスを崩すこともあるだろう。

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チャパティの裏側に隠される素顔とは?(5日目)

①Describe(事実を描写する)
②Explain
(気持ちを説明する)
③Specify
(求めるものを提案する)
④Choose
(相手の反応に対する行動を選択する)

まずは、DESC法に挙げられる、伝聞で話が進んでいく今のような状況だと、②気持ちが先走りすることもある。まず①事実の描写から始めたい。

そして緊急時。③求める提案はすぐに対応されないことも多い。買い出しを頼んでも、今は無理だと言われる。でも、その2日後には行ってもらえた。④相手の反応に応じて待つという選択も必要なのだ。

知恵3:5W1H

「8月10日午後3時に株式会社▲▲▲本社の会議室にて、株式会社アーティスの営業がホームページ更新方法の説明を行います。操作方法が理解しやすいように、実際のシステムを用いて実演します。」
When「いつ」… 8月10日午後3時 / Where「どこで」…株式会社▲▲▲本社の会議室 Who「誰が」…株式会社アーティスの営業 / What「何を」…ホームページ更新方法の説明
Why「何故」…操作方法が理解しやすいように / How「どのように」…実際のシステムを用いて実演する

ここでは、オーソドックスな5W1Hの組み立て方を説明しましたが、伝える情報の重要事項から組み立てていくほうが伝わりやすいということもあります。主体が重要であれば、Whoを最初に明確にする、目的が重要なのであれば、Whyを最初に持ってくるなどすると、より相手に伝わりやすい文章になっていきます。

5W1Hの考えは、アサーティブコミュニケーション①事実の描写に大いに役立つだろう。

色んな情報が飛び交う中で「どうしてそんな話になったのか?」という背景(Why)が分からないことも多い。日本に帰りたい理由はどこにあるのだろうか?…インドの衛生環境?日本に恋人がいるから?

話がどんどん進んでいく中で「それって誰の話?」と、主体(Who)確認する勇気も大事だ。…インドの暑さが怖い人?死を恐れない人?

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もし民族衣装なら暑すぎて…?(2020年ゴアで出会ったスロベニア人からの写真)

カウンセラーみたいな宿のマネージャー

今、滞在している宿に着いた日、レセプションの椅子で休んでいた時に聞かれた。

「アナタ ナニカ ハナシタイコトアル?」

ざっくりとした質問だが、カウンセリング的に有効な質問と、私は感じた。やっと話せる!と旅のうっ憤をぶちまける人もいるだろうし、早く一人で休みたいと、何もないけど?と部屋に向かう人もいるだろう。

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神様を祀る文化(2020年3月バラナシ)

彼は、信仰するシヴァ神の話を交えて、スピリチュアルなやり取りをしてくれる。カウンセラーの素質たっぷりだ。何が正解か分からない中でも、今日も破壊と再生というシヴァ神の導きを感じながら、私はロックダウンの夜明けを待つ。

自分自身の選択に後悔しないためにも、今できること。朝は瞑想的に過ごそうと思った。

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