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ニール・シュービン(Neil Shubin)の「進化の技法 転用と盗用と争いの40億年(SOME ASSEMBLY REQUIRED Decoding Four Billion Years of Life, from Ancient Fossils to DNA)」を読む
ニール・シュービンの本は二冊目。一冊目は「ヒトのなかの魚、魚のなかのヒト」こちらは水生動物と陸生動物の合間をつなぐ中間種とされるティクターリクの発見と、この生物の手足の骨格が魚のヒレ由来であることの解明、そしてこうした拡張変化が、嗅覚や視覚、聴覚といったものも、従来水生生物が獲得していた機能、期間の発展転用であることを明らかにするものでした。 本書もその切り口でいえば類似のものですが、その対象となる話題はとても広くて深みのあるものになっています。ティクターリクのように水生生
マイクル・コナリー(Michael Conneliy)の「エンジェルズ・フライト(ANGELS FRIGHT )」を読む
本書はマイクル・コナリーの長編小説としては第8作目、『トランク・ミュージック』に続くボッシュシリーズ第6作。1998年に刊行されました。2001年『隋天使は地獄へ飛ぶ』のタイトルで日本語版が出版されました。間にボッシュシリーズではない『ポエット』と『わが心臓の痛み』が入っています。『ポエット』にはジャック・マカヴォイとレイチェル・ウォリングが、『わが心臓の痛み』にはテリー・マッケレイブが登場しています。 9作目以降のコナリーの本は作品ごとに主人公が入れ替わりながら他のメンバ
ショーン・バイセル(Shaun Bythell)の「ブックセラーズ・ダイアリー:スコットランド最大の古書店の一年(The Diary of a Bookseller)」を読む
学生時代、こんな店は10年以内に絶対につぶれるとつぶやいたことがあった地元の書店。クリスマス休暇で帰省した折に本を探しに足を踏み入れたのは12年後。そこで店主からこの店を買わないかと持ち掛けられたのだという。銀行からお金を借入れお店を買い取ったのはその1年後の2001年、著者が31歳の時だった。期せずも古本屋の店主となった著者はこの業界のし烈さや訪れる客たちの奇人変人ぶり、傍若無人さについては全く理解していなかった。 "THE Book Shop"はイギリス、スコットランド
マイクル・コナリー(Michael Conneliy)の「ブラック・ハート(THE CONCRETE BLONDE )」を読む
「ブラック・ハート」を読み飛ばしてしまった、と思い込んでいた。カミさんに確認したら「読んだ、面白かった」と言われ自分は再読しなかったんだと思っていた。それで読み始めたのだけど、他の本と違い本書はあちらこちらシーンに覚えがある。コナリーの本は概ねでるやいなやすぐに読んでいるので25年以上も昔のことですっかり忘れてしまっているのに、この本は主人公たちの会話やシチュエーションが具体的によみがえるのはどうしてだ。おかしい。そう思って読書メーターの記録を調べてみたら「ブラック・ハート」